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[19/20 CL Final] PSG VS Bayern Munich マッチレビュー

1, Lineups

フリック監督は準決勝とは変えてペリシッチではなくコマンを起用してきた。途中で交代したボアテングは出場を危ぶまれたが前日の練習メニューをこなせたとのことでスタメンだった。対するPSGはメンバーをいじらずそのまま同じスタメンで決勝に臨んだ。

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2, 試合の流れ

前半

P08:00 Mbappe dribble FK
P13:00 攻守トランジション
P14:30 C Mbappe Shoot Kimmich block
P17:30 BC Neymar Shoot Neuar Big Save
B19:20 C Gnabry free run from half space
B21:20 BC Lewandowski hit woodwork
P23:00 BC Di Maria ふかす エレーラから
Boateng プレスバックのスプリントでけが/ Sule IN

P27:00 Davies Yellow Fouled on Kherer from Marq Pass
P28:00 Cエレーラのミドルシュート from FK
B30:50 BC Lew shoot from cross Navas BS
B33:40 C Gnabry Diagonal Run
B36:40 C Marquinhos Fouled on Lew FKFront Space of PA
P38:00 BC BUT Herrera Fouled
P40:30 Mbappe dribbled Kimmich Fouled 前に行かせない守備対応 足元に入った瞬間チャレンジ
B41:50 C Marquinhos Cover Clear
P44:50 BC アラバのパスがずれてMbappe エレーラ ムバッペシュート 力が入らなくて ノイアー難なくキャッチ
B45:20 BC Gnabry Navas Catch
B46:00 BC Coman Dribbled Kherer Possible Fouled in Box?

後半

P48:00 C Kherer to Neymar missed Pass
51:30 Gnabry Fouled on Neymar Yellow/ Paredes Yellow
52:00 Muller press back and Cut from Neymar
55:20 Sule Yellow Fouled on Di Maria (Tried to make a counter)
*B58:45 BC Coman Goal Kimmich Assist やはり脇でチャンスを作り出された 中にいたレヴァと入ってきたゴレツカにCBが注意を引きつけられケーラーが孤立して背後を使われた
B60:00 BC Comanがケーラーをドリブルで交わしてCross to Lew Kimpembe Clear
B62:00 BC Coman Shoot Thiago Silva Blocked

64:00 Verratti IN Paredes OUT
64:30 Coman縦突破のケア ケーラーgは対応できず エレーラがブロック
P66:00 C Di Maria Cross Mbappe 抜け出し タッチできず

67:30 Perisic, Coutinho IN Coman,Gnabry OUT コウチーニョ右ペリシッチ左
P69:30 BC Marquinhosボックスに入ってきてシュート ノイアー BS

71:30 Draxler IN Herrera OUT
P72:40 C Di Maria vs Davies

79:00 Bernat,Di Maria OUT Kuruzawa,Choupo IN
82:50 Thiago Silva Fouled on Lew dribbled Yellow
85:00 Kuruzawa Fouled on Kimmich Yellow
86:00 Thiago OUT Tolisso IN
P86:50 ドラクスラーの早い縦パス 惜しくも裏に走るムバッペには届かずカットされた
P88:50 BC Choupo Chance (better to pass Draxler Overlaped) ムバッペオフサイド Bayern のプッシュアップが早かった
P91:10 BC Mbappe Cut IN to Neymar裏抜け Passed Choupo can't hit the ball...
P93:50 Mbappe Carried Ball and Neymarキミッヒ交わして Crossed チュポに届く前にデイビスカバー

3, 両チームの戦術

バイエルン

相手のボールホルダーに前線から素早いプレッシャーを掛けパスを出される前に刈り取る守備と高いディフェンスラインで裏へのスペースを徹底的に使わせない。

攻撃はウィングプレイが多い。ミュラーかレヴァンドフスキーがディフェンスラインと駆け引きをして、押し下げたところの空いた手前のスペースもしくは、背後のスペースをウィングノコマンとニャブリが使っていた。コマンはセンターバックとサイドバックの間のハーフスペースにポジショニングをとって、大外のスペースをデイビスが使っていた。

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PSG 

守備時は基本43のブロックを組んで固く門を閉じる。この試合はネイマールが普段見せない、ビルドアップで経由するチアゴを抑えながら上手くセンターバックとのパスコースを消していた。プレスがハマる時はそこに連動してアンカーのマルキーニョスがゴレツカともうひとりのセンターバックのパスコースを消しながらプレッシャーを掛けていた。

とは言え、チアゴはうまいのでパスをサイドに通されたときはパレデスとエレーラがタイミングを見計らってサイドバックのケーラーとベルナトの守備対応を助けていた。その御蔭で、ムバッペとディマリアがカウンターの前残りのカタチになるので、ウィークポイントとなるサイドバックのところから崩されることは前半少なくすんだ。

攻撃時はネイマールが左側に流れて来てボールを前に運んでチャンスメイクの起点になる働きをしていた。中盤でのこぼれを拾ったときは、マルキーニョス、パレデスがサイドへまず展開してムバッペとディマリアが高速カウンターを仕掛ける場面が多かった。ムバッペは何度かドリブルで運ぼうとしたものの対応するキミッヒと守備サポートに勢いよく戻るミュラーがうまかったのでなかなか抜けずカウンターの起点にはならなかった。

とは言え、バイエルンはハイラインで攻撃するのでバイエルンのディフェンスライン裏のスペースをつくPSGの素早いカウンターで枠内シュートまで持っていける場面は何個かあった。

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4, 目立った選手の活躍

バイエルン

ノイアーはネイマールのシュートなど3本もの大きなセーブをした。パリ前線のプレッシャーが掛かる中、丁寧にサイドチェンジをするロングパスを出すなどビルドアップにも貢献していた。この人がバイエルンの守護神でいる限り、そう安安とはゴールを取れない風格を示した活躍ぶりだった。

キミッヒはムバッペがドリブルで仕掛けるときに、しっかりサポートを待って守備対応をしたり、ボールが相手の足元に入ってコントロールした瞬間にチャレンジに行ったり、相手に背後のスペースを使わせない絶妙なタイミングを図ってアプローチに行く対人守備を行えていた。

チアゴはビルドアップするときにネイマールに厳しくパスコースを消されながらも、ボールを貰ったときには華麗にプレスを剥がしてサイドへ展開する素晴らしい散らしを行っていた。カウンターを受けたときも、素早くセンターバックのスペースを戻って対応するなどデュエルの面でも素晴らしい働きだった。

ミュラーはこの試合でも攻守においてポジショニングが的確だった。キミッヒが中に入って、ニャブリがサイドバックとセンターバックの間に入って裏を狙うときはサイドに張って相手が捕まえにくい位置でパスを引き出していた。守備で、ムバッペにカウンターを仕掛けられてニャブリが戻りきれないときはPA付近から一直線にキミッヒのサポートに戻る素早いトランジショニングの動きがすごかった。

コマンは攻撃の面で何度もケーラーに対してドリブルで仕掛けていた。前半終了間際にはケーラーにボックス内で押されてPKかと思われたチャンスシーンも作り出したし、何度もケーラーに対してドリブルを仕掛けて、明らかに相手が怯むほど勝っていた。さらに言えば、決勝ゴールを決めてこの試合素晴らしい活躍を見せた一人だ。

PSG

センターバックのキンペンベ、ティアゴシウバ二人はペナルティエリアに入って来るクロスを何度も弾いて、枠内に飛んでくるシュートをブロックしたり決定的なシーンで良い守備対応をしていた。

エレーラとパレデスのサイドへの守備対応が効いていた。特にエレーラは守備でケーラーがコマンとマッチアップをするときにはカット・インされないよう横のケア、終いには縦にも突破されたときにクロスをクリアするなど、明らかに一人ではこなしきれないような多くの守備タスクをこなしていた。ディマリアとムバッペにゴールに結びつくビックチャンスになるキーパスを二本出したりと、攻撃の面でもすばらしい活躍ぶりだった。

マルキーニョスは前線からのプレス守備でも、非カウンター時のプレスバックも一人で二人以上の走りをしていた。攻撃のときには、ディマリアがカウンターでラストパスを中に入れたシーンでシュートを打ちにボックス内まで上がってきたところもすごかった。

ネイマールは普段しないプレス守備に加えて、攻撃ではボールを貰って一人以上剥がすドリブルだったり、時にはあえてファールをもらって相手選手にイェローカードを出させたりとてもクレバーな働きだった。相手が狭いブロックを敷いていてもスルスルっと裏へ抜けてボールをムバッペから引き出してラストパスだしたりとオフザボールでも違いを生み出していた。惜しくもノイアーに阻まれたものの、決定的なシュートシーンを生み出したりもした。やはりこのチームのエースは彼だという働きをしたと思う。

5, 得点シーン分析

58:00 Coman Goal Kimmich Assist

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キミッヒが内側に入ってチアゴからの鋭いパスから始まった攻撃。

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大外開いたニャブリへ。レバンドフスキはDFラインを押し下げて、奥行きを作るためのランニング、ニア側にはミュラーが入ってきた。

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ニャブリがミュラーにクロスを入れたことでセンターバックのチアゴ・シウバが前に出ざるを得ず、ケーラーとキンペンベの間のスペースが空いてしまう。

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ケーラの前にはレバンドフスキ、ケーラーがケアできない後ろのスペースにコマンが入ってきたことで生まれたチャンス。キミッヒからの質の高いクロスにヘディングゴール。

6, 締めの感想

バイエルンが史上初、CL全勝、11連勝で優勝となった。前半は点が入らなくて硬い内容だったものの、全選手攻守両面でインテンシティが高い試合だったと思う。

特筆すべき部分は両チームの攻守のきりかわるトランジショニングの速さだ。攻撃をPA近くで仕掛けていて、ボールを失ったとき中盤が素早くプレスにいき、そこで刈り取る能力の高さが両チームとも世界のトップレベルだった。そして、ボールを得たときの攻撃への展開の素早さ。その両局面においてわずかにバイエルンが勝っていたからこその勝利だと思う。

一発勝負という異例のレギュレーションで行われ、観客がいないにもかかわらず、欧州五本の指に入るビッククラブ同士の歴史に残るような素晴らしい決勝が見られて幸せだ。

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