2024年の夏、僕はフィンランドの永住権を取得した。 手にした新しい在住カードに、永住権(Pysyvä oleskelulupa)を示す「P」の文字が刻まれているのを見た瞬間、胸が高鳴った。ついに、移住が現実となり、これまでの不安が吹き飛んだ感覚があった。フィンランドでの生活は6年目を迎え、ようやくこの国に根を下ろしたと感じられた瞬間だった。 僕のフィンランドでの生活は2018年、アールト大学院の修士課程に留学したのがきっかけだ。当初は2年間の修士課程を終えたら日本に帰国
現在、僕はスイス・スウェーデン資本のABB(アセア・ブラウン・ボベリ)という会社でシニアUXデザイナーとして働いている。2023年3月に入社してから1年半が経ったのでこの節目にこれまでの経験を振り返り、公開可能な範囲で感想をまとめてみる。 ビジネスの詳細については書けることに制約があるが、ヨーロッパ資本の巨大なエンジニアリング企業でデザイナーとして働くことがどういうものか、その魅力とチャレンジについて記録しておきたい。 ABBについて概要と歴史 超ざっくりレベルで:
元々僕はIDBM修士課程を卒業してからは日本に帰る予定であったのだが、気づいたらフィンランドに居残ってから2023年8月現在では計5年間が過ぎようとしている。 IDBM入学時、当プログラム卒業後のキャリア構築については手探りで情報を仕入れたものの、当時は日本人留学生の立場からフィンランドに残って就職するケースの情報があまり見つからなかったと記憶しているので、知り得ることには限りがあった。なので終わったら必然的に日本に帰って留学経験を活かす、という様な選択肢を予定した。 し
「おめでとうございます!あなたを当社に採用したいと思います!承諾しますか?」先日応募した企業から、こんな電話がかかってきたとする。 貴方は嬉しさでいっぱい。苦労して書き直した履歴書、何回も通過した面接、数えきれないお祈りメール。。そしてやっともらえたオファー!電話越しに満面の笑みを隠しきれない。 相手が考えを改める前に、自分をロックインさせなきゃ!そう思い、言われたオファーに「はい、分かりました、承諾します!」と元気よく答える。 これは海外転職の場で一番やってはいけない
2023年の3月をもって「北欧のメルカリ」であるSchibstedを退職し、4月より、スイス・スウェーデン資本の重電工業のABB(アセア・ブラウン・ボベリ)にUXデザイナーとして転職した。 この会社は産業自動化/電力技術/etc.のエンジニアリング企業だ。日立やシーメンスと似たような会社、という比較が分かりやすいかもしれない。僕は勝手にそう思っている。 スイス・スウェーデン資本といってもフィンランドにも開発拠点があり(世界中に拠点があり日本にもある)エスポーの自宅から自転
僕は現在Schibstedという、北欧のメディア+テックのコングロマリットでサービスデザイナー/UXデザイナーとして働いている。この会社には2021年の2月から在籍しているが、就職して1年半以上が経過したので、その感想を公開できる範囲で書く。 フィンランドで働くということについては以前、IDBMの先輩である国枝さんからインタビューしていただいた記事もあるが、今回はもう少し深堀した業務内容や、ソフト面の感想といった部分も交えてまとめてみたい。 (国枝さんからインタビューいた
たまにIDBMの事について質問をいただく。 しかし、僕が卒業してからもう2年もたっているので、IDBMについての僕の知識と経験は古いかもしれない。自分の記憶もあやふやになってきている。 実際にリアルIDBM生としてプログラムを肌で感じれる機会はもうないので、むしろ僕が聞きたいくらいである。 IDBM時代のチームメイトで、現在でも仲の良い友人が、現在はIDBMのDoctoral Candidate(博士号生)としてプログラムの発展に力を注いでいる。たまに会ってIDBMの現
時は2010年の夏。僕はボストン大学を卒業し、ニューヨークに事務所を構えるカリム・ラシッド氏にインターンをしにニューヨークへ越した。 カリム・ラシッド氏は90年代に活躍したインダストリアルデザイナー。ピンクや蛍光色が眩しいカラーで、奇抜なボヨンボヨンの形状が特徴のデザインは一世を風靡した。インダストリアルデザインだけでなく、建築やインテリアの分野でも活躍した。椅子などの家具もカリム・ラシッド・デザインで有名なものが沢山ある。 彼のもとでインターンをするのは多くのデザイン学
7月も半ばに差し掛かり、ヘルシンキは連日20度前後のちょうど良い気温である。 会社では多くの同僚が7月から丸々1ヶ月間夏期休暇を取っているが、僕は少しズラし、8月に取ることにしたので、まだ働いている。うちの会社で7月に仕事をしている社員は本当に数えられるほどだ。 いつもカレンダーをビッシリ詰めているミーティング等が少ない分、個人的に進めたいリサーチ活動や、figmaでの細かなデザイン作業などが捗っている。社内Slackも静かで他からの邪魔が入らない、こういった集中できる時
アアルト大学IDBM卒業後、Schibstedという北欧の会社でサービス/UXデザイナーとして働いています。ここフィンランドで働き始めて1年強になりますが、会社のことやビジネスドメイン(北欧エリアにおける不動産事情)のことなど、少しずつ理解できてきた感があります。当記事では会社と、就職までのざっくりとした経緯について書きます。 Schibsted とはどういう会社なのか日本で知られていない会社だと思いますが北欧エリアのメディア&テック・コングロマリットです。「シブステッド」