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「ハイパー起業ラジオ:ネットワーク効果編」のまとめ⑤ ケーススタディ「Amazon」
フェスティナ・レンテ!Ryotaroです!
今回も「ハイパー起業ラジオ:ネットワーク効果編」のケーススタディを書いていきます!
今回はGAFAMの一角をなす「Amazon」を取り上げていきます!
Podcastだと大体このあたり↓の内容をメインに扱います!
それではいきます!
ジェフ・ベゾスがペーパーナプキンに描いたループ図
Amazonの創業者ジェフ・ベゾス。
彼がすごかったのはAmazonを創業するときから、ネットワーク効果を味方につけないと勝ち続けれないということをちゃんと理解していたところにあります。
Amazonが創業されたばかりの頃、ネットワーク効果についての言語化はあまりなされていなかったそうです。
そんな中、ベゾスは投資家に対して自分のビジネスがいかに有望なのか、ということをペーパーナプキンに円を描きながら説明したそうです。その図がまさしくネットワーク効果を言い表しているとのこと。
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この図が何を示しているのかについて解説します。
この図には2つのループ図が描かれています。
一つは、相互ネットワークエフェクトについてのループ図、
もう一つは、低コスト構造と低価格の顧客体験のループ図です。
一つめのループ図:相互ネットワークエフェクト
このループ図は「セレクション」から始まります。
お客様が物を買いに来た時に、「セレクション」が良くないとお客さんは商品を買いません。
反対にセレクションがよく、商品を買う時の顧客体験が良ければ購買行動につながります。
お客さんが商品を買ったら、トラフィックとして売上実績がつきます。
売上実績が売り手につくと、他の売り手もこのプラットフォームで売りたいと思います。
この、「セレクション」→「顧客体験」→「トラフィック」→「売り手」→「セレクション」→・・・というループをベゾスは描きました。
セレクションが顧客体験を良くし、顧客体験がトラフィックを呼び、トラフィックが売り手を誘い、売り手が集まるとセレクションがより良くなる、というのがこのループ図で描かれていることです。
二つめのループ図:低コスト構造と低価格の顧客体験
もうひとつのループ図は、低コスト構造と低価格の顧客体験についてです。
買い手と売り手が集まるループが成立したとしたら、そこにあるのは事業の「成長」です。サービスに人が集まり、事業が成長することで、「規模の経済」が働き、低コスト構造が実現することになります。(この辺りは後述します)
コストを減らせるということは、お客様に低価格で商品を提供できるようになるということなので、結果的に顧客体験がよくなります。全く同じものを他社よりも安く買えたら、お客さんは嬉しいですからね。
顧客体験が良くなるからトラフィックも良くなり、成長から低コスト構造につながって、低価格だから顧客体験がよくなり、トラフィックにつながる。それが成長につながる。
一つ目のループに合わせてこのもう一つのループを描いているところが、ベソスの秀逸なところなのです。
「規模の経済」と「低コスト構造の実現」
前述した、「事業が成長すると、低コスト構造を実現できる」とはいったいどういうことなのでしょうか。
具体例を見てみましょう。
うまいこと経営がうまくいって事業成績が向上し、成長した会社があるとします。
成長に合わせて事業の規模が大きくなるため、例えば運送会社に商品の配送をお願いする場合には、一回で大量の発注をすることになります。すると、無駄なく商品を出荷できるので配送コストを安くすることができます。
また、大量に製品を作ることが決まっているのなら、思い切って自動工場だったりとか、集約工場を建ててそこで商品を製造することができます。すると、効率性が上がり商品製造のコストを抑えることができます。
商品の発送や製造のところでコストを下げることができると、送料無料の金額を下げることができたりします。このようにして色々な商品を送料無料で買えることができるなら、そこにお客さんは集まります。これがAmazonです。
つまりAmazonは売り手が買い手を呼び、買い手が売り手を呼ぶという相互ネットワーク効果に加えて、「規模の経済」も事業戦略のループの中に組み込んでいたということです。
ここがベゾスのすごいところ。
はじめに投資家たちに描いて見せたループ図をしっかりと実現し、未だにループを回し続けて未だに強くなり続けているのがAmazonなわけです。
とはいえ、ループが回り続けるために必要な要素は他にもまだあります。低コスト、低価格を実現するためには事業の成長がなくてはならないのですが、成長の下支えであり、きっかけなのが「セレクション価値」です。
「セレクション価値」と「カスタマーオブセッション」
では、「セレクション価値」とはいったいなんなのでしょうか。
セレクションと言われると「品揃え」を想起いたしますが、ベゾスの語る「セレクション」はそんなレベルではありません。
想像してみてほしいのですが、お店に行って「品揃え」が充実していたとしても、「自分の欲しいもの」が一品もなかったとしたら?
その状態は「セレクション価値」は高いとは言えません。
では、たいして品揃えはないのだけど、陳列棚に自分の欲しいものがいくつか並んでいたら?
この状態が「セレクション価値」が高い状態です。
つまり、セレクション価値が高い状態というのは「買い手にとって欲しいものがあるかどうか」なのです。
セレクションがあるからこそ、購買意欲が湧くし、「買おう」と思ってはじめて「顧客体験」(買い物のしやすさ)などが重要になってるのです。
一にも二にも、まずはセレクション価値を高めることが大事なのです。言われてみれば「確かにそうだな」と思うわけですが、案外この視点に立つことは難しいことです。
ベゾスがなぜこの視点に立つことができたのか。それは、彼が「顧客になりきるぐらいに顧客のことを考えること」に重きを置いていたからに他なりません。
ベゾスのこうした視点や理念は「カスタマーオブセッション」と言います。日本語で言うと「顧客第一主義」です。
この、「カスタマーオブセッション」の考えに基づき、ベゾスが行った革命が2つあります。
セレクション価値を高めるための革命その①「全商品ランキング」
ベゾスが行った革命の1つめは全商品ランキングです。
自分が「売り手」だった場合は、自分の商品がトップ20とかに入るくらいの人気のあるいい商品だったら順位を発表してほしいと思いますが、ランキング圏外だった場合は、そっとしといて、、と思います。
ただ、ベゾスは「顧客第一主義」なので全商品の全ランキングを出せ、と指示しました。
というのも、買い手からすると自分が欲しい商品って必ずしもトップ10に入っている商品ではありませんよね。仮に、自分の買いたいジャンルの商品を5つ選んだときに、1200位と1600位と1902位と、2010位がだったとしたら、やっぱり一番ランキングのいいものがいいかも、と思えます。これがセレクション価値です。
で、究極のところお客さんがどんなセレクションをするのかというのは全くもってわからないわけです。たくさんお客さんが来れば「傾向」はわかるでしょうが、今この瞬間やってきたお客さんが本当に欲しいものがなんなのかはどれだけ考えてもわかりませんよね。
だったら、全商品の順位をつけておけば、お客さんが選んだ商品で比較検討できるのだから、それが一番セレクション価値が高いというわけです。
セレクション価値を高めるための革命その②「全商品レビュー」
上の「全商品ランキング」なんかをサービスに導入してしまったら売り手が嫌がるのは当然です。自社の商品が2010位だなんてことが明るみに出たらまずいわけですからね。
だけど、セレクション価値を高めるためには全商品ランキングを導入しなければならない。
で、どうせ嫌がられるんなら、とことんお客さんのセレクション価値を高め、良い顧客体験を提供して、トラフィックを持ってってやろうと割り切っちゃった方がいいわけです。
あのループ図によれば、トラフィックが集まれば売り手もそこに乗っからざるを得ないわけですからね。
このベゾスの割り切りで生まれたものが、「全商品レビュー(悪いレビューも含む)」です。
こんな、悪いレビューなんか売り手にとってみれば最悪です。ただ、買い手にとってはそのレビューを見て商品を買うかどうかを選べるわけだからありがたいわけです。
ここで少しでも「この策は売り手が喜ばないかもな」と思ってしまったら買い手にとってのセレクション価値は高まらないわけです。
ただ、売り手が嫌がる打ち手を講じて売り手が自社サービスから離れたとしても、そこにお客さんが集まっていれば自ずと売り手も集まってくるわけです。
であるなら、初めから買い手(顧客)を第一に考えてサービスを設計した方が良いわけですね。
このループのシンプル化というところに命をかけているベゾスはかっこいいですね。
「アトミックネットワーク」からの段階的な拡大
最後に、Amazonが仕掛けたアトミックネットワークからの段階的な拡大について見ていきたいと思います。
もしもあなたが周りの人があまり読まないようなマニアックな本を買いたいと思ったとします。
このとき、例えば渋谷にある大型の書店に行こうと思ったとしても、あなたのマニアックさを受け止めてくれるだけの在庫があるかどうか、不安になるかと思います。
「渋谷の大型書店」のような場所だと物理的な在庫管理には限界があり、そのようなマニアックな本というのはあまり取り扱わない傾向にあるからです。
このような一般的な商品を販売するお店というのは「2割8割」と言って「トップ2割」の商品で「売上げの8割」を占めるという状態だったりします。このようはスタイルのことを、頭が大きくて後ろがちっちゃいというイメージから、「ヘビーヘッド型」という言い方をします。
この多くの販売店が採用するヘビーヘッド型かの販売放送をAmazonは採用しませんでした。
Amazonは、あえてニッチ(隙間産業的)な本を取り揃え、全国のニッチな本好きの人たちを狙いました。
このようなニッチな本をずっと売る、という販売方法を「ロングテール型」と言いますが、Amazonはこの方法を選びました。
なぜAmazonがロングテール型の販売方法を選んだかというと、ロングテールとネットショップの相性がとてもいいからです。
倉庫の容量に限りがある(狭い)リアルな本屋では、年に一冊売れるか売れないかの本を仕入れるのは非効率ですが、世界中の誰もが訪れることができるネットショップでは、ニッチな本が倉庫にあっても大して問題ありません。
むしろ、Amazonでしかそのニッチな本が手に入らないのなら、1日1冊くらい売れるかもしれない。
このような販売方法をとることで、いわゆる「街(町)の本屋」に置いていない本でも「ここにならある」と認知してもらうことで、人を集め、なんなら「別にニッチでもない本」であっても買ってもらうように仕組みました。
そして、「ニッチな本」を買うために訪れた人が「メジャーな本」を買うようになり、「本以外の物」も買うようになったとしたら、そこは「買い手がたくさんいる市場」になります。
買い手がたくさんいる、ということは「売り手がたくさん集まってくる」という相互ネットワーク効果が起きることになります。
ここまでくると、買い手が売り手を呼び、売り手が買い手を呼ぶ、というループができあがることになります。
実は、売り手にとっては「一つの売り場」が強くなり過ぎるのはあまり望ましいことではありません。売り手としては、売り場同士で競争をしていてもらえると、「販売手数量を引き下げてくれている方の売り場で商品を出そう」とか選択ができるのですが、一つの売り場が強すぎると「売り手」が「売り場」に対して弱い立場になってしまいます。
だから、売り手としては強そうな売り場が現れたときには「乗っからない」というスタンスを取った方がよい場合もあるようですが、売り場があまりにも強くなって、そこに出品すれば商品が売れてしまうので、結局そこで商品を出してしまうわけです。
ここまでをまとめると、Amazonは
セレクション価値を高める
→顧客体験が良くなる
→たくさんのお客さんが集まる
→たくさんの売り手が集まる
→セレクション価値がさらに高まる
このループを回し続けることで、「ニッチな本を売り買いする」というアトミックネットワークが、「メジャーな本を売り買いする」という少し大きなアトミックネットワークになり、「日用品を売り買いする」というさらに大きなアトミックネットワークを形成することにつながります。
このように事業がどんどん大きくなると
→低コストでサービスを提供できる
→お客さんは低価格の購買体験ができる
→顧客体験が向上する
→またお客さんが集まる、、、
→アトミックネットワークがさらに大きくなる
という無限の成長ループが展開されるわけです。
このまなびを活かし「アトミックネットワークを段階的に拡大させる」という見通しを立てることで、「自分が売りたいものをまずは売ろう!」「自分がしたいことで生計を立てよう!」と無計画に思うのではなく、
「本当に自分が売りたいものをお客さんに届けるために、まずはニッチなことからはじめてみよう!」と思えれば、ビジネスの勝機をつかむことができるのかもしれません。
また、自分が何かを売るとなったら、売り場の状態をしっかりと見て、知らず知らずのうちに売り場に取り込まれてしまうなんてことのないようにもできるわけです。
これまで見てきたAmazonの事例から、今後何か新しい事業を展開するときや、事業とはいわずとも新しいプロジェクトを立ち上げるときに必要な考え方を多くまなぶことができます。
このまなびを胸に、未来を生きていきたいですね!
今回は以上です!
それでは、すろすろ、すろーす!
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