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【独断と偏見で選ぶ】『機動戦士Vガンダム』この話は「見てください!」リスト(15選)

※下線を引いた部分はBS11『機動戦士Vガンダム』セレクションでも放映された話

 BS11で本年・2023年3月末~5月中旬に『機動戦士Vガンダム』セレクションが放映されていました。全51話中、8話に選定されたものです。
しかしながら、本作品の魅力を味わうにはあれだけでは不十分だと指摘せざるを得ません。本当は、「全話見てください!」と言いたいところなのですが、初めてVガンダムの世界に入ろうとしている人にはそれではハードルが高いかと思いますので、上記リストの通りだいたい1クール(+α)分に収めたおススメのストーリーを挙げます。
 「終盤は1話たりとも落としたくない」という心情が働くせいで、この辺りのストーリーが連続してしまいました。序盤・中盤で物語の節目となる話がリストから漏れており、作品全体の構成を把握するにはやや不適です。
「『ジブラルタル攻防』が入ってねーじゃねーか。ふざけんな!」とファンからするとツッコみどころが多々ありますが、「独断と偏見で選ぶ」という事でどうかご容赦願います。Vガンダムセレクションに入っていた話がこのリストに入っていたり、入ってなかったりするのも私の独断です。第1話「白いモビルスーツ」も意図的に除外しています。
しかしながら、この15選はどれも見どころのあるストーリーです。
是非ともこれらの話を「見てください!」
そして面白く感じてきたら、全話完走していただければ幸いです。

 ちなみに、BS11の「機動戦士Vガンダムセレクション」放映されたのは、以下の通りです。(番組公式サイトからは2023年6月12日現在記述が消えています。)

第2話 マシンと会った日

 本来はこの話が第1話となるはずでした。
〔2話「マシンと会った日」→3話「ウッソの戦い」→4話「戦いは誰のために→1話「白いモビルスーツ」〕というのが、もともと企図されていた放映順序だったのですが、縷々指摘されているように「第1話にガンダムを出す」ことを上から指示が出され、「白いモビルスーツ」を無理やり第1話に持ってきたのです。
 この第2話は、少年がロボットと初めて遭遇するときのワクワクする姿が活き活きと描かれていて、この段階では子供向けの話を目指していたのが感じられます。
参考:作品公式Webサイト・ストーリー紹介
STORY|機動戦士Vガンダム (v-gundam.net)
※以降のリストでも公式サイトのURLを参照しますが、該当話の重要シーンの描写が含まれるものは除外しています。

第4話 戦いは誰のために

 ウッソが初めてモビルスーツで人を殺めてしまうシーンが描かれています。ここの緊迫感が見ものであり、以後も人の命を奪うことに対するウッソの驚き・戸惑いを表現することが度々出てきます。「バトルロボットもの」というコンセプトから捉えると、自分で自分の首を絞めるような矛盾した表現ですが、こういうところが作品に緊張感を出しているように感じます。初代『機動戦士ガンダム』で、アムロが初めてザクを撃破したときと比較してみると差異が目立ちます。
 この話の終盤で、第1話「白いモビルスーツ」の大まかなあらすじが追えるようになっているため、本リストから第1話は敢えて除外しています。
STORY|機動戦士Vガンダム (v-gundam.net)

第6話 戦士のかがやき

 ザンスカール帝国軍・ベスパの中にも高潔な軍人がいることを感じさせてくれる話です。戦士としての誇りを胸に戦いに挑むワタリ―=ギラですが、彼が目にした「現実」とは・・・。理想と現実の落差を知ったときの彼の胸中を想像しながら、味わっていただければと思います。
STORY|機動戦士Vガンダム (v-gundam.net)

第7話 ギロチンの音

 意外と見落とされがちなのですが、この話もVガンダムを語る上で避けて通れない話だと私は思います。ザンスカール帝国の一種の象徴ともいえる「ギロチン」が初めて表舞台に現われます。
流石に、断首の描写は直接的には描かれていませんが、処刑の瞬間を視聴者が想像してしまうような間接的な表現がなされています。そして、それを見てしまった者がどう感じるのかがこの話のポイントです。
 私的な余談ですが、中学の歴史の授業で「市民革命」を習うまで、ギロチンはVガンダムの中だけに登場する想像上の野蛮な処刑器具だと私は思いこんでいました。(放映当時は小学生でした。中学歴史の教科書・資料集にルイ16世の処刑の挿絵が掲載されていて、ギロチンが「実在」したことをそこで初めて知り、ショックを受けました。)

第15話 スペースダスト

 ウッソたちが初めて宇宙に出て、宇宙ゴミを取り除く作業を行います。そのさ中、漂流していたザンスカール帝国の一人の軍人と出会い、邪険な態度を取られながらも、心を通わす温かみを感じさせる話です。
「カサレリア」という言葉の意味がここで明かされます。
我々Vガンダムファンはこの話をもとにして、ここぞというときに「カサレリア」という言葉を使うのです。
 リストからは外してありますが、この話と関連する第22話「宇宙の虎」もおススメです。
STORY|機動戦士Vガンダム (v-gundam.net)

第27話 宇宙を走る閃光

 ウッソを導いてきた大人がまた一人消えていき、その悲しみを何とかして乗り越えようとする話です。また、この話からカテジナがベスパの兵士として本格的に活躍を始めます。それに対するウッソの困惑も見どころです。
 戦争という運命の歯車は、そう易々と止まってはくれません。まるで少年の涙をあざ笑うかのようです。

第29話 新しいスーツV2

 後半の主役機・V2ガンダムがお披露目となる話です。
お風呂場での「恐ろしい拷問」を受け、パンツ一丁~全裸で逃亡するウッソなど一見するとギャグとしか思えないシーンを挟んで、新型機に乗り込みます。
V2の活躍も見ものですが、1号機から2号機への橋渡しとしてV1コアファイターを連れ添うのも印象的です。

第36話 母よ大地にかえれ

 『機動戦士Vガンダム』を語る上で、絶対に避けて通ることのできない話です。色々な場所でことあるごとに話の種となっているため、説明するのが野暮に感じてしまいますが、この話を丸々視聴し、この作品の狂気を直に味わってください。

第38話 北海を炎に染めて

 物語の序盤から登場し、ウッソたちを長らく苦しめてきたドゥカー=イクとレンダ=デ=パロマがメインとなる話です。「地上にバイク乗りの楽園をつくる」という彼らのロマンが描かれ、敵側のキャラクターに思いを馳せずにいられなくなる非常に印象的な話のひとつです。

第39話 光の翼の歌

 「ガンダム」の正攻法ともいうべき、戦場における濃厚な人間ドラマが描かれる話です。前話とはまた違った角度で、敵キャラクター・マチス=ワーカーの魅力が十二分に発揮されます。
またV2がいかに高性能なモビルスーツなのかということも表現されています。
 これ以上推薦話を多くしてはまずいと感じ、泣く泣くリストから除外してしまいましたが、マチスの家族が登場する次話・第40話「超高空攻撃の下」も必見です。

第44話 愛は光の果てに

 「惹かれ合う者同士が殺し合う」というガンダムシリーズで度々描かれる悲劇の話です。ここでの間違った判断からシャクティを非難する言葉を度々耳にしますが、彼女を信じたキスハールとその一連のやり取り、この悲劇を無駄にしないと決意したシャクティの姿を見て、先の意見が適切なものかどうか改めて考えていただきたいというのが、ファンの一人としての私の思いです。

第47話 女たちの戦場

 強敵・ファラ=グリフォンとの決着がつく話です。Vガンダムの重要なテーマ「女性」と「命」が迫力をもって描かれています。
本作のDVDメモリアルボックスの発売CMで使われていた「命を奪う者と命を守り育む者」というキャッチフレーズが思い起こされます。
ファラの魂が最終的に何処へと還っていったのかに着目すると、彼女もまた敵にして非常に魅力的なキャラクターであったことが感じられてきます。
 これもまたリストから除外してしまいましたが、ファラ=グリフォンというキャラクターを捉える上では、第12話「ギロチンを粉砕せよ」も趣深いです。

第48話 消える命 咲く命

 前話に引き続き「命」を重要なテーマとし、散っていく命と新しく芽吹く命が、それに接した少年ウッソの悲しみと感激を通して描かれています。
Vガンダムでは沈鬱な気分になる話が多々あるのですが、この48話の終盤で描かれる子供たちのボール遊びは、そんな中でも大切にしたいハートフルな珠玉の一幕です。

第50話 憎しみが呼ぶ対決

 物語の終結に向けて敵・見方の激しい攻防が繰り広げられ、ガンダムシリーズの中でも名シーンの誉れ高き「リーンホースの特攻」が描かれます。
 また、シュラク隊でも全く太刀打ちできないほど強くなったカテジナの凄みも十二分に感じられます。
 タイトルが示すように、憎しみに誘われウッソ、クロノクル、カテジナ、シャクティそれぞれが最後の対決に集まります。

第51話(最終回) 天使たちの昇天

 散っていった人々の想いを乗せ、ウッソは倒すべき敵との最後の戦いに挑みます。
 戦争が終結した後、故郷・カサレリアの冬に一人の旅人が迷い込みます。
俗に「バッドエンド」「鬱ガンダム」などと称されることも多い本作ですが、2人の人物の胸中を推し量りながらこのラストシーンを黙して観ると、そのような一言では括ることのできない感慨を味わえるはずです。


 以上、ごく簡単ながら、おススメの話を挙げました。
レンタルDVD、もしくはバンダイチャンネルをはじめとした各種配信サイトでも視聴可能です。
放送開始30周年を期に、Vガンダムの世界に触れてみようと考えておられるのであれば、是非ともこれらの話を見てください!

【画像出典】
『機動戦士Vガンダム』Blu-ray BoxⅠ DISC 4 バンダイビジュアル. 創通・サンライズ. 2015(1993)
映像特典・ノンテロップオープニング「STAND UP TO THE VICTORY~トゥ・ザ・ヴィクトリー~」 再生位置 1:20(概算値)
※モニターに投影された映像をデジカメ撮影し、トリミング、サイズ縮小したもの


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