scp紹介第25回scp-120-jp

みなさんこんにちは
本日紹介するのはこちら

scp-120-jp【世界で1番の宝石】

オブジェクトクラス:Euclid

特別収容プロトコル:こいつは現在財団の偽装博物館に収容されており、24時間体制で監視されている。
偽装とはいえ博物館へは人が入場できるようになっており、この化石は世界で最も価値があると説明している。

ここまで来るのに紆余曲折あったのだが、それは後ほど。

説明:このscpは全長15センチの喋るクモガイである。
名前詐欺で申し訳ないが、宝石ではなく貝だ。

しかし、項目名に嘘偽りない。
こいつの特性は人間と同程度の知性を持ちながら喋れること。
そして、こいつに価値があるという人間が近くにいないと貝の中から全長8mの凶暴な巨大生物を出現させる。(こいつはscp-120-jp-1となっている。以下巨大生物)

ちなみに財団機動部隊でも制圧できないくらいに強い。

基本的に自分の意思で貝の中に戻ってくれるのを待つだけである。


ここまでの収容手順が確立するまでに、こいつは何度も収容違反を繰り返した。

100万円くらいだと価値が低いと見なされたり、研究員の子供に教えてあげたら飽きられて収容違反したりと散々である。(いくら収容とはいえ子供に教えるな。)

まぁこの収容違反の数々はここでは割愛するので、是非とも元記事を読んで欲しい。

さて、収容が確立するまでの間にとある研究員がscp-120-jpに気にいられるようになった。

財団が調査した結果、研究員が以下のように考えていたことがわかった。
「だって良く考えたらあいつに壊された分を合わせると、あいつには50億円くらいの価値があるんだなあって、ふと思ったんだ。」

完全に今までの収容違反に対する、アメリカンな皮肉なのだが、これ以降収容違反は起きていない。


一応は収容できたのだが、ぶっちゃけ財団職員で上記の研究員がいつまでも生きてる保証はないし、途中で考えが変わってもダメなのだ。
常にscp-120-jpが10億以上の価値があると思う人間をそばに置いておくなんて大人には無理がある。









ってことは収容難しいからKeterじゃね?
実際こいつ9回も脱走してる訳だし。





しかし、あくまでこいつはEuclid
予断をするさないがある程度の収容は確立されてるのだ。

つまり、こいつに多大な価値があるという人間が存在しているのだ。













その人間はscp-120-jp-2として割り振られている。
なんの異常性のないただの人間の女の子だ。
このscpがアイリと呼んでいるので、この記事でもここからはアイリと記述していく。


アイリは海岸で拾ったこのscpを戸棚の高いところに置いていた。
恐らくこの頃からアイリとscp-120-jpは会話していたのだろう。

ある日アイリの住む地域で土砂災害が発生、これをきっかけに巨大生物が出現し財団に見つかったと言うわけだ。


その後財団はこのscpを輸送する訳だが、アイリと離れてしまったことで巨大生物2回目の出現。まぁそりゃそうだ。

現在は土砂災害で両親を亡くしてしまったため、保護という名目で財団の元にいる。
アイリとっては両親を亡くし、家族としての繋がりはもうこの貝だけになってしまった。
この貝はアイリにとって自分の命と同じくらい、もしくはそれ以上の価値がある存在なのだ。

一応希望があればビデオ通話でscp-120-jpと会話できる。









さて、土砂災害の時になぜ巨大生物が現れたとみなさんは考えますか?
こいつの特性は、周りにこいつに価値があると思う人がいない時に巨大生物が出現する。

しかし、アイリは生きている。
ここから分かる答えはひとつ







この貝が1人の少女を守ったのだ。







このscpはかなりアイリと親交があるようだ。
実際の会話記録を見ていこう。

「SCP-120-JP: アイリ。ここはなんとも大きな施設だ。私にふさわしい場所もどこかにあるかもしれない。

アイリ: ふーん。ヤドカリさんの家来たちもそこに呼ぶの?

SCP-120-JP: アイリ。私の名前は『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』だ。ここは退屈だ。いつか呼ぶかもしれない。

アイリ: ねえイチゴ狩りでとったイチゴでジャム作ったんだけど食べる?

SCP-120-JP: 食べる。」

恐らく財団に収容されてすぐの会話だろう。
この時巨大生物の小型バージョンが貝の中から出てきて食事をする様子が記録されている。

「アイリ: 今日ね、算数のテストで25点だったの。それで先生が怒ったんだけど、ほんとに算数って勉強する意味があるの?

SCP-120-JP: アイリ。この宇宙すべてにおいてもっとも偉大な知識は算数だ。とても意味深いぞ。

アイリ: えー。ヤドカリさんも海の中でも分数とか使うの?

SCP-120-JP: 使うとも。私がクジラを仕留めたなら臣下には16分の1ずつ分け与えるぞ。あとアイリ。私の名前は『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』だ。」

算数の素晴らしさを説くクモガイ、こいつとは良い友達になれそうだ。

ちなみにこの後、知能テストに激しく抵抗している。(そんなに頭良くないんだな…)

「アイリ: ヤドカリさんなにしてるの?

SCP-120-JP: アイリ。私の名前は『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』だ。ココのものは私の価値を知らない。なんとも愚かなサルたちだ。

アイリ: 怖いから大きいの出したらダメって言ったじゃない。

SCP-120-JP: アイリ。ここはお前の家ではない。私は罰を与えねばならない。

アイリ: おじさんたちがあなたが貝に戻るまで話してって言われてるの。[データ編集済:一般的なテレビゲーム]やりたいから早く戻って。

SCP-120-JP: アイリ。お前にはまだわからないだろうがココのものどもに私の価値を
アイリ: 早くして。

SCP-120-JP: はい。」

ゲームに負ける8mの巨大生物。

と、まぁこんな感じで2人の関係性が読み取れるのだ。

…思い出して欲しい。
アイリは至って普通の人間の女の子だ。
成長して大人になったら価値観も変わって来るだろう。
もしかしたら、クモガイの家族が必要なくなる時も訪れるのかもしれない。
果たして財団はその時がきたら一体どうやってこいつを収容し続けるのだろうか?

ある日、このscpは紙とペンを要求してきた。
財団は協議の結果、許可を与えた。

執筆した文章がこちらである。

「きみはいつか大人になる。それを止めることはできない。今、私はきみにとっての世界で一番の宝物だろう。だがきみもいつか別の宝物を見つける。もし、時を止めることができるなら、私はきみの時を止めるだろう。世界で一番の宝物であり続けることは難しい。きみは大人になる。そうでなければならない。きみもいつか子供を生む。そして、その子供に私との思い出を語るときがやってくる。きっとそうなる。思い出の中の私は、今と変わらずに世界で一番の宝物であり、そのとき初めて私は本当の価値を手にする。それこそは世界で一番の宝石[最後の一行は乱雑な線で消されている]」

CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-120-JP - 「世界で一番の宝石」
by ZeroWinchester
http://ja.scp-wiki.net/scp-120-jp

120-JP-Tale - 「アイリと真夏の日曜日」
by ZeroWinchester
http://ja.scp-wiki.net/aile-sunday

↑↑これはtaleと言って、公式ではないがscpに関する二次創作的なものである。
あくまで本編とは別のものと割り切ることもできるが、ほとんどのtaleは本編と深く関わりがあるので読むことをオススメします。

少女と貝の夏の思い出は、2人だけの宝石なのだ。