見出し画像

グラビアアイドル推し活日記(14)職業としてのグラビアアイドル

グラビアアイドル推し活日記⑤の続き。

今回読んだ本

(1)織田祐二「グラビアアイドル「幻想」論 その栄光と衰退の歴史」2011年
(2)倉持由香「グラビアアイドルの仕事論」2019年

上記(2)を読んでの感想を書いていこうと思う。

①あらすじ
グラビアアイドルという聞いて、「可愛くて胸さえ大きければ水着姿を見せるだけでお金を稼げる楽な職業」と認識している人がいるとすれば、それは大きな勘違いである。現実は想像以上に厳しいのである。

芸能界では地位が低く見られがちなグラビア業界で稼げる人はごくわすか。雑誌のグラビア、テレビの一席を巡り、熾烈な競争が繰り広げられるグラビアアイドルの世界を生き残るには打算的な戦略が必要だと主張する。

本書は筆者が編み出したSNSによる自己プロデュース術と仕事論について自身の経験をもとに語られている。

②感想
職業としてのグラビアアイドル。

本書のもう一つのテーマではないだろうか。

もう一つのテーマを紐解くためのキーワードとともに本書の感想を述べていきたい。

①顧客目線

これは当たり前すぎるが、意外と忘れがち。
顧客(ファン)のことを常に考えることが大切である。これは表現する上においても、日々の活動においても大切な視点である。

②ストーリー性を持たせる

何事も世に出てから、多くの人に認知され、いつの日か成功する。その成長過程を見せ、ファンも追体験できること、共感してもらえることが重要である。

いきなり成功した姿を見せられても感動も何もしない。

③知名度のピラミッド理論

まずは自分を認知してもらうこと。グラビアタレントであれば、どれだけプロポーションが優れていても、知ってもらえなければ話にならない。

ティッシュ配りのように知名度を高め、少しずつコアなファンを増やしていく。ピラミッドの最下層にいる人々に自分を認知してもらうことが欠かせない。

この理論は芸能に限らず、あらゆる分野で応用できる。

④自分を一言で表す

これが意外に難しい。

自分をよく理解していないと言い表せない。自分で考えても、フレーズと自分自身があまりにかけ離れていては認知してもらえない。

紹介されてイメージしやすい一言を編み出すことが重要。

⑤継続と数字を味方に付ける

自分の立ち位置、価値を確認する上でも数字による裏付けが全てを決めると言っても過言ではない。接触が多いほど、人は好感を持つとされる。

では、どうすれば数字が伸びるのか。
そこは自分の頭で考え、数字が伸びる方策で継続することが重要である。数字が全てではないが、根拠を裏付けるという意味では有効に使える。

⑥お、値段以上のニトリズム精神

家具大手ニトリに倣って著者が名付けたものである。

付加価値を付ける、1+1=2以上を生み出すことである。
つまりは、依頼者の期待を上回るパフォーマンスとちょっとした一工夫を「お、値段以上」と呼んでいるのである。お金を払う、払ってよかったと思えるパフォーマンスでなければ失望、落胆に繋がってしまう。

⑦定年はないが存在感がないと生き残れない

どんな業界でもそうだが、飽きられれば終わり。だからこそ、別の軸を設けることが長生きするコツだという。

自分の好きなもの、こと、特技で活かせるものがあればそれもまた武器になる。
グラビアは消費サイクルが早いとされる。毎年多くのタレントがデビューしているが、ある程度の知名度で、翌年まで残れているタレントは少ない。

ランキングで常に上位でなくとも、必ずランクインできていれば、充分生き残れているということになる。

⑧差別化と複数の足で自分を支える

⑦の続き。
誰にも負けない何かを作る。
色んな方向性を探り、複数の足で自分を支える。一本足打法は自分のフィールドを失った際に、逃げ道がないリスクを抱えることになる。

⑨真剣に向き合うこと

どんな仕事でもそうだが、真剣に向き合っていないと何も得られない。

愛を持って接する。
某消費者金融のCMではないが、仕事への向き合い方一つで相手の反応が変わることもある。

推し活するようになったのも、推しが手を抜くわけでもなく、真剣に向き合っていたからである。

グラビアさつえいには、カメラマン、メイク、スタイリストをはじめすべてのスタッフが真剣に取り組んでいる。

向き合い方一つで次が決まる。

全くそのとおりだと思う。

⑩事前研究を欠かさない

言い換えれると、準備を怠らないことだろうか。

仕事相手、内容に応じた準備がある。求められていることは何か徹底的に研究する。

脳内リハーサルと反省の繰り返しで魅せ方を学んでいく日々だった。

最後に

もう一つの裏テーマとして「職業としてのグラビアアイドル」を掲げた。

本書は筆者自身がグラビアアイドル、グラビアタレントとして、売れるためにどう活動してきたかが書かれている。

本書の冒頭で倉持さんは、「可愛くて胸さえ大きければ水着姿を見せるだけでお金を稼げる楽な職業と認識している人がいるとすれば、それは大きな勘違いである。現実は想像以上に厳しいのである。」と語っている。

楽してお金を稼げる仕事はこの世に存在しない。家事一つとっても、そうだと思う。

日々の積み重ねがあって初めて、職業として成り立つ。

グラビアタレントとして様々なフィールドで活躍している彼女たちもまた血の滲むような努力で勝ち上がってきている。

そんな彼女たちが魅せる表現には、鑑賞する一人の人間として、
単に水着がかわいいといった表面的なものではなく、表情やポージング一つ一つに良さがあると思っている。まさに、可能性を秘めた芸術と言ってよい。

本書は自己プロデュース術として、グラビアに限らず一般ビジネスにも応用できる要素が含まれている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?