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「ハイパー起業ラジオ:ネットワーク効果編」のまとめ⑥ ケーススタディ「Microsoft」

フェスティナ・レンテ!Ryotaroです!
今回も「ハイパー起業ラジオ:ネットワーク効果編」のケーススタディを書いていきます!
今回は「Microsoft」を取り上げていきます!

Podcastだと大体このあたり↓の内容をメインに扱います!

それではいきます!

ネットワーク効果の2つの流派

本題に入る前に「ネットワーク効果」についての振り返りです。
ハイパー起業ラジオの中では、ネットワーク効果には2つの流派があるよ、ということが語られています。

その2つの流派とは
・相互ネットワーク効果
・ネットワーク外部性
です。

相互ネットワーク効果とは、
売り手がいるから買い手が集まって、買い手がいるから売り手が集まって、じゃあまた売り手がいるから買い手が集まって、というループが作られていることです。

ネットワーク外部性とは、
そのサービスを利用する人が増え、それを使ってない人が仲間外れになりたくないからそのサービスを使うという状態にしてしまうことです。こうなったらもう、そのツールを使わざるを得なくなりますよね。

今回のケーススタディでは、後者の「ネットワーク外部性」についてまなんでいきたいと思います。

Microsoftからまなぶ「ネットワーク外部性」

発展の鍵は「ネットワーク外部性」

以前のnote記事では、コミュニケーションアプリである「LINE」のネットワーク外部性について書きました。

LINEというアプリを使っていないと、もはや仲間外れになってしまうから自分もLINEを使う。これがまさに、ネットワーク外部性をわかりやすく示している事例だと思います。

また、1980年代のアメリカのAT&Tという通信企業(電話会社)もネットワーク外部性を使っています。

この企業は独占的にアメリカの通信を取りまとめてしまって、州をまたいだ長距離な電話や国際電話で自分たちのネットワークの範囲を広げていった企業でした。

このように、通信網や連絡アプリが広まってしまうと、その網やアプリに自分も乗っからないと、連絡を取りたい人と連絡を取れなくなってしまうので、そういったものに乗っからざるを得ないのです。

このように、「ネットワーク外部性」について語るときは、メッセンジャーアプリや電話会社が事例として取り上げられるのですが、Microsoftもまたネットワーク外部性を使って拡大した企業なのです。

Microsoftといえば、WindowsというOSを開発し、そのOSでもって勝利を掴んだという風に思われがちです。macOSやLinuxなど他のOSも普及してきてはいますが、いまだにシェア率は7割を超えています。

こういった事実があるからこそ、「Microsoftは優れたOSを開発することができた。だからこそ、ここまで発展することができた」というイメージを抱きますし、Microsoftの発展は「技術」によってもたらされた、という風に考えてしまうわけです。

ただ、実のところMicrosoftがここまで繁栄できたのは「技術」以外の側面の方が大きいのです。その側面というのが「ネットワーク外部性」なのです。

Microsoftが敷いたネットワーク外部性

Microsoftの繁栄はネットワーク外部性によってもたらされた、とはいったいどういうことなのでしょうか。

ネットワーク外部性とは、「仲間外れになりたくない状況にすること」なのですが、Microsoftはユーザーに対して「仲間外れになりたくない」とどのようにして思わせたのでしょうか。

その鍵は、Microsoft Officeです。

Word、Excel、PowerPointといったソフトがネットワーク外部性を構築する重要な鍵だったのです。

・文書作成(Word)
・表計算(Excel)
・プレゼンテーション(PowerPoint)

といった、ビジネスにおいて最も大事なツボをおさえ、Microsoftは「共通言語」を作ることに成功しました。Word、Excel、PowerPointという共通言語なくしては、社員同士や取引先とのコミュニケーションをとることができない。そう表現しても過言ではない状況をMicrosoftは作り上げたのです。

ビジネスにおいては、もはやこれらのソフトを使わないという選択肢はありません。なぜなら、やり取りを必要とする他社がすでにそのソフトを使っているからです。

「弊社はWordではなく、他のソフトを使いたいのだけど、、、」という余地はないのです。

技術面で一番でなくてもいい

このMicrosoftのネットワーク外部性による成功が示唆しているのは、大切なのは「技術」ではなく「戦略」だということです。

例えば、日本には一太郎という素晴らしいワープロソフトがありました。

このソフトは日本語特有の縦書きに対応していたりだとか、漢字にルビ打ちができたりだとか、きめ細かく日本語に対応したソフトでした。

もしかしたら、日本における文書作成ソフトでは、Wordよりも一太郎の方が素晴らしいのかもしれません。

それが、海外展開をしている大企業とかがWordを取り入れてしまい、大企業同士のやり取りがWordになり、親会社から子会社のやり取りがWordになり、小さな会社同士のやり取りもWordになって、という風になっていくと、「技術では一太郎の方が優れているけれど、みんなが使っているからWordを使わざるを得ない」という状況になってしまいます。

Microsoftは、このようなネットワーク外部性を作ることがうまかった。それに加えてソフト自身の使いやすさも向上していくとなれば鬼に金棒で、もう対抗できる術はないのです。

国も恐れるネットワーク外部性

このようにして、MicrosoftがWindowsOSや Microsoft Officeで覇権を握ってしまうと、もはやコンピュータビジネスにおいては最強状態になります。

そんな中、インターネットブームが訪れました。このときMicrosoftは「インターネットエクスプローラ」というブラウザを開発し、インターネットの入り口までをもおさえようとしました。

しかし、さすがにこれには「待った」が入りました。

もうこれは、Microsoftを分割した方がいいのではないか、というところまで話が出たのですが、「他のブラウザーを入れてもWindowsとインターネットエクスプローラーと同じぐらいの相性の良さにちゃんとしなさいね」というところに落ち着きました。

このように、ネットワーク外部性が強くなりすぎると、あまりにも独占状態となって一つの企業が強くなりすぎてしまうため、社の分割を要請されることがあるのです。

このnote記事のはじめに名前が出てきたAT&Tという通信会社は、どんどん自分のネットワークの範囲を繋いでいってしまったために1984年に国の命令で会社が7つに分割されてしまいました。

このように、ネットワーク外部性というのは国が分割命令を出すほどの威力を持った打ち手なのです。

ビッグテックと呼ばれている企業はこうした強力なネットワーク効果を敷いているからこそビッグテックになり得ているのです。

しかし、2024年という年はAIの発展が目まぐるしい年です。検索エンジン業界では敵無しだったGoogleも、PerplexityやOpenAIのSearchGTPなどのAI×検索エンジンという新しい波に脅威を感じているはずです。

Microsoftも例外ではありません。これまではネットワーク外部性により盤石だったその地位も、AIの発展によって危ぶまれるかもしれません。

そんなとき、ビッグテックはどんなMOAT(堀)を敷くのか、新興企業はどんな作戦や戦術でその城を落としにかかるのか。
こうした熾烈な争いから目が離せません。

今回は以上です!
それでは、すろすろ、すろーす!

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