最高のピッチだった
昨年に引き続き、IVSが京都で開催されている。
やるべき仕事は溜まっていたのだけど、仕事は土日でも夜でもできるし、せっかく京都開催なのだからと、LAUNCHPADを観覧してきた。
運動がてら、自転車で向かったのだけど、めちゃくちゃ暑くて、倒れそうだったけど、結果、本当に行って良かった。
今日受けた刺激が消えてしまわないうちに文章に残しておく。
全ての登壇者のピッチを聴きながら、「自分がこの会社の経営者だったら次に何をするか」という問いを立て、ピッチの先を予想しながら熱心にメモをとっていたのだけど、これは本当にすごいなと思う会社が5社あった。
この凄さというのは、主に、今の自分には取れないと感じられるようなリスクをとっている点にある。
自分は学生時代に創業した会社をずっと自己資本で育ててきたので、キャッシュフローへの危機意識がかなり強いと思っている。1円たりとも無駄な出費はしない。少しでも無駄になる可能性があるのなら会社の経費は使わない。
最近は大学時代の先輩が続々と入社してくれているのだけど、学生時代の自分のイメージは結構クレイジーだと思われていたようで、堅実な経営方針とのギャップに驚かれたりする。
では、堅実さは弱みなのかと言えば、全くそうは思わない。
堅実であることは、大胆な意思決定ができることと全く矛盾しない。
むしろ経営者は堅実でなければならないと確信している。
リスクを取れない理由は、人間の性質ではなく、その選択をリスクだと思っていることにある。
今日、すごいと感じさせられた人たちは、自分がリスクを取っているなんてきっと微塵も思っていない。逆に、自分がリスクを取っていると思っているなら、まだ考えが浅いんだと思う。
プロダクトがある程度軌道に乗っていて、本気で成長戦略を練り上げれているのであれば、次に何をすべきなのかが手に取るようにわかるようになる。
たとえ突然新しい話が舞い込んできても、描いている事業成長のどこにいつ当てはめるべきかを即座に判断できる。
スタートアップのサクセスストーリーを聞いていると、大喜利のような突飛なアイデアが世界を変えているように感じられるときがある。
だから、その表層だけを学んで、経営者自身も本当は価値を理解していないんじゃないかと思うようなビジネスアイデアを聞くことも多い。
よく練られたビジネスアイデアは、当たり前のことしか言わない。
当たり前に価値があるから、当たり前にニーズがある。
誰が、いつ、どんな風に使うのかが当たり前に理解できる。
どう考えたってうまくいくとしか思えないこと。
そのプロダクトが存在していないことが、世界のバグにしか思えないこと。
少なくとも自分自身はそう確信できるレベルまで考えを練り上げることが、アイデアを磨くということ。
まだ自分がその価値を理解していないのに、どこかで考えることを放棄して、具体的な仮説もなくニーズを市場に問おうなんて、それはただの道楽だと思う。
ビジネスアイデアは使い慣れた具体的な言葉で語るべきだ。
アイデアを説明する時には、情緒もいらないし、驚きもいらない。
ビジネスとは、世の中に当然あるべき不足を補うもの。
ピッチを聴きながら、多分そんなことを考えていた。
そして何より、本気でやりきっている人は本当にかっこいい。
すごく刺激になった。めちゃくちゃかっこよかった。
そして当然今は寝ていられなくなっている。
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