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再生と未来への挑戦

3/20(日)のホームゲームを最後に、東京ヴェルディを退社します。

チーム状況が良い中で水を差してしまうのではないかとタイミングを悩み、ギリギリでのご報告となってしまい申し訳ありません。まさか自分がヴェルディを辞める日が来るとは思っていませんでしたし、これを書いている今でも全く実感がありません。

僅か4年9ヶ月と短い期間ではありましたが、僕にとってヴェルディは「人生そのもの」でした。何よりも大切な存在で、何よりも優先的に考え、365日魂を込めて本気でヴェルディ、ベレーザの為に全身全霊で戦ってきました。最高の社内外の仲間と、最高のパートナー企業様とホームタウンの皆様、最高のファンサポーターの皆様と、色んな事がありましたが喜怒哀楽を爆発させて共に駆け抜けた日々を僕は一生忘れる事はありません。

お世話になった皆様、本当に、本当にありがとうございました。心から御礼申し上げます。

決断した理由

これまでの人生で一番悩み、考え抜いて決断しました。ヴェルディが嫌になったから辞める訳では決してありません。むしろ情熱は今も変わらず持ち続けているし、僕がやりたい事も、期待を頂いて実現しなければいけない事もまだまだ沢山あります。

ただ、頭ではそう思っているものの、心が追いつかないと感じる事がありました。昨年末に1年間の振り返りをした際、思っていた以上に自分の心がボロボロになっている事に気がつきました。

この2年、コロナの影響、経営体制の変更、ハラスメント関連など、ヴェルディを取り巻く環境はネガティブな要素も含めて大きく変わりました。スポンサーセールスはクラブの重要な収益の柱でもあり、その部門の責任者である僕は自分で言うのは烏滸がましいですが、「とにかくクラブを守る」気持ちで最前線で戦ってきました。ただ、誰にも言えないような様々なプレッシャーに押し潰されそうになった時期もありました。そして何より、自分の強みでもある0→1の思考や行動力、課題と向き合い変えていく推進力が自分の中で徐々に失われていっている危機感が強くありました。

そして、その中でもこの1年セールスや新たなミッションでのチャレンジをしてきたが、去年の年始に覚悟をもってヴェルディに残ると決めた目標に全く近づけなかった事。経営体制が変わる際、僕は年末年始を挟んで旧体制と新体制の両方でパートナー企業様へ説明と謝罪にお伺いしていました。その中で、僕はただただ隣に座って頭を下げる事しか出来なかった。一番現場を分かっているはずなのに。お客様にご心配とご迷惑をおかけしていて僕なりのヴェルディへの想いや伝えたい事も沢山ある中で、本当に何も出来なかった。その時に感じた無力さは1年を通してもずっと抱えていて、何かを大きく変えなければいけないタイミングなんだと決断をする事にしました。

ヴェルディカレッジを立ち上げた時や営業組織やスポンサーセールスの発展に向けて、新しいチャレンジをガンガン仕掛けていた時の自分を取り戻し、過去の自分を越えること。

そして、苦しみの中で芽生えた新しい夢。

Jリーグクラブの経営者、そしてその先を目指すこと。スポーツ業界の課題を見続けてきて、上の立場にいかないと何も変えられないと痛感しました。そして、現場で苦しみ抜き挫折やどん底を見てきた、「弱さ」を知っている自分が変えなければいけないと新たな使命感を感じていて、現場からの叩き上げから経営陣へ。そこを目指したい。

自分自身の再生と、自分が実現しないといけない未来に向けた成長への挑戦。この2つを、自分にとって全くのゼロの場所からチャレンジして形にしたいと思っています。人脈も土地勘も何もない、本当にゼロの場所から成功体験を作る事で、ようやく自分で自分を認められるんじゃないかと決断しました。

感謝の4年9ヵ月

在籍した4年9ヶ月、沢山の方にお世話になりました。直接御礼をお伝えさせて頂いてはいるのですが、こちらでも書かせてください。

▼パートナー企業の皆さま
『辞める時のお客様から頂く言葉が、営業としての通信簿』だと前職リクルート時代の上司から教えてもらいました。この数週間、パートナー企業様に退職の旨と理由をお伝えしているのですが、その際に頂く言葉で「頑張ってきて本当に良かった」と最後の最後で全てが報われました。社長様自ら私個人の挨拶の為だけに貴重なお時間を作って頂いたり、ご挨拶時に業務中にも関わらず全社員が仕事を止めて出てきて下さったり、素敵なサプライズプレゼントをご用意頂いていたり、何より「出会えて良かった」と言って頂けた事が本当に嬉しく思っています。我武者羅に駆け抜けてきましたが、『お客様を想う気持ち』は何があってもヴェルディの営業メンバー一同決してブラさずにやってきたことが間違ってなかったんだなと、この数週間本当に幸せな気持ちになりました。沢山ご心配とご迷惑をおかけしたにも関わらず、こんなにも温かく送り出して頂ける事を、心から感謝致します。そして、「これからもチームとスタッフを応援していく」と力強く仰って頂いた事を大変嬉しく思っています。是非これからもヴェルディ、ベレーザを末永くサポート頂けますと幸いです。本当にありがとうございました。

▼ホームタウン
元々関西出身で、東京ヴェルディへの転職で初めて東京に来た僕ですが、最初に移ってきた時は街中でヴェルディを感じる瞬間がとても少なかったことを覚えています。地道な活動ではありますが、ホームタウン担当が街の皆さまとの関係値を築き、想いに賛同頂くパートナー企業様も増えてきて、ランドセルカバーを稲城市の小学生の子ども達にプレゼントしたり、キッズユニフォームを着た子供たちを街中で見かけたり、該当フラッグや郵便ポスト、ポスター。色々な方のご協力があり、少しずつヴェルディ、ベレーザがホームタウンに浸透してきていると感じました。僕もホームタウンに住んでいましたが、とても住みやすく自然もあって大好きな街になりました。今年は新しい担当も仲間入りして、更なる発展に繋がる準備が進んでいるのでとても楽しみです。

▼ヴェルディカレッジ
スポーツの現場を通して、これからの社会で活躍するリーダーを育てていきたいと、入社前から絶対に実現したいと思っていた事業。総勢約70名を超える高校生・大学生に「人生を変えるキッカケ」を作るべく、スポーツビジネスではなくキャリア形成に力を入れたカリキュラムで向き合ってきました。スポーツ業界で働きたい、将来起業する為のスキルを付けたい、今の自分には胸を張って語れるエピソードがない。目的は違えど、今の自分を変えたいと熱量を持った学生を迎え入れました。ヴェルディではなく、他クラブを応援している学生もいて、最初は社内外からの反対意見も数多くありました。「他クラブを応援している学生なんて育てるな」「人を育てていないで本業(営業)を頑張れ」「何か問題が起きたら責任とれるのか」など色々と。ただ、僕はこのスポーツ業界に関わる学生やフロントスタッフのキャリアをもっと良いものにしていきたい信念があったし、『育成を強みとしたクラブ』であるヴェルディが、ビジネス面でも人材育成を率先としてすべきだと思っていたので、ブレることなくやり続けました。結果、Jリーグ、JFL、Bリーグなどに新卒入社で複数名が入社、起業、ヴェルディのスポンサーなど、自ら進路を切り開き、意思をもって社会に飛び出しています。そして、最初はヴェルディやベレーザへの興味が薄かった学生が、今では自主的に観戦に来てくれるようになっています。こういった新たなファン獲得の方法もあるんだと示せたと思います。「スポーツ業界では人が育たない」なんて風潮はこれからも僕が変えていきます。未来のリーダー達が様々な業界で社会を変えていくことを楽しみにしています。

▼ビジネスラボメンバー
プロボノで関わってくださっていた社外の仲間たち。コロナで活動はストップしてしまいましたが、冠試合の新たなアイデア出しやパートナーシップの効果測定のプロジェクトなど、社内だけでは生まれない新たなアイデアが生まれました。本業でお忙しいにも関わらず、ヴェルディのパートナーシップの考え方にワクワクして頂き、社内外関係なくMTGを重ねた日々はとても楽しかったです。沢山の変化を起こして頂き、ありがとうございました。

▼WAKU-WAKU PJTメンバー
マリノスさんの沸騰プロジェクトのような、ファンサポーターの皆さんと共にクラブを作っていきたいと始めたプロジェクト。昨年、クラブハウスのアプリが流行り始めた時に、「ヴェルディのことをもっと教えてください!」とファンサポーターの皆さんにヴェルディを好きになったキッカケや昔在籍していた選手、イベントなどの思い出を教えて頂きました。僕はそこで経営体制の変更やコロナなど、ヴェルディの存在意義を考え直す節目のタイミングだからこそ『参加型のクラブ運営』を目指したいと、ファンコミュニティを作る事に決めました。そこからSNS経由などで集まって頂いた皆さんと、毎月MTGをオンラインでさせて頂き、年末に近づくと2週間に1回ペースで実施していました。時にはパートナー企業のご担当者様も参加頂き、施策のアイデア出しワークショップを一緒にさせて頂いたりと、今後がとても楽しみな発展もありました。ここに関わって頂いた皆さんは本当に僕の心の支えで、ファンサポーター、クラブの中の人、パートナー企業、全ての垣根を越えて、同じ世界を見て共創できる素晴らしいコミュニティでした。楽しい時間を本当にありがとうございました。

▼ヴェルディスタッフのみんな
最高の仲間たち。色んなことがあったし、今までに経験したことがないような大変な数年間だったけど、誰も投げ出さず前だけを見て走り続けている現場のメンバーを、心からリスペクトします。本当に凄い。心が折れるような出来事だらけだったけど、「自分達がこのクラブを前に進めるんだ」という責任感が凄かった。20代、30代がボリュームゾーンの相当若い組織だったけど、各自が自分の仕事に責任を持ち、開催期間もプロトコルも異なるヴェルディとベレーザの2つのクラブを同じメンバーで運営していることって本当に相当な体力と運営力だと思っています。勿論、まだまだ課題だらけですし、お客様から見たら改善必須なポイントも沢山あるはずです。ただ、このメンバー、この組織だったら絶対に良くなると信じています。ポテンシャルの塊です。僕が在籍していた期間は、まさにヴェルディの混乱期だったと感じています。僕だけでなく、この数年クラブの為に全身全霊で働いてきた仲間達は、混乱期の中で「土台」を整えてきました。広報もチケットもホームタウンも普及も運営も営業も。メディアに取り上げられるような大きな仕事は少なかったかもしれませんが、地道に試行錯誤しながら土台を整えてきました。退職していったメンバーもいますが、彼ら彼女らがヴェルディとベレーザに残してくれた功績は本当に大きいです。セールスにおいても、まだまだ満足出来る成果は出せていないが、ある程度の土台は作る事が出来たと思っています。特に「属人的」にならないように、仕組みを作る事を意識してやってきました。僕が転職してきた頃は、辞めた人の頭にしか情報が残っていませんでした。セールスにおけるフロー、冠試合やイベントのマニュアルや報告書、日々のリレーションにおける顧客接点の内容設計、シーズン報告書や効果測定など。属人的にならない仕組み構築に注力してきました。今はそのベースと文化がある程度整ったので、新しいメンバーが入ったとしても立ち上がりはスムーズなはずで、お客様への価値提供の質も下がらないと思っています。最高すぎる仲間と共に、泣き笑い、喜怒哀楽の感情を共にし、夢を語り合った日々を忘れません。今はそれぞれが課題を抱え、苦しんでいる事も沢山あったし、悔しい想いも沢山したと思う。いつか絶対にまた一緒に働こう。大好きなヴェルディメンバー、今まで本当にありがとう。あとは任せた。

▼そして、ファンサポーターの皆さま
本当に、温かかった。感謝してもしきれないです。入社して最初の試合、スタジアムでのパートナー企業紹介時にファンサポーターの皆様が立ち上がって拍手を送っている姿を拝見して、衝撃を受けました。クラブが苦しかった時代をパートナー企業様に支えて頂いた感謝の気持ちがあるからだよ、とサポーターの方に教えて頂き、感動した日を覚えています。ヴェルディに入社する前は、「サポーター=怖い」のイメージが正直あったのですが、そのイメージは早い段階で僕の中から無くなりました。むしろ「クラブの為に出来る事はないですか?」とスタジアムでもSNSでも積極的に声をかけてくれて、クラブスタッフの我々も選手と同じくエネルギーを頂いていました。どんな苦しい時もクラブを支えてくれて、選手やクラブを信じ続けてくれて、言葉では表す事が出来ないほどの大きなパワーを与えてくれる、かけがえのない存在です。心から感謝しております。ありがとうございました。
そんな大切な皆様との約束を果たす事なくクラブを離れる事になってしまい、本当に申し訳ありません。

最後に

かなりの長文になってしまいましたが、ここに書いた内容でも言い表せないほど、社内外関わった全ての方に感謝の気持ちでいっぱいです。

最高の日々と、最高の感情と、最高の仲間に囲まれて、幸せなヴェルディでの生活でした。これからも東京ヴェルディ、日テレ・東京ヴェルディベレーザをよろしくお願い致します。

「佐川さんは色んな人にキッカケを作りました」

退職をお伝えした時にある方に頂いた言葉。この言葉で僕の全てが報われました。誰かの人生を変えるキッカケになりたい、それが僕の人生のテーマです。そのキッカケをヴェルディに関わる方々に少しでも作る事が出来ていたのであれば、そんな幸せな事はありません。

その小さなキッカケが、広がっていくと嬉しいです。

心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。

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