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小説『先生の机には引き出しがない』

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生きにくさを抱えた繊細な若者たち、そして心ある大人たちとの邂逅と実り多い未来への展望を瑞々しいタッチで描き出した、優しく清々しいヒューマンドラマ  ★書籍販売中★ ペーパーバッ…
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#生きづらさ

「先生の机には引き出しがない」第1話(全20話完結済)

  目安:約6100文字 第一話 面接「渋谷は、怖いので」  僕が申し訳なさそうに友達の誘いを断ると 「新宿に住んでるやつが何言ってるんだよ」 「じゃぁな柏木」 「また来週なー」  彼らはいつものことだとでも言いたげに笑って行ってしまった。  そのままハイスペックなパソコンが並ぶ実習室に一人残った僕は、手元のスマホ画面に一旦目を戻した。さっき見つけて、ちゃんと読み切れてなかったアルバイトの求人記事。 ・時給千百円から昇給あり ・業務内で知り得た情報について秘密を厳守できる

「先生の机には引き出しがない」第2話

  ※目安:約4300文字 第二話 初日 いよいよ今日が初勤務日。これからのことも詰めたりするし、引継ぎや説明もあるから夕方よりも昼間がいいねということになった。それで土曜日の今日、十二時半に新宿駅で余丁さんと待ち合わせだ。  朝は曇っていたのにどんどん天気が良くなって、てっぺんに昇ったばかりの太陽が二月とは思えないほどの熱を送ってくる。地上からも地下からもいろんな音や気配、景色などの情報が、次々と畳みかけるようにして僕の感覚を刺激し続けている。高い建物がそこだけ切り抜かれ

改稿連載中の小説「先生の机には引き出しがない」設計図通りにまとまりそうなので、多分あと3話(全20話)で完結します。ヨカッタ良かった。ガンバリマス。 ☟こちらがマガジンのURLです https://note.com/ryoumemto/m/m3a4ce412a749 ☟次回使う予定の写真は自分の机の上で撮影。