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【IR分析】ロイヤルホールディングス株式会社 2022年12月通期決算

今回は高級ファミリーレストランで有名なロイヤルホストを運営するロイヤルホールディングスのIR情報を分析します。

・会社概要

CEO:阿部 正孝
資本金:17,830,138,262円
従業員数:連結 1,875名
設立:1950年4月
決算月:12月

・サービス概要

・外食事業(ロイヤルホスト、てんやなど)
・コントラクト事業(高速道路や空港のフードコート飲食店)
・ホテル事業(リッチモンドホテル)
・食品事業

高級ファミリーレストランであるロイヤルホストを主軸とし、ホテル事業であるリッチモンドホテルの運営も行っているのは意外ではないだろうか。
今回は主軸であるロイヤルホストの経営方針から、コロナが収束した今、外食業界で勝ち抜きヒントを探っていく。

・今期実績と成長要因


ロイヤルホールディングス㈱2022年12月期決算説明資料より


ロイヤルホールディングス㈱2022年12月期決算説明資料より

今期コロナ禍で初めて黒字転換に成功した。
今期は国からの助成金1,583百万円を計上しているが、経常利益2,156百万円のため、助成金抜きでも黒字となる。コロナの影響で同業者が回復していない中、ロイヤルホールディングスが黒字転換できたのはなぜだろうか。

・価格帯
ファミレスの中では中価格帯で、少し高いけど質のいい料理とサービスを受けられる業態が当たった。コロナ禍で外食する機会が減り、消費者のお金の使い道が安くてコスパが高いものから高付加価値な商品に変わった。

しばらく外食できていないから手軽においしい料理が食べたい。レストランは入りづらいけど、自分へのご褒美で質の高いものを食べたい。コロナ禍で外部との接触が少なくなった反動でこういった需要が一気に加速した。
その需要にロイヤルホストがマッチしたのだ。

・高付加価値
前述したように他のファミリーレストランに比べて商品サービスの付加価値が高いことが黒字化の大きな要因となった。ここからはロイヤルホストがなぜどのようにして付加価値の向上に力を入れたのか探っていく。

コロナが収まった今、社会は需要喪失から供給制約へ変わった。コロナが収束して需要が加速している社会で、労働人口減少により労力が追い付かず、継続的に価値を提供できない規模の拡大ができないという問題がある。
市場成長と供給力の関係性が非常にわかりやすいのが、下の図の環境マトリクスだ。

ロイヤルグループの生産性向上の取り組み」より

図からわかるようにロイヤルホストは供給力は低く、市場成長力も低い位置づけをしている。この位置における課題は「質の成長」と定義した。
ロイヤルホストの名前がホスピタリティレストランであるように、効率重視の最新AIを用いた接客ではなく、機械やロボットにはできない笑顔、気遣いがお客様に付加価値を感じていただけると考えている。だがホスピタリティを維持することは市場成長や規模の拡大と相反する。

「ロイヤルグループの生産性向上の取り組み」より

グラフのようにロイヤルホストの業態は、規模が大きくなるにつれて価値が減少していくサービスだ。継続的に付加価値を提供するには、規模を縮小することも時に必要だということがよくわかる。規模の縮小により来客数は減少するので、付加価値の向上により客単価をアップさせることに専念した。

売上高=客単価×来客数

「ロイヤルグループの生産性向上の取り組み」より

具体的な客単価アップを図る施策として、2014年の国産食材提供に力を入れ、ファミレスで気軽に国産の料理を食べられるという付加価値を与えた。営業時間短縮や店休日などにより来客数は減少しているが、客単価の向上により、結果として売上は右肩上がりに上昇している。

コロナが収束して、需要が高まっている外食業界で勝ち抜くには、どのようにして付加価値を提供できるかがカギとなるだろう。

・さいごに

今回はロイヤルホールディングスの外食業界における成長戦略について分析しました。環境マトリクスの図は外食業界だけでなく、サービス業全般で参考になると思います。

今後も皆様の役に立つ情報を発信していきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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