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[CL 対アトレティコ戦]ユリアン・ナーゲルスマン監督の戦術と得点シーン分析

チャンピオンズリーグ今大会ポルトガルで開催となった一発勝負のノックアウトステージ。

ライプツィヒは今大会CL初出場にもかかわらず、ラウンド16でリバプールに逆転勝利した闘将シメオネ率いるアトレティコを2-1で破って準決勝にコマを進めることとなった。

強固な守備を敷くアトレティコに対してナーゲルスマンがどんな戦術を用意してきたか画像を混じえて解説していきたい。

1, 攻守での可変システム

*攻撃時に相手を押し込んだときの基本ポジション

3バックスの真ん中にはウパメカノが入り、ドリブルで持ち上がってアトレティのツートップを剥がす役割と左右への展開。

ライマーがサイドハーフ(ウィングバック)のポジションに入り大外のレーンを活用;幅をとってアトレティのサイドバックまたはサイドハーフを引き出す役割。

ボランチ(インサイドハーフ)にはザビッツァーがポジションを取ってハーフスペースでボールを受ける役割とアトレティの強固なブロック守備を崩す役割をこなしていた。

*最初のダニオルモの得点シーンは大外ザビッツァー、ハーフスペースにライマーというそれぞれの能力に適切なポジションをとっていた。

カンプルはアトレティの中盤のプレッシャーを受け流しながらセンターバックからボールを引き出して、縦と左右へのビルドアップの舵取りを行っていた。

エンクンクはニアゾーンラン(相手CBとSB、サビッチとトリッピアーの間)でボールを引き出す役割を果たしていた。要はサビッチを引き出して中にスペースを作るための動き。

アンへリーニョは基本的に左サイドの幅を目一杯とって、中盤からパスが出る瞬間タイミングよく走り出してスピードに乗った状態でのアーリークロスを上げる役目。

ダニ・オルモは狭いスペースでワンタッチでボールをはたいて自身がボックス内で二番目のフィニッシャーになる動きをしていた。

ポウルセンはターゲットマンとしてアトレティのセンターバックと競り合い、縦に入ったボールを中盤に落とす役割を十分にこなしていた。

*守備ブロックを組んだときのポジション

ザビッツァーがサイドハーフ、ライマーがボランチに入って4-4-1-1のブロックを組んでいた。

基本的にはボールサイドに選手が複数人で圧縮してボールを奪い取る守備を行っていた。

攻守の切り替えのとき、特に非カウンター時には右はクロスターマンがジエゴ・コスタのスペースへのランニングをケアしながらライマーがプレスバックで戻れる僅かな時間を作り出すことが重要になっていた。

その点で言うと、非カウンター時はどうしてもライマーとクロスターマンの間の距離が広がってしまいロディとカラスコのコンビネーションで何度か突破されるシーンが見られた。

対して、左のハルステンベルグはかなり上手くジョレンテのケアやパスコースを切りながらの撤退守備を行えていた。

左サイドから崩されるシーンは何度かあったものの、ウパメカノの高いカバーリング能力とフィジカルプレゼンスでビックチャンスはほぼ作らせなかった。

ライプツィヒはミドルゾーンで引き込んでの守備を行っていたので、攻守には渡って選手感の距離が非常によくルーズボールになってもかなり中盤の選手カンプル、ザビッツァー、ライマー中心にボールを拾えていた。

2,50:00のライプツィヒ先制シーン(ザビッツァーAssist/ダニオルモGoal)

ハルステンベルグの持ち上がりから縦パスをポウルセンにつけてその落としをカンプルに。

カンプルがライマーへボールを渡し、ライマーから大外ザビッツァーへ。

ポウルセンが相手センターバックを背負って受けたことで、相手マークのポジションを少し上げさせたことが布石となった。そこにすかさずアトレティディフェンスの視界から消えたダニ・オルモがニアポケットに入ってきてザビッツァーのピンポイントクロスをヘディングゴールを決めた。

3, 88:00 ライプツィヒの勝ち越しゴール(アンへリーニョAssist/アダムスGoal)

ハルステンベルグからの縦パス。

カンプルは足が滑ってか、意図的かわからないが、プレスをかけたアトレティコの中盤をすり抜けてザビッツァーがワンタッチのアウトカーブパスで大外駆け上がるアンへリーニョへ。

シック、ポールセンが懸命にゴールへ走り良い囮となって、アンへリーニョはマイナスのスペースで駆け上がってきたアダムスへのパスを選択。

アトレティのディフェンスラインが押し下げられすぎてなすすべなく、アダムスのシュートがサビッチ似リフレクとしてゴールイン。

4, まとめ

最初試合が始まったとき右ウィングバックにムキエレがスタメンで入っていなく、どういう形でワイドのポジションを取るのかと思ったら、ライマーがボランチからサイドハーフに出ていってポジションを取るとは驚きでした。

もともとライマーはサイドの選手ではないので前半中によりすぎてワイドを取り切れずアトレティコのブロックに対して効果的ではない時間もありましたが、後半は結局ライマーにボランチをやらせザビッツァーにワイドを取らせたりいい修正が見られて楽しかったです。

個人的には新しい戦術が見れるという意味ではナーゲルスマンのライプツィヒが勝ち上がってくれてよかったです笑。

同時にマッチレビューの動画もよろしくお願いします。

[19/20 Champions League] RB Leipzig vs Atletico Madrid https://youtu.be/fE4rAhudIFU

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