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英語ハックー日本にいながらできる英語上達の方法

この記事は、のちのちアップデートしていく予定です。

さて、2022年1月から急に思い立って、英語の勉強をスタートした。まずはGABAに入学し、60回分の授業を契約、その後ベルリッツも試した。さらにDMM英会話、Bizmates、CAMBLYなどのオンラインレッスンにも登録した。

多い日には1日4時間半、少なくとも1日2時間の英会話レッスンを行い、空き時間で英語のポッドキャストを聞いたりした。その結果、短期間のうちに今まで感じたことのないような上達を実感できた。

どのような方法で学んだのかを紹介したい。

0. 前提条件

小山の英語レベル

2002年から2004年まで、アメリカのビジネススクールに通っており、その後、1年弱、ニュージャージーに滞在した。合計3年ほどのアメリカ滞在経験があった。それでも英会話のレベルは高くなく、苦手意識が拭いきれなかった。

留学するとすぐに上達するのだと思っている人も多いだろうが、そこには罠がある。ひとつは、大学院での生活において、英語をしゃべる機会はそれほど多いわけではないということだ。

たとえば、授業中の発言時間は長くない。たとえば90分の授業に30人の学生が受講していたとする。半分は教授が喋っているとして、残りの45分を30人で均等に分けたとして、1.5分。もちろんアメリカ人のほうがよく喋るわけで、留学生の話す時間は1分に満たないだろう。そんな授業を繰り返して、家に帰ればもくもくと授業の予習、ということになれば、当然、英語のスピーキングは伸び悩む。

当初の期待とは裏腹に、ビジネススクールを修了しても正直、「話せるようになった」という感覚はほとんどなかった。

英語を学び直そうと思った理由

7月下旬から、ハーバードビジネススクールのGlobal Colloquium on Participant-Centered Learning(GloColl)に参加することになった。7/24から29までの6日間のプログラムで、そこではケースメソッド教授法、ケースライティングなどを学ぶことになる。

ケースメソッドは学生たちが実際のビジネスケースをもとにディスカッションを通じて学ぶ方法で、このプログラムでも議論について行けるだけのリスニングスキル、意見を表明できるようなスピーキングスキルが求められる。グループワークもあり、そこでの議論には深く参加する必要もある。

今の英語スキルレベルでは十分ではないことは明らかだった。もともと2020年に行く予定だったがコロナで延期となり、2022年になった。

この英語勉強法の対象となる人

ということで、ここで紹介する英語勉強法は、英語を勉強したことはあるもののペラペラではない、という人が対象となる。しかも、短期間のうちにペラペラと呼べる程度までに英語スキルを上げたいという人だ。

ここでいうペラペラとは、もちろんネイティブではないし、帰国子女ということでもないが、それなりのスピードでリズムよく会話を行うことができるというレベルである。また、文法や発音のミスはあるものの、意思疎通には問題がない状態である。

こういうレベルの人がペラペラになるまでには、(僕自身がそうであるからよく分かるのだが)まるで断崖絶壁を見上げるような感覚がある。そこには大きな谷があって、それを乗り越えるのは容易ではないという思いだ。これに共感する人にとっては、有益な情報ではないかと思う。

1. モチベーションの高め方

先に触れたように、ハーバードビジネススクールの講座を受けるということが、学び直しの直接のきっかけにはなったものの、実はそれほど勉強しなくともそれなりにつつがなくやり過ごすこともできた。しかしかなり高いモチベーションで学び続けることができている。

このモチベーションのきっかけとなったのが、なにげなく自分に問いかけた次の質問だった。

モチベーションを生む魔法の質問

モチベーションを生み出すための魔法の質問がある。それが、「もし今すぐ英語がネイティブ並みに話せるようになるとしたら、それにいくら払うか」というものだ。これを自分に問いかけてみたとき、すっと「3,000万円」という数字が思い浮かんだ。これは人によって金額は違うだろうが、個人的に、今後のキャリアの展開や人生の豊かさなどを考えたときに、3000万円という金額は腑に落ちるものだった。

そう考えると、たとえば英語教室に40万円払うなんてことは、本当に大した投資ではないという気分になってくる。時間をいくらかけても惜しくないだろう。無駄なお金を使うべきではないが、今まで自分にブレーキを掛けていた思い込みが外れた。

短期間の成長こそモチベーションの源泉

これは事前に考えていたことではなく、今回のプログラムをやっていく中で気づいたことだが、短期間に集中して勉強することによって成長が実感でき、モチベーションを維持することができるということだ。

たとえば、GABAは60回のレッスンの有効期限に8ヶ月というような設定をしているが、これは月8回程度、週2回の受講である。40分の授業を週2回受講したところで上達しない。結果、8ヶ月たってもそれほど成長を実感することはないだろう。これでは正直、モチベーションは続かないだろう。

それがたとえば、一日4時間半となれば話は違う。実感としては、2週間でその効果を実感する。自然と英語が口に出てくる経験をするようになるのだ。間違いなくモチベーションにつながるだろう。

英語学習を日常にする

英語学習を継続するためには、英語レッスンを日常の生活リズムに組み込むことが重要だ。22:00以降は英語のみというルールを設定しており、のちほど改めて紹介するが、他の予定がなければ、22:00ー22:50をDMM英会話、23:00-23:55をBizmates、さらに24:00-25:00をCAMBLYというように3時間英語レッスンを受けるというようなスケジュールを組んだ。

これを続けていると、逆に英語を話さずに一日を終えることに気持ち悪さを感じるようになった。歯を磨かずに寝る人がいないように、今や僕にとって英語を勉強せずに寝るのは、ちょっと考えられない感じなのだ。

典型的なスケジュールは次のとおりだ。

10:00−11:25 GABA 2レッスン
22:00-23:00 個人契約の先生によるレッスン(火曜のみ)
23:00−24:00 CAMBLY
24:00ー24:50 DMM英会話

2. 英語学習法の考え方

スピーキング中心が上達の近道

ここでは、英語学習を組み立てる上での考え方を整理したい。まず、日本人は自分の考えを言うというトレーニングをほとんどしていないという事実を抑えておきたい。小学校から始まる英語教育は、大学まで含めると10年になる。にもかかわらず話すことができないのはなぜだろうか。答えは簡単である。自分の考えをいう機会がほとんどないからだ。授業の中で、ひとりで英語を話す時間はどれくらいあっただろうか。しかも英文の読み上げではなく自分の考えを言うということになれば、10年間積み上げても、10分にも満たないかもしれない。

こんなに少ないトレーニング量で話せるようになったとしたら、そのほうが奇跡だ。冒頭にも紹介したように、これは海外留学でも実は同様だ。自分の意見をいう状況というのは少ない。留学しても話せるようにならない状況というのは、普通に起こりうる。積極的に話す機会を作らなければ、海外留学していても上達はしないのである。

このことを実証しているケースとして、ダルビッシュ選手があげられる。ダルビッシュ選手は、もともと父親が英語を話すこともあって、メジャーリーグに行ったときにはなんとかなるだろうと思っていたらしい。ところが全然、英語が通用せず通訳に頼りっきりになっていたところに、あるとき英語を褒められ、そこからぐんぐん上達したという。そのとき、とにかく英語をしゃべることが上達の近道だと実感したのだという。

スピーキングで鍛えられる3つの要素

スピーキングでは、文法、発音、ボキャブラリー(表現)の3つの要素がある。どの要素もお互いに関連している。

文法は、もちろん法則があってのものではあるが、実際の会話では特定の表現が頻出するため、法則を考えながら話すと言うよりも、その表現のパターンを体で覚えて話すという方が正しい。その場合、発音と一緒に覚えていくことになる。

発音は、音とイントネーションが重要になる。日本語で言うアの発音にも、æやɑ、ʌ、əなどのさまざまなバリエーションが存在する。それらをひとつひとつ、頭で覚えていくというよりも、なんども口に出して、さらにネイティブの発音を注意深く聞いていくなかで、もちろんボキャブラリーも増えていくことになる。

逆に言えば、発音の仕方のわからないボキャブラリーは、スピーキングでは無用の長物だ。ボキャブラリーを発音と分離して覚えるのではなく、それは一体のものとして覚える必要がある。しっかりと関連しているのだ。

他のスキルも自然と伸びる

スピーキングをトレーニングすると実は他の能力も伸びていくことを実感する。まず、聞き取れるようになる。特に、スピーキングのときの発音を注意深く練習するようになると、微妙な音も聞き取れるようになる実感がある。

逆に言えば、自分で再現できないような音を聞き取るというのは、本当に難しいのだと思う。その単語をどのように発音するのか知らずに、その単語を聞き取れるというのは考えづらい。結局、スピーキングとリスニングは表裏一体で、声に出して発音できるからこそ、それを他人が話したときに聞き取れるようになる。スピーキングは基本的にアウトプットだと考えがちだが、実はその音を真似する過程ではインプットトレーニングにもなっているのだ。

そしてこれは、リーディングも同様だ。文章はリズムであり、そのリズムが体に染み付いていないとスムーズに読むことはできない。スピーキングのスキルが身につくと、英文を読むときにも英語らしいリズムに乗って読むことができるようになる。

英語脳のつくりかた

よく、日本語に翻訳するのではなく英語で考えるべきだという話を聞く。ただ、言うは易し行うは難し。どうしても日本語で考え、それを英語に翻訳して話したり、英語を日本語に翻訳しながら聞いてしまう。

そうならないためには、日本語に翻訳する余裕をなくしてしまうというのが、ひとつのアプローチだ。あとで紹介するが、たとえばポッドキャストを1.5倍速で聞くというトレーニングでは、あまりのスピードに翻訳する余裕もなく、英語だけで理解しなければならない状況に自分を追い込むことができる。

そうした、「英語で考えないといけない」という状況にいかに追い込むかということが、英語学習のポイントになる。

スピーキングはスポーツ

スピーキングには瞬発力が必要だ。じっくり時間をかけることのできるリーディングであれば、練習不足を時間で補うことも可能だろう。ライティングでも、今ではさまざまな翻訳ツールがあるから、それを頼って対応することができる。しかしその場で即座に返答しなければならないスピーキングは、こうした対応ができない。

スピーキングはいわばスポーツである。意識せずとも自然に言葉が口をついて出てくるという状態になるためには、反復練習が欠かせない。かつ、現実の世界ではどんなボールがやってくるかわからないわけで、確実に相手の胸に向かってボールを投げるキャッチボールだけでは不十分だ。さまざまなボールをキャッチして投げ返す、試合形式のトレーニングが欠かせないのである。

そうすれば、答えはかんたんだ。とにかく場数を踏むということなのだ。スピーキングの練習方法については、Atueigoの動画にあるとおり、一日2-3時間のオンライン英会話と独り言が効果的だ。具体的な内容については、第3章で紹介する。

例外的に上達する人の特徴

こう見ていけば、留学していて英語がめちゃくちゃ上達する人の特徴をあげるのはかんたんだろう。話す機会が多いこと、すなわち、ネイティブの彼氏彼女を作った人、ということになる。多くの時間を共有する関係性であれば、そこで話す時間も当然、多くなる。これで英語が上達しないほうが不思議である。

こうした状況は、実は日本にいながら、しかも彼氏彼女を作らなくてもできる。それが冒頭に紹介したような英語学習法である。トピックの多様性から言えば、彼氏彼女を作るよりもさらに、英語上達の近道であると言えるだろう。

英語学習に年齢は関係ない

これは僕が27歳でビジネススクールに留学した際にまわりとよく話したことでもあるのだが、「10代のうちに留学しないと英語は上達しない」という説がある。20代後半は(40代後半になった今からみれば十分に若いのだが)、10代後半で大学留学して英語がペラペラになる若者からすれば、十分に「年寄り」であり、年齢が故に上達しないのだという、自分への言い訳として使われていた。

しかしこれは、今となってははっきり言えるのだが、迷信である。大学から留学する人は、大学生活の中で十分に英語を話す環境に身を置くことができるから上達するのであって、若さは実は、影響しない。20代後半であっても、そうした環境に身を置けば英語は上達するし、それは40代後半でも関係がない。

もちろん、「ネイティブっぽい発音は、歳を取ると身につけるのは難しい」ということは言えるかもしれない。しかし、これも実はかなりの個人差がある。耳がよく、微妙な音やイントネーションを聞き分けられる人は、40代でも発音は上達する。カラオケがうまい人などは、英語の発音も再現性が高い。逆に言えば、耳がよくなければ、若くから英語をやっても上達しない。小学生くらいまで遡れば別だが、日本語がしっかり定着した10代後半以降は、言ってみれば五十歩百歩だ。

繰り返しになるが、重要なのは自分が意見を言わなければならない環境に、どれくらい身を置けるかということにあるのだ。

オンラインの恩恵を最大限に活かす

オンライン英会話が市民権を得て久しくなるが、このコロナ禍においてさらに拍車がかかったように思う。生徒の側では、テレワークの流れでそのまま自宅でオンライン英会話を受けることができるようになったし、また教師の側でも、リアルでのしごとの機会を失った優秀な人がオンラインに流れ込んできていることも感じている。

オンライン英会話のいいところは、場所や時間を問わないところだ。誰でも必ず自宅にいる時間がある。その時間の一部をオンライン英会話にあてることで、英会話レッスンを習慣化できるのだ。先にも触れたが、22:00以降は英語レッスンと決めて取り組んでいる。こんなに遅い時間にレッスンができるのも、オンラインならではだ。

3. 英語学習法 英会話レッスン

スピーキングの勉強時間は1日2時間

スピーキングだが、僕たちが義務教育で失ったスピーキング時間を一気に取り戻すつもりで、とにかく長時間、話すことが重要だ。ひとつの目安として、マンツーマンのレッスンを最低2時間受けたい。ちなみに僕は、平均3時間だ。

この2時間は、たとえば22:00以降を英語時間とした場合、22:00〜24:00のレッスンでクリアすることができる。早起きの人であれば、朝1時間、夜1時間というふうにわけてもいいだろう。最初のころは、1時間の英会話レッスンでかなり疲れがたまるので、分けるほうが賢明かもしれない。

僕の場合、フレックスタイムの働き方をしているので、時間があいていれば午前中にGABAの40分のレッスンを2つ受けた上で、夜2〜3時間のレッスンを受けるようにしている。そうすると合計3時間半〜4時間半、英語を話し続けることになる。これは、「疑似留学」としても十分な時間だ。実際には、何度も触れたように、留学をしていたとしてもここまで長い時間、自分の考えを話し続けるということはなかなかないのである。

オンライン、オフライン、どちらがおすすめか

スピーキングを学ぶ上で、オンライン、オフラインどちらも一長一短がある。ただ、コストや時間を考えれば、もはやオンライン英会話のほうが圧倒的におすすめしやすい。これは間違いない。

オンライン英会話の利点は3つある。ひとつは、コストが圧倒的に安いことだ。DMM英会話では、ネイティブ講師の1レッスン(25分)単価は500円程度である。1時間単価で計算すると1200円だ。それに対して、たとえばGABAは、40分で6000円程度。同じく1時間で計算すれば、9000円にもなる。あとでも触れるが、とにかく長時間のスピーキング経験を継続していくためには、費用の問題を避けて通るわけには行かない。

ふたつめは、受講場所に行く必要がないことだ。都心であればアクセスは困らないかもしれないが、郊外に住んでいれば移動時間が不要というメリットは大きいだろう。大手英会話教室が展開していないような地方が、言うまでもない。山奥であっても離島であっても、同じように英会話にどっぷりつかることのできるオンライン英会話は、英語学習の民主化ツールと言えるだろう。

3つめは、先生の選択肢が多いことだ。英会話スクールの先生は、ひとつの教室で多くても20名ほどだろう。そうすると、先生の選択肢は限られてしまう。同じネイティブと言っても、イギリス英語、アメリカ英語、オーストラリア英語、シングリッシュなどさまざまだ。また、先生のバックグラウンドによって使う語彙も異なるので、特に上級のレッスンになればなるほど、先生がどのような分野に強いのかというのも選択基準になる。そうしたとき、オンライン英会話のグローバルなプラットフォームは、とても強力だ。

ネイティブスピーカーを選ぶ

発音を学ぶ上では、ネイティブスピーカー一択だと思う。多少値段が高くなったとしても、ネイティブの講師を選んで学びたい。

オンライン英会話では、ネイティブを含まないスタンダードプランとプラスネイティブプランで価格が大きく異なる。たとえばDMM英会話で毎日2レッスン受講する場合、スタンダードプランで10,780円、プラスネイティブプランで32,760円と、3倍の価格である。しかし、それだけの価値がある。ここは迷わずプラスネイティブプランを選ぶべきだ。同じオンライン英会話でも、CAMBLYは基本的にネイティブスピーカーだ。

4.9点以上の先生を選ぶ

オンライン英会話では、それぞれの先生に評価点がついている。これはかなり信頼できる。もちろん、受講者のレベルによって、実力があるのに低く評価されていたり、その逆もありうるだろう。しかし、ネガティブな評価が繰り返されている先生は経験則的に、やる気がなかったり教える技術がなかったりするケースが多く、失敗する可能性が高い。

点数はできるだけ高いに越したことはないが、DMM英会話なら4.95、CAMBLYなら4.9以上がいいと思う。

聞き上手な先生を選ぶ

先生を選ぶ基準はふたつある。ひとつは、ひとりでしゃべりすぎず、あくまでこちら側に話す機会を与えようとする先生である。リスニングであれば、Podcastでも十分だ。あなたの話をゆっくり聞いてくれ、さらに話を引き出してくれるような聞き上手を選ぶべきだ。

もうひとつの条件が、間違いをきちんと指摘しフィードバックをくれる先生だ。これは意外と難しい。英語上達につながるフィードバックには3つある。(1)発音の間違い、(2)文法上の間違い、(3)より適切な表現の指摘である。

発音の間違いは比較的指摘しやすいが、文法上の間違いは、できる先生とできない先生がいる。文法の間違いがわからないわけではなく、目ざとく気づく先生塗装で内戦生徒に分かれる。とくにaとtheや、三単現のsなどの欠落は、注意深く聞いていないと聞き逃すことも多い。

表現の指摘については、これはかなり教養の差がでる。イディオムなど、ちょっと気の利いた比喩表現などは、先生のバックグラウンドも大いに関係してくる。

1回のレッスンは50分以上

オンライン英会話は通常、25分間である。この25分はあっという間に過ぎてしまう。話を広げなくても、つつがなくレッスンを終えることができてしまう。初めての先生であれば自己紹介で10〜15分過ぎて、その後は雑談していれば25分を無事終えることができるだろう。会話をパターン化していくと、相手の先生がどんな人であっても、ほぼ同じ内容を話してやり過ごすこともできるようになるだろう。

ところが、50分となるとそうはいかない。結構しゃべったなあと思って時計を見ると、まだ25分しか経っていない。残り25分どうすればいいのか、焦るはずだ。実は、そこからが話を広げるタイミングだ。話の流れや相手の興味、バックグラウンドなどによって、即興的に話を広げていく必要がある。これは、事前に準備することができない。ここでこそ、リアルな英語での生活環境が登場するのだ。

普段の生活は、思いも寄らない話題が急にやってきて、それに即座に対応しなければならない。25分のレッスンを繰り返していると、ほぼ予想通りの展開を繰り返すだけになってしまう。それが50分になったとたんに、急に予測不可能な会話に対応しなければならなくなるのだ。

フリートークかテキストか

オンライン英会話では、大きくテキストをベースにした学習か、フリートークかを選ぶことができる。ここではフリートークをベースにした学習をおすすめしたい。というのも、普段の生活はフリートークで構成されているからだ。

もちろん、短期間のうちに手っ取り早く「使える英語」を学ぶには、テキストにあるような特定のシチュエーションで、そこでの典型的な英会話を記憶するのは近道だろう。たとえば、自己紹介、会議の始め方、プレゼンのしかたなどの状況はなんども訪れるし、そこでの会話術を身につけておくことは、有効だ。

しかし一方で、ペラペラになるということの目的のひとつは、こうしたオフィシャルな場ではなく、カジュアルな場で人間関係を構築することにある。とすれば、ペラペラになることを目指し、ある程度ベースができたときに、個別のシチュエーションの表現を学ぶほうが、王道だろう。ちょっとした日常会話もできないのに個別の状況に対応するのは、基本もできていないのに解法を暗記して応用問題を解くようなものだ。

話題を広げるならDaily News

とはいえ、何もトピックがないままフリートークをすると、話のネタはつきてしまう。そこでおすすめなのが、DMM英会話で提供されているDaily Newsである。文化から社会、健康やビジネスまで、さまざまな記事が紹介され、その記事にまつわるボキャブラリー、クイズ、ディスカッションが用意されている。

Engoo.comのDAILY NEWSページ
(Engooは、DMMの海外向けサービス)

初心者であれば、記事の中で使われているボキャブラリーからやってもいいが、中級者であれば飛ばしてしまっていいだろう。また、記事については黙読するのではなく、自分で音読して発音のミスを指摘してもらうとよいだろう。自信がなければ、先生のあとについて読むのでもいいだろう。

ここで、きちんと発音のミスを指摘してくれる先生は、よい先生だ。単語の発音はもちろん、文章としてのスムーズな読み方を教えてもらうといいだろう。冠詞や三単現のsの抜けなどは、聞き逃しやすい。注意深く聞いてくれているかどうかは、先生を選ぶ判断基準になる。

独り言を言う

英会話のレッスンを行っていると、少しずつ即興的に文章をつむぎ出せるようになってくる。これをさらに強化するために有効なのが、独り言だ。日本語でも、普段頭の中で「あの会議でこう言おう」とか「あのときこう言っておけばよかった」などの反省をしている。それを英語に変えるイメージだ。

たとえば、前日の英会話レッスンの会話を思い起こしながらそれを再現してもいいし、気になっているトピックについて自分の意見を英語で話してみてもいい。いずれにしても、あくまで独り言で話していくのである。

独り言トレーニング用の文章も、インターネット上にいろいろと用意されている。YouTubeで調べれば、発音と一緒に紹介されているので、それを聞いてリピートしてみてもいいだろう。こうした準備をしておくと、実際の英会話の場面ですっと話せるようになるはずだ。

英語での会話がスポーツだとすれば、独り言は筋トレやサーキットトレーニングみたいなものだ。英語を話すための筋肉を鍛えつつ、必要なときに意識せずに言葉が出てくるようにトレーニングする。この基本があるのとないのとでは、会話力は全然違ってくるのだ。

英語本を音読をする

独り言を考えにくいとか、新しい表現を身につけたいというときには、英語本を音読するというのもいいだろう。これなら、自分で考え出す必要がない。

その際、できるだけ感情を込めて音読しよう。使える表現として身につけるためには、やはり自分が発言しているかのように思いを込めることが重要だと感じる。ポーズやイントネーションは、大胆につけて音読するといいだろう。

これは英語トレーニングだけでなく、新しい知識の習得もできる一石二鳥のアプローチでもある。自分が学びたい分野の本を読むといいだろう。

単語帳、フレーズ集をオンラインで作成する

英会話レッスンを受けていると、知らない単語やフレーズが出てくる。これを常にメモするようにしている。スペルがわからないときには、わざわざチャットボックスにタイプしてもらうようにもしている。そうすると、50分のレッスンの間に多いときには10個以上、知らない単語やフレーズが溜まってくる。実はこれが宝物なのだ。

こうした表現を次に使うためには、独り言トレーニングのなかで口ずさんで馴染んでおく必要がある。メモをそのままにせず、常に見返せるようにまとめておくことをおすすめする。いわゆる単語帳やフレーズ集を作るのである。

普通にメモ帳にまとめてもよいが、お勧めたのは英辞郎 on the WEBの単語帳機能だ。検索結果の左どなりに単語帳アイコンがあり、それをクリックするとそのまま単語帳に記録されるのだ。WORDHOLICなどのいわゆる単語帳アプリも使ってみたのだが、いちいち入力して登録するのが面倒だった。

単語の左どなりにある単語帳アイコンをクリックするだけ
登録した単語を一覧できる

英辞郎のメリットは、単に単語だけでなく、豊富な用例が揃っている点だ。単語だけではなかなか使い方がわからないので、やはりどんな場面でどんな使い方をするのかということまでセットにして覚えたい。英辞郎は、単語だけでなくフレーズや用例そのものが見出しにもなっていて、それらも単語帳に記録しておくことができる。

ポッドキャストで表現を身につける

こうしてスピーキング中心に学習を続けていると、リスニング能力も格段に向上する。というのも、リスニングをする目的が変わってくるからだ。

ポッドキャスト機能を使ってさまざまな英語番組を聞いているが、これまではリスニングスキルを身につけるためのトレーニングであった。しかしスピーキング中心に学習を移行したことによって、ポッドキャストは単にリスニングトレーニングではなく、新しい英語表現を発見する場所になったのである。

さきほどの英辞郎の単語帳には、英会話レッスンで見つけた表現だけではなく、ポッドキャストを聞いている中で出会った新しい表現も加えている。「なにか新しい単語や表現はないだろうか」という意識で聞くとき、これまでのような聞き流しではないような深いリスニングができているように感じる。

おすすめのポッドキャストをご紹介したい。

こちらは、新しい表現を教えてくれる英語教育の番組で、一回聞くだけで何個も新しい表現と出会うことのできる、お得な番組だ。

こちらはMonocle24というシリーズのひとつ。さまざまなテーマのチャンネルがあり、興味のあるものを選んで登録しておくとよいだろう。参考までに「Design」のリンクを貼っておく。

バイリンガルニュースは、爆笑問題に取り上げられて一躍有名になった番組。マイケルとマミの二人による台本のないトーク番組で、リアルな英語会話に触れられる点でおすすめだ。

同じように男女二人組で会話が進む「StudyInネイティブ英会話」や「裏技英語」なども面白い。

https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E8%A3%8F%E6%8A%80%E8%8B%B1%E8%AA%9E/id1477142583

あとはBBCやDW(ドイツ系のニュース)など英語ニュースを登録している。日本の番組とはぜんぜん違う角度からニュースが取り上げられることがあり、特にウクライナ情勢などは、視点の違いを痛感している。

ポッドキャストを1.5倍速で聞く

聞き慣れてきたら、今度は1.5倍速で聞いてみることをおすすめする。このスピードだと、いちいち日本語に翻訳しながら理解することは不可能で、英語を英語のまま理解していかないといけなくなる。英語脳を作るには非常に便利な方法だ。

実際にやってみると、意外と意味が取れる。ところどころしか聞き取れなくても、意味の取れない部分についても意味を推測できる。英語で理解しながら、理解できない部分についても推測できるようになるというのが、この学習法のメリットだ。

もうひとつ、この学習法のメリットは、普段の会話がゆったり聞こえるということもある。これだけのスピードに対応できるようになることが、自信にもなるのだ。

DMM英会話とCAMBLYを併用する

オンライン英会話のサービスにはいくつかある。すべてを受講して比べたわけではないが、「ネイティブ」という条件をつければ、DMM英会話(プラスネイティブプラン)とCAMBLYあたりが候補になろう。

個人的には、このふたつのどちらかというよりも、併用している。DMM英会話は予約制で、受講したい先生の時間をあらかじめ押さえるやりかたを取る。そのため、時間の調整がしやすい。プラスネイティブプラン1日2レッスン(50分)を契約して、受講している。

ただ、DMM英会話の問題は、人気の先生の予約はすく埋まってしまって、なかなか受講できないことだ。予約したクラスを受講し終わると次のクラスを予約できるため、特に翌日のクラスについては次々に予約で埋まってしまう。そのため、1日2レッスンというコースを契約しているものの、いい先生を受講するために、翌々日の予約を取るようなことも多い。週に平均4日ほど受講している。

一方のCAMBLYは、予約のシステムもあるが、そのときどきで空いている先生のクラスを受講できるのがメリットだ。しかも受講時間はフレキシブルで、10分でも60分でも、自由に時間を設定できる。

DMM英会話は確実に空いている時間に予約して受講するが、予定が見えていない時間には予約しづらい。一方、CAMBLYは、ちょっとしたスキマ時間を活用できる。DMM英会話とCAMBLYのふたつを併用することで、効率よく英語学習を進めることができるのだ。CAMBLYは、週5日、1日60分のコースを契約している。

ちなみに、レッスンの記録はDMM英会話は音声、CAMBLYは動画である。動画での記録を残したい場合は、CAMBLY一択だ。

個人レッスンしてくれる先生の見つけ方

DMM英会話でもCAMBLYでも、いい先生の予約はなかなか難しい。できるだけ同じ先生で繰り返しレッスンをしたいということであれば、個人的に依頼するという方法もありだろう。

僕は、ハロー先生ドットコムというサービスを使って先生を見つけた。このサービスは、登録された先生のコンタクト情報を教えてもらい(有償)、コンタクトを取って受講するという流れになる。僕の場合、5人のコンタクト情報をもらい連絡したところ、4人から返信があり、そこでトライアル授業をしてもらった上で、ひとりの先生の授業を継続して受けている。

ひとりひとり、価格帯も異なり、またバックグラウンドも異なる。ネイティブスピーカーではない人の登録も多く、選ぶのにすこし苦労する。しかも、コンタクト情報をもらって連絡しても返信がないこともあり、サービスとしては不満がないわけではない。

日本人講師のレッスンを受けてアドバイスをもらう

DMM英会話だと、日本人講師を選ぶこともできる。英語がある程度上達してきたら、あえて日本人講師を選んでみるとよいだろう。

日本人講師のなかには、ネイティブではなくまた帰国子女でもない、あとから英語がペラペラになったという人が少なくない。教えるまでになった人は、まさに僕たちの先輩だ。その人たちに現状の英語を聞いてもらったうえで、どのように勉強すればよいかアドバイスを受けるといいだろう。

実際にやってみると、ネイティブ講師からは得られないようなアドバイスをもらえた。たとえば「同じ単語を使いがちなので、同じ意味の違う単語を使い分けるといい」というようなアドバイスは、ネイティブからはもらいにくい。彼らは意味さえ通じてしまえば、単語を使い分けているかどうかなどはあまり気にしない。同じ非ネイティブで英語がペラペラになるまでにトレーニングした日本人講師だからこそ気づくアドバイスなのだ。

それでも、オフラインの英会話を受講する理由

以上、オンライン英会話の活用方法を紹介してきたが、個人的にはオフラインの英会話も受講している。単価5〜6000円のレッスンを月20回受講しているので、10〜12万円ほど(!)の費用がかかっている。

なぜ高い費用を払ってまで受講しているかといえば、やはり対面で会話することによってニュアンスがよく伝わってくるからだ。会話は言葉だけではない。表情やボディランゲージなどのノンバーバルコミュニケーションも、重要な役割を担っている。人を信用するかどうかというのは、実はしゃべっている言葉よりもむしろ、その人の醸し出す雰囲気によるところが大きいのだ。そういう立ち居振る舞いを身につけるためにも、オンラインだけではなくオフラインも併用している。

GABA vs. ベルリッツ

オフラインでの英会話教室の大手といえば、GABAとベルリッツがある。今回、両方とも受講した上で比較してみた。個人的には、GABAのほうがよいと感じた。

GABAのメリットは、先生を選べるというところにある。ベルリッツは時間帯の予約だけであり、そこでどんな先生が来るのかは事前にわからない。正直、相性の悪い(教え方が合わない)先生もいるので、そうした先生がやってきたときのがっかり感といったらない。

先生を選べるという仕組みは、先生の間での適切な競争意識を生み出すメリットもあるだろう。GABAとベルリッツの間で先生の質の差は感じなかったが、GABAのほうが生徒への配慮がなされており、一方のベルリッツは一部、やや高圧的な感じの先生がいた。(これは個人の経験に基づく感想なので、もちろんGABAにもそういう人はいるだろうし、ベルリッツの先生がすべて高圧的なわけでは当然ない。)

また、予約システムもGABAのほうが優れている。ベルリッツの場合、予約するときに「キャンセル待ち」みたいな待機状態になることが多く、その場合受講できるかどうかが前日の夕方までわからない。そして当日の予約ができない。GABAは先生単位の予約なので予約すればかならず受講できるし、先生さえ空いていれば、授業の直前まで予約可能だ。

先生を選べる、予約システムが優れているというふたつの理由から、結局、GABAを継続することになった。

4. まとめ

これを執筆している時点で、こうした英語学習を始めて4ヶ月が経過している。この間、ほぼ標準的な学習法を確立することができたので、ここに記録してみた。

現段階では、ちょっと疲れているとうまく話せなかったり、体調もいいとスムーズに意思疎通できたりと、日々の英会話を見ていくとその結果にはばらつきがある。しかし二週間単位でみると、はっきりと上達を感じられる。一ヶ月前を振り返れば、雲泥の差と言ってもいいくらい上達しているように思う。

重要なのは、他人との比較ではなく、過去の自分との比較のなかで成長を感じ続けるということだと思う。同じように英語学習に取り組むみなさんの学習の一助になれば幸いだ。

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