no.4/日向荘流、夏休みの過ごし方【日向荘シリーズ】(日常覗き見癒し系短編小説)
※目安:約4000文字
「今日からはいっちゃんかよ……」
103号室。土日でも夜でもなく、8月11日。祝日ではあるけど午前十時過ぎ。今日からバイト先が夏休みに入ったので、暇だからネットをフラフラしようかなと思ってたくちゃんの部屋に来たのだ。
「ネットだけなら、いっちゃんの部屋からでも傍受できるんじゃないの?」
傍受って……
「できないことはないけど、多分アレがさ、結構障壁なんだよね」
そう言って、左手で102号室と103号室の境となる分厚い壁――押入れ――