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保険で白い歯?CADCAM冠って?

みなさん、こんにちわ。investdentistです。

突然ですがCAM CAM冠(キャドキャムかん)というものをご存知でしょうか?

簡単に言うと、セラミックでできた歯の被せ物です。

ここ最近保険適応となり、ひと昔前であれば自費診療で1本10万前後ものが、保険診療で自己負担1万行かないくらいで治療可能となりました。

ここではCAD CAM冠の特徴や注意点を説明します。


1・CAD CAM冠とは?

  

最近テレビ等で歯を削って1日で被せ物が入る!最新歯科治療!というような紹介を見たことないですか?それらの殆どはCAD CAM冠についてのことだと思われます。 

 CAD CAM冠とは、 

CAD…コンピューター設計支援のこと

CAM…コンピューター支援製造のこと

冠…被せ物の総称

つまりコンピュータ制御で作られた被せ物こと、CAD CAM自体は歯科用語でもなく一般的な用語です。

https://cad-kenkyujo.com/2020/03/02/cad-cam/

具体的には歯を削り、型取りした模型を元にコンピューターが寸法を測り、被せ物の形や大きさ、かみ合わせに至る細部の設計、そして被せその物を作り出すのです

。削り出すにはセラミック(厳密にはプラスチックとハイブリッド)のブロックを使用します。より詳しい工程が気になる方は以下のリンクを参照に。

https://m.youtube.com/watch?v=sAtvtekj5pY

従来の金属の被せ物であれば、歯科医院にて削った歯を型取り、模型作り→技工所で模型から被せ物の形を設計し、ワックスにて模擬被せ物を作り、金属にて鋳造、研磨→歯科医院にて微調整、セットとなりますので、模型のやり取りも含め中2〜3日以上が通常で、今では珍しい院内技工所のある医院でも翌日が限界でした。

CAD CAMの場合、機械があればその場で型取り、模型作り、削り出しを行えば1日のうちに被せ物が出来上がります。

TVで特集してるのはCAD CAMの機械がある歯科医院が多いですが、提携している技工所が保有していれば、日数はかかりますが CAM CAM冠を作成できます。

因みにCAD CAMの機械は数千万クラスするものが多いのでうちの医院にはありません。。(買えない)

2・CAD  CAM冠のメリット、デメリット

CAD CAM冠のメリット 

・セラミックなので透明性が高く、天然の歯に近い美しさ

・耐摩耗性に優れている

・生体親和性に優れる(金属アレルギーの心配がない)

・経年劣化が少ない(プラスチックに比べ変色しにくい)

CAD CAM冠のデメリット

・瞬間的な力に弱い(金属に比べ割れ易い)

・割れた際に修復が難しい

・対応できる歯が限られる(保険内)

・歯軋り、くいしばり癖の人は使用不可

・既存のセメントと相性が悪く、比較的外れ易い

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(写真の真ん中、右側の被せ物です。)

メリットは特に美しいこと!

基本保険診療では見た目(審美性)は重視されません、機能回復が第一ですから。前歯ではレジン前装冠といって内側金属、外がプラスチックの物は昔から保険適用ですが(写真真ん中の左側)、奥歯で見た目が良い物が保険適用になるのは珍しく、その背景には実は従来の保険用金属の高騰にある言われています。

要は、医療費削減の為の保険適用だったわけです。歯科用金属の高騰に関しては経済と大きく関連するのでまた別の機会にまとめていきたいです。

また摩耗性に優れている CAD CAM冠ですが、瞬間的な力に弱いことについてはお茶碗をイメージしてもらえればわかりやすいかと、お茶碗は何年経っても表面に傷はつきにくいですが、ふと床に落とした時真っ二つになったりしますよね。

CAD CAM冠も同じで、食いしばりや歯軋りの癖のある人、硬い物の偏食がある人などには向いてません。(奥歯一本で最大、自分の体重支えるほどの咬合力がかかりうるとのこと)、またうっかり硬い物たとえば氷とか。を噛んでしまっても場合によっては割れてしまうかもしれません。 (氷や飴をバリバリ噛む人は百害あって一利無しなので今すぐやめましょ…)


3・CAD CAM冠を保険で入れてもらうには


保険でCAD CAM冠を入れてもらうには、どこの歯でも入れれるわけではありません、今現在適応となる歯はこちらです。

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https://www.yamakin-gold.co.jp/yn/wm006_hoken/

上の図の赤くなってる歯ですね。1番奥の歯がしっかりと全て残ってる方は奥から2番目の歯まで、1番奥の歯が一つでもない方は前から4.5番目の歯までとなっており、例えば4〜6番目までを繋げて作ったりする、もしくは間の5番目がなくていわゆるブリッジとする場合は保険適用となりません。

またCAD適応不可である歯軋りやくいしばり癖があるかについては自己判断ではなく担当の歯科医の判断になります。(口腔内にその兆候は殆どの症例ででます。)

今現在入ってる被せ物をCAD CAM冠に変えたい方は、行きつけの歯科医院さんに詳しく診断してもらう必要がありますのでご注意を。

※CAD CAM冠を保険で入れるには歯科医院側にも資格がいります。CADの機械がなくとも提携技工所にあり、必要な資格があれば保険診療として行っている可能性があるので詳しくは、歯科医院にお問い合わせ下さい。

※CAD CAM冠に似ていますが白い被せ物にはもう一つ、硬質レジンジャケット冠と言うものもあります、これは完全にプラスチックですので、さらに適用が限られます。使用できるかは各々の口腔内環境によります。

※被せる対象の歯が既にムシ歯でボロボロすぎたり、歯周病がかなり進行しているケースではそもそも被せ物が不可能な場合があります。歯科医師の診断が必要です。

4・CAD CAM冠の今後の展望


 CAD CAM冠の今後の展望についてですが、歯科金属の高騰が続けば、今後も保険診療として続くでしょう。

しかしながら、くいしばり等に弱いことから、導入に否定的な歯科医師もいると思います。CAD CAM冠の保険診療を導入してない医院もまだ多いと思われます。

わたし自身、歯の残り半数が少ない人などは咬合力に負けて割れやすいので、勧めない場合も多いです。 

物性の弱さは今後、技術革新によって改善は期待されます。

これは余談ですが、歯科医師からするとなぜ CAD CAM冠のみ保険適用なのか疑問が残ります。コンピューター削り出しではなくセラミックを一から陶材を盛り上げて焼成する方法や金属にセラミックを合わせたメタルボンドなんかもあります。

なぜCADだけ?っと同業内でも話題です。

なにやら利権の匂いがぷんぷんするぜー by spw

おっと、これ以上は触れない方が良さそうですね。

何にせよ患者さんの立場からすれば安く、白い歯が入れられるのはメリットですね。

しかしながら、保険診療の性質上、実績が少なく、保険請求件数が少なくなると廃止になったりするので、今後も永久的に保険適用となるかは不明です。

個人的な予想では今のパラジウムの値段が半額以下にでもならないと、この流れは変わらないのではないでしょう…

以上、CAD CAM冠の説明でした。 気になる方は是非かかりつけ歯科医に相談してみてください。

追記)令和2年9月より保険によるCAD治療部位が拡充されるそうです。

なんと前歯にも適応です。詳しい条件等は不明ですが、歯科治療のメタルフリー化が加速してますね。個人的な見解では、まだ前歯にCADを入れるにはさらに細かい条件がいると思うので、入れたはいいがすぐ割れた、とれたが頻発しそうで、嫌な予感しかしません。


TOP絵はフリー素材サイト、写真ACさんより。

https://www.photo-ac.com/main/search?q=歯&srt=dlrank





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