建築家になるハードルが高すぎる。

こんにちは、建築学生でyoutube建築家の才谷です。

なぜ、建築学生がyoutubeを始めようと思ったのか、結論を言うと、

飛び抜けたセンスはないけど、一生懸命に設計に取り組むデザイナーに光があたる未来をつくりたいからです。


この記事では、そう思ようになったきっかけである「建築家になるハードルが高過ぎる」ことについて記します。


1.ほとんどの案が模型で終わる現状

私たち建築デザイナーは、実際に建てることを目指して多くの提案をします。

それらの提案をプレゼンするために、長い時間をかけて、図面を書き、模型を作ります。
例えば下の画像。才谷が通う大学の卒業設計の提出された模型たちです。

画像1

正直、ものすごい熱量です。
才谷の大学は、特に模型を重視する傾向にあるので、普段からたくさんの模型を作ります。(めちゃくちゃお金かかる…!!)

ところが、これらのほとんどが部屋の隅でホコリをかぶり、ゴミ箱行きとなるケースが多いです。

どういうことか?

ほとんどの場合、募集に対して、応募の中で1位になれなければ そこから先には何もないのです。

例えば、新国立競技場のコンペでも、2位以下はただの模型で終わり。

才谷からみて これが建ってほしい!!と思うものもただの模型で終わりです。(下の画像は、新国立競技場 田根剛の案)

画像2

才谷の実体験としても、めちゃくちゃ時間をかけて自信を持って提案したけど、一部の人に評価されるだけで、ただのゴミと化した作品がいくつもあります。

悔しいし、時間も体力ももったいない。

しかし、この競争(コンペ)に勝たないと、実際に建てることもお金をいただくこともできないのです。


2.金持ちだけが勝ち続ける

一方で、競争で勝つ以外に、実際に建てることができるもうひとつのパターンがあります。

例えば、幼なじみが建築デザイナーになっていたら、有名建築家ではなくて、その人にデザインを任せたい人もいますよね?

もう一つのパターンは、こんな感じの、

直接、自分が指名されるパターンです。

実はこのパターンでお仕事をしている人の方が多いです。(1位になれない人の方が多いので当然と言えば当然です)

この人たちのクライアント(=指名してくれる人)はどこから来るかというと、

独立前の会社・事務所で得た人脈
メディア上で、自分の作品を気に入ってくれた人

のどちらかです。

で、今いる巨匠建築家の多くは
②のクライアントを集めている場合が多いのですが、

その背景として、巨匠建築家たちはもともと金持ちであることが大きい。

ふじもとそうすけにしても、西田司にしても、最初に実家などの建て替えから始めます。
実際に建てたものは、近所の人に見られるし、雑誌に載りやすく、その雑誌や実物を見た人が、クライアントになり、次の実績が建つ。

このようにして、芋づる式にクライアントを掴んで、実務経験の鬼となり、すごい早さで、コンペでも1位を取れるような巨匠へとなります

処女作品を建てるお金さえあれば、芋づる式に進めますが、そうでないデザイナーにとって最初の実績をつくるハードルがあまりに高すぎて、結局なかなかクライアントを掴めないのです。

そのため、多くの設計希望者は、会社か事務所に就職して、実力やクライアントを確保してから独立するケースが多いのですが、それには時間がかかるの現状です。


3.まとめ

実際に建てて、お金をいただくには大きく2パターン。

⑴コンペで勝つ
⑵クライアントがいる

⑴の場合、勝たなければ模型で終わるというコスパの悪さ。

多くは、⑵のパターンでお仕事をしているが、
クライアントには、

独立前の会社・事務所で得た人脈
メディア上で、自分の作品を気に入ってくれた人

の2タイプがあり、
多くの人は①のタイプ、
巨匠建築家たちは②のタイプ

のクライアントから、お仕事を得る形である。

①のタイプのクライアントをとるには、経験と長い時間が必要で、もとから金持ちの巨匠建築家たちは処女作から芋づる式に②タイプのクライアントを得て、勝ち続ける。

コンペで勝つか、
処女作を建てて芋づる式に仕事を得るか、
長い時間をかけて人脈を広げて仕事を得るか

のいずれかとなり、活躍するまでのハードルが高過ぎるのが現状である。