都庁職員の年収について

働く上でどれくらい給与をもらえるのかというのは気になることだと思います。質問箱でもよく質問が寄せられますので、noteに書いてみたいと思います。
一つの参考になるのが人事委員会がホームページに掲載しているモデルだと思いますので、これに触れながら話していきたいと思います。
(限りなくシンプル化して話を進めていますので、「こういう場合もあるのでは?」とかいうツッコミはご容赦ください。)

令和4年8月13日時点の例月給与モデルは以下のとおりです。
25歳係員   220,920円
35歳課長代理 368,760円
45歳課長   606,600円
50歳部長   762,960円

これにわかりやすく給料表の詳細を付け加えると以下のようになります。
25歳係員   220,920円(1級29号184,100円+地域手当20%36,820円)
35歳課長代理 368,760円(3級39号307,300円+地域手当20%61,460円)
45歳課長   606,600円(4級53号415,900円+本庁担当課長級管理職手当 
             89,600円+地域手当20%101,100円)
50歳部長   762,960円(5級2号508,900円+本庁担当部長級管理職手当
             126,900円+地域手当20%127,160円)

モデルの級と号、それと役職がわかったところで、ここからようやく本題です。
それでは、そもそもこのモデルに当てはまる職員がどれくらいいるのかということについて調べてみたいと思います。
一つの物差しとして、仮に人生浪人なしで入庁(=新採1年目に23歳)、毎年4号昇給、主任試験、課長代理選考、管理職選考Bを一発合格、課長級もとんとん拍子に出世して標準の10年で終わらせた方の号級を示しておきます。
1年目 主事  1級29号

5年目 主事  1級45号
6年目 主任  2級17号

10年目 主任  2級33号
11年目 課長代理3級29号

15年目 課長代理3級45号
16年目 出先課長4級29号

25年目 統括課長4級65号
26年目 出先部長5級1号
28年目 担当部長5級2号

①25歳係員(1級29号)
 特段の前職がない場合、1Bの新採はみな1級29号からスタートになりますので、大学受験で1年、就職時に1年浪人などの方が該当することになります。これはそれなりに当てはまる方がいるのではないかと思われます。

②35歳課長代理(3級39号)
 上記の物差しにあてはめると、13年目3級37号と14年目の3級41号の間となります。13年目に課長代理になっているためには、最短でも主事5年、主任5年が必要なことを考えると、主任試験や課長代理選考の不合格の合計が2回以内の方が該当することになります。主任試験の合格率(30歳前の択一免除組は合格率がやや高い)や、主任Aに早い段階で受かる優秀な人は年数を満たせばそれなりの割合で課長代理に昇格することから、同期の3割くらいが13年目で課長代理以上という条件を満たすのではないかと思われます。

③45歳課長(4級53号(本庁担当課長))
 上記の物差しにあてはめると、22年目4級53号に該当します。22年目に本庁担当課長になっているためには、最短で主事5年、主任5年、課長代理5年、出先課長2年が必要なことを考えると、試験や選考の失敗は3回以内の方が該当することになります。課長代理までは限りなく②のパターンに近くさらにそこから管理職試験に合格しなければならないことと管試Aに受かっている方もいることを考えると、同期の1割くらいが23年目で担当課長以上という条件を満たすのではないかと思われます。

④50歳部長(5級2号(本庁担当部長))
 上記の物差しに当てはめると28年目5級2号に該当します。28年目に本庁担当部長になっているためには、上記物差しで示したとおり、23歳で入庁、その後主任試験、課長代理選考、管試Bを最短で、かつ、課長10年+出先部長2年の一度も不合格がない出世ルートを歩んできた強者しかたどり着けません。②や③が何回か不合格が許されていたのに対して④では不合格が全く許されなくなりました。当然管試Aで受かった人も含まれてきますが、管試Aの合格者又は管試B合格者のうち一度も不合格がない人、と考えると、③よりもさらに限られ、同期の数%しか28年目で出先部長以上という条件を満たさないのではないかと思われます。

以上のとおり、同期のうち、①はほとんどの人が、②は3割くらいの人が、③は1割くらいの人が、④は数%しかモデルには該当しないということになります。
人事委員会は「モデル」として掲載していますが、ここでいう「モデル」とは、「この年齢でこの役職ならこれくらいもらうのが普通だよ」ということであって、「ただし課長や部長になれるかどうかは別の話であって、職員全体のモデルではないですよ」という意味であることは明らかですので、この点誤解しないようにしなければなりません。

参考までに、いつ昇格したかによってたどり着ける級に限度がありますが、
仮にで都庁人生を終えた場合の最後の年の年収は以下のとおりです。

主事640万程度
主任720万程度
課長代理840万程度
課長1050万程度