馬鹿試合

吹雪の中、あなたは歩いていました。そこであなたは一人ぼっちで泣いている少女を見かけました。木の葉の形をした髪飾りをつけた、まだ二桁もいっていないような可愛らしい女の子です。

「迷子かい?」と尋ねるあなたに「吹雪でお家が見えなくなっちゃったの」と言う少女。あなたは「おじさんが一緒に探してあげるよ」と少女の手を引き、銀世界に足跡を残していくのでした。

次は少女が「おじさんはどこに住んでるの?」と尋ねました。

あなたは「今歩いてるところとは反対側にある山奥の小屋だよ」と答えました。

少女は「ほんと!」と今までの不安そうな顔が嘘のように目を輝かせていいました。あなたはなぜここで少女が喜んだのか皆目見当もつきませんでした。

そのうち吹雪が弱まってきて、視界がはっきりと冴えていくのがわかりました。

次にあなたが「お家はこっちの道であっているのかい?」と念を押すように問いかけました。

少女は一瞬慌てたような素振りを見せましたが、大きく何度も頷きました。

そして少女は「この道知ってる!もう大丈夫!」とあなたに言ってきました。続けて「おじさんいつかお返しするね、うちでとれたお野菜、おじさんのお家までいっぱい届けてあげるから」と言われ、あなたは幼い子に恩を着せてしまったことに申し訳なさを覚えながらもこの厳しい時期を乗切るためには食料は必要不可欠だったので感謝を述べました。

そしてあなたは「おじさんはいつも猟にいってるから家にはなかなか居ないよ。だからここから少し歩いところに大きな大木があるからそこの下に置いてくれるとおじさんはいつも散歩してるから受け取れるよ」というように言った後、あなた達は手を振って別れました。

あなたは少女が行ったことを確認してから腰を下ろし、菅笠の中に忍ばせていた木の葉を取って四本の足で反対側の住処へと走り出しました。

住処に帰ってしばらくするとあなたの相方も少し遅れて戻ってきました。

あなたは「おつかれさん、今日の成果はないけど近いうち新鮮な野菜が手に入るぞ」と自慢げに話します。

「子供を騙すのはちょっと心苦しかったけどな!」とあなたは悪く笑いました。

相方は「お前は悪いやつだな、騙すならやっぱじじいだろ。しかもやつはここら辺に住んでいるらしいし、普段は家を空けてるんだってよ」と微笑を浮かべながら言いました。

そしてあなたと相方は2匹で大口を開けて笑いながら言いました。

「やっぱ人間って馬鹿だわー!」

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