ニッポン戦後サブカルチャー史 および 深掘り進化論

 2014年8月から全10回、NHKのEテレで「ニッポン戦後サブカルチャー史」が放映された。宮沢章夫がホストの語り部になって、50年代から10年ごとのディケード・トピックを独得のパフォーマティブな語り口で追っていた。
 ざっとの構成は、(1)50年代アメリカにサブカルチャーの萌芽を見る(ギンズバーグ、ケルアックなど)、(2)60年代の表現者たちに注目する(大島渚・新宿・カムイ伝など)、(3)極私的に70年代の雑誌とポップスの変遷史をレビューする、(4)セゾンとYMOで80年代を語る、(5)「サブカル」の出現と岡崎京子が見せたことをつなぐ、(6)21世紀に向けてのさまざまなサブカルチャー現象を摘む(MAC・ブログ・SNSなど)、というふうになっている。
 翌年、同名の「DIG 深掘り進化論」が追い打ち放映された。こちらは「総論」「JK」「SF」「深夜テレビ」「ニューリズム」「ヘタうま」「ストリートカルチャー」などの章分けをして、宮沢だけでなく大森望、泉麻人、輪島裕介、さやわか、都築響一(1152夜)が深堀り語りを分担した。
 ぼくは番組の全部を観ていないのだが、いずれものちにNHK制作班の手が加わって書籍化されたので、今夜はこの2冊をとりあげる。便宜上、前者を本書A、後者を本書Bとする。
 ちなみにこのシリーズは2016年5月から短かめの第3弾も放映したようで、90年代サブカルの案内をしたらしい。ぼくは知らなかったのだが、ネットで見ると「渋谷系」「言葉のパラレルワールド」「映像のリアル」「サブカル世紀末」というふうになっていた。ただし本になっていないので、千夜千冊としては言及できない。

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