絶対に完走できないマラソントレーニングメソッド

走太「な・・・なんてこったい!東京マラソンに当たっちまった!!」

走太「やべぇな。運動なんて20年はやってねぇぞ。くっそー。宝くじは当たらねぇのに、なんで30万人中3万人しか走れない東京マラソンに当選するんだよ!!チクショーめ!!」

走太「あぁ。やべぇよ。10800円も払って、42.195㎞の地獄を味わうとか・・・。」

走太「でも、走るからには絶対に完走してやるぞ。よし。」

走太「で、なにからやればいいんだろうか・・・」

九頭男「ふっふっふっ。話は聞かせてもらったぜ。兄ちゃん。」

走太「えっ!?だっ誰!?なんで人ん家に勝手に入ってんの!?」

九頭男「俺は九頭男。貴様が20年も運動不足の今年38歳なのに、東京マラソンに当選してしまって、今さらビビッている上に、万年帰宅部で運動歴ゼロで基礎もできていないし、トレーニング知識も皆無。だけど、完走だけはしてやると息巻いている無謀な男だと知っているだけの男さ。」

走太「なんでそんなに知ってんの!?マジで怖い!!」

走太「それでなんの用なの?早く帰ってほしいんだけど。この後、YouTube見たいし。」

九頭男「貴様は馬鹿だな。本当に馬鹿だ。そんな馬鹿な貴様に、マラソン挑戦歴13年の俺様が特別コーチについてやろうって言ってるんだぜ。それを早く帰れとは・・・」

走太「言ってない!その話、今聞いたわ。マラソン挑戦歴13年って凄いキャリアだな。一応話だけでも聞こうか・・・。」

九頭男「ようやく俺様のコーチを受ける氣になったか。よし。なんでも質問してみろ。」

走太「いや、まだ受ける氣にはなってないんだけど。こいつ人の話聞いてねぇな。」

走太「まぁ、いいや。それじゃあ、完走した時の氣分はどうだったか教えてください。」

九頭男「くっくっく。貴様は本当に馬鹿だな。馬鹿すぎて禿げそうだ。いつから俺様がマラソンを完走したと勘違いしていた?俺様はマラソン『挑戦歴』が13年なんだぜ。完走歴じゃない。」

走太「はっ!?じゃあ、一回も完走したことないの!?」

九頭男「うむ。当り前じゃないか。ただの一度もないぜ。」

走太「よし。帰れ。」

九頭男「待て待て。そう早まるな。貴様は全く分かっていないな。俺様のしてきたトレーニングは100%完走できない。いわば、失敗の塊だ。」

走太「ヤバいなこのおっさん。自信たっぷりに自分のダメっぷりを語ってる・・・」

九頭男「そんな俺様の失敗の経験から導き出された答え。それはその逆をやれば100%成功するってことだ。」

走太「なっ・・・!たしかに・・・13年も挑戦に失敗し続けた男の真逆をやれば100%成功しそうな氣が物凄くする・・・。なんて説得力だ。」

九頭男「そう。発明王エジソンだってこう言ったそうじゃないか。失敗は成功の母ってな。」

走太「こいつ偉人の言葉を借りて、さらに説得力もたせやがった・・・」

九頭男「俺様は貴様を名選手にすることはできないが、少なくともマラソン完走に導くことはできる。なぜなら失敗を経験しているからさ。」

走太「確かに、あまり時間もない中で、この運動不足の身体をマラソン完走までもっていこうとすれば、失敗はしていられない。こいつに聞けば、やろうとしていることが失敗するかどうかは教えてもらえる。」

九頭男「そういうことだ。ようやくわかったようだな。それじゃあ、早速トレーニングを始めようじゃねぇか!!」


こうして走太と九頭男の東京マラソン完走を目指す日々が始まった。


レッスン1

走太「それで、まずはなにからやればいいの?」

九頭男「おいおい。貴様、本当にそんなレベルの話を俺様に聴いちゃうのか?」

走太「いや。お前が聴けって言っただろ!」

九頭男「ちっ。仕方がねぇな。じゃあ、特別に俺様のマラソン挑戦1年目の話をしてやろう。特別にな。」

走太「なんで俺、キレられてるんだろう•••」

九頭男「そう。あれは13年前。俺様もちょうど今のお前のように何からやるべきかわからない状態だった。まぁ、でも、とにかく走らんことには始まらないかと思って、外に出ようと思ったんだ。」

走太「いや。うん。そりゃそうだな。」

九頭男「そう。それであの時は俺様は驚愕したんだ。マジでビビった。ビビり過ぎで少しチビッたぐらいだ。」

走太「自分家の玄関でチビるなよ。それでなににそんなにビビったの?」

九頭男「まさかの靴が無かったんだ。」

走太「えっ!?靴が無いってなんで?」

九頭男「俺様は裸足か一本歯下駄しか履いてなかったからな。」

走太「何時代の人間なの!?」

九頭男「そう。だから、靴を買いに行ったんだ。スポーツ用品店にな!!」

走太「マジか〜。流石に俺は靴はあるわ。」

九頭男「お前は馬鹿だな。本当に馬鹿だ。馬に鹿と書いて馬鹿だ。お前の履いている靴を見せてみろ。」

走太「この普通のスニーカーだけど。」

九頭男「ふん。これでは貴様の足はすぐに悲鳴をあげる。」

走太「えっ!?なんで?学校の体育とかもこんな感じの靴だったけど。」

九頭男「まぁ、聴け馬鹿野郎。俺様は靴を買いに行った。そこで初めて靴というものを履いた。」

走太「えっ!?生まれて初めて!?」

九頭男「あぁ。そして、靴に色んな種類があるなんて初めて知った。店員はなぜか俺様の一本歯下駄に釘付けだったが。」

走太「お前、どんな風に生きてきたんだよ。」

九頭男「色んな靴がある中で俺様はお手頃価格のカッコいい靴を選んで、買った。それが今まさにお前が持ってきた靴だ。」

走太「えっ!?これ13年前にもあったの?嘘でしょ。しかも、センスがあんたと一緒ってかなりショック。」

九頭男「そして、その靴を履いて、マラソン大会に挑んだ。結果はなんと•••」

走太「いや、完走できなかったんでしょ!!もったいつけなくても知ってるから!!」

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