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鞭について知ろう〜選び方・使い方〜

怒るだけじゃない!?馬はただたんに馬を叱るための道具ではありません。鞭はうまく使いこなすと運動をする上で非常に便利なものです。今回は鞭について選び方や使い方をまとめていきます。

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鞭が馬に与える影響

まず、鞭がどのように馬に対して働くのかを抑えておきましょう。

鞭は、決して馬を叩く力やその痛みによって馬をコントロールする道具ではありません!

そう、鞭は痛みによって馬を支配する道具ではないのです。多くの人が勘違いしがちなポイントですが、鞭は痛みではなく、その音によって馬に緊張感を与える道具です。

馬は非常に音に敏感な生き物であるため、鞭を振ったときになる「ヒュン」という甲高い音や馬体にあたった時になる「ペシッ」という唐突な音に対し緊張感を覚えます。それを利用して、騎手は馬が自身の指示に応えない場合や、反抗的な場合に鞭を使い、馬に緊張感をもたせます。

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また、馬は音に敏感であると同時に非常に記憶力に優れた動物であるため、鞭を振られると何が起こるかということを馬なりに理解しています。ですから、

鞭は振るだけでなく、馬に見せるだけでも効果を発揮する場合があります。この馬に見せる鞭の使い方を「見せ鞭(みせむち)」といいます。

そして、馬によってこちらの扶助に対する反応の敏感さは違いますから、初めて馬に乗るときは、鞭を馬の肩や腰にそっと当ててみて、馬の反応をみます。馬によっては腰に鞭が使われるのが嫌いな場合はそっと当てるだけで、耳を絞り不快をしめすことがあります。その場合は基本的に鞭を肩に使うなど、馬ごとに使い方を調整しましょう。

鞭(むち)の選び方・種類

鞭には騎乗時に使われる長鞭(ちょうべん)短鞭(たんべん)に加え、調教用に使われる追い鞭(おいむち)が主な種類としてあります。

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<写真出典:日本馬事普及、ネットショップより>

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<写真出典:カバロ、ネットショップより>

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<写真出典:カバロ、ネットショップより>

今回は騎乗時に使う短鞭と長鞭についてみていきます。

短鞭について

短鞭は、長さが50cm~70cm程度の短いムチのことで、主に障害飛越競技や、クロスカントリーに使用します。(障害飛越競技、クロスカントリーでは、競技時に使用できる鞭の長さが75cm以下と定められています。)

短鞭の先にはフラップと言われる主に革でできた面状の部分があります。
これがあることにより、短鞭は馬に対する刺激を抑えながら大きい音を出すことができます
また、フラップの形がハート型や、星型などいろいろな種類があるのでぜひ好みなデザインを探してみてください。

短鞭の使い方

短鞭は基本的に馬の方に対して使います。
そして少し注意すべきなのは、

短鞭には表と裏があります。

意外と知らない人が多いですが、短鞭の先のフラップを見ると、片面は真っ直ぐになっていてもう一面は丸く膨らんでいると思います。この真っ直ぐな面が表で、馬に当たる面となります。
なんか音がよく出ないというときは短鞭の裏面であることがあるので少し注意してみてください!

基本的には肩に使うとはいえ、腰に使うときがないわけではありません。その場合は、手綱を持ったままだと短鞭は腰まで届きませんので、手綱を片手に束ね、もう一方の手で短鞭を腰に使います。

長鞭について

長鞭は長さが100cm~120cm程度の長めの鞭のことで、主に馬場馬術に使用します。

ただし、馬場馬術の競技会においては使用することができません。競技の待機馬場(アリーナで演技する前のウォームアップをする馬場)では使用が認められています

長鞭は主に腰に使うために、長めに作られています。
鞭を腰に使うことにより、馬の後肢を活発に動かすことができます

短鞭と違い、長鞭には表裏がありませんが、少し使い方の幅が広いので、使い方についてもチェックしていきましょう。

長鞭の使い方

長鞭は競技会では使用が認めらないため、待機馬場と練習で使用します。

長鞭は短鞭よりも使い方の幅が広いと上に書いたのは、まず肩にも腰にも手綱をしっかりと持ったまま使うことができるという点が大きいです。

馬場馬術において重要視される後肢の踏み込み(馬の後ろ足が、前足が踏んだ地点よりも前につくことが良いとされます。)が足りないときに馬の腰に対して使うことで、馬に後肢への指示を出すことができます。

また、短鞭にくらべあたりが鋭い長鞭は音を出すわけではないのですが、ちょんちょんとリズミカルに馬の腰に使用することで、馬の歩くリズムを矯正することもできます。もちろん、リズムを作るメインは脚による扶助ですが、収縮運動(ゆっくりめの運動)が苦手ですぐに収縮速歩から常歩に変えようとする馬など対し、毎歩毎歩、脚による扶助の補助として鞭を使うことは非常に効果的です。

他の使い方としては、馬の腰に添えておくことで、腰がよれて直線のラインから外れたり、膨れて小さく回転できないなどを防ぐこともできます。

長鞭は使いこなすと非常に馬場運動の助けになります。
ぜひ、馬の動きが悪いときに「後肢忘れてない??」と馬に確認するつもりでちょんちょんと鞭を使ってみてください

まとめ

今回は鞭についてでした。
鞭は痛みによってコントロールする道具ではありません。
見せ鞭や確認のための長鞭など、ぜひ馬に乗るときに試してみてください!

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