映画「怪物」※ネタバレ感想
今日は、映画「怪物」を観てきたので、その感想を。
「監督是枝裕和・脚本坂本裕二・音楽坂本龍一」という時点で、半年ほど前から観たいと意気込んでいたので、待望の鑑賞でした。
(ちなみにエンドロールで、川村元気がプロデューサーの1人だったことを知り、観ておいてよかったなと再確認した)
一番の感想は「難しかった」です。笑
映画を観るのは好きだが、本当に映画好きの人からしたら僕の鑑賞経験や映画知識は月とスッポンなので、感想浅すぎだろという言葉は飲み込んでもらいたい。
何が難しかったのか、何にどう自分が心を動かされたのか自分なりに言語化してみる。この感想を書くか迷ったが、これを消化しないと眠れなさそうなので書くことにした。
・登場人物それぞれの視点で、ある一つの事件?事象?に対する行動・心情・その言動をしていた背景が描かれていくので、序盤で「なんだこいつ、クソムカつく野郎だな」と思っていた人物に対してあとから事情がわかり「え、そんなこと思ってごめん」というサイクルが5回くらい回るので観ている側の感情の上下が激しい。リアルに小学校で起きているだろう問題を取り扱っているので共感性が高く余計にしんどかった。
・安藤さくらさん、正直もっと学校側に怒っていいよ?1人息子がどう考えても正常じゃないらを目の前にして、その原因が学校だとわかっていて、あんな態度取られているのに冷静に言い返せるあなた、めちゃくちゃ立派。序盤だけの瑛太だったら、一言目で殴ってる、僕だったら。笑
・瑛太、本当ごめん。あなたが1番とばっちり受けてた。教師として正面から生徒に向き合う姿に感動しつつも、この世界はバカ正直だけでは生きていけないんだなと思い出させてくれた。それでもあなたが、最後に台風の中、生徒に正面から誤りにいく姿、感激しました。ただ、ゴムはちゃんとしたほうが良いと思うよ。
・校長、あなたは最後まで何がしたいかわかりませんでした。笑
大事なものを突然に失うとあそこまで人は崩壊してしまうということだろうか。周りを気遣う余裕が無くなり、自分本位になってしまうと言うことなのだろうか。
・みなとくん、星川くん、演技うますぎ。幼少期のいじめ、性への葛藤って色々な映画、ドラマで描かれているけど本心とは裏腹の行動をとってしまうけど、最終的には純粋に相手を想って行動する姿はリアリティを越えて、大人の心に届く内容でした。
人には色々な青春時代があり、僕は周りでこれほどのいじめを見たことが無いけど(見ようとしていなかっただけで実際はあったのかもしれないけど)子供って大人が思っているよりも周りが見えていて、自分がどう立ち振る舞うべきかを常に考えていて、それ以上に人として純粋な思いやりの気持ちが溢れている。1番人間らしい人間なんだなと思い出させてくれた気がする。それにしても、みなとくん役の子はとてつもなく綺麗な声と瞳をしていたな〜立ち振る舞いだけで純粋さが滲み出ていた。今後も楽しみ。
・中村獅童だけは、本当にただのクズ父親だったな〜。でもそれも見えていない彼の人生、バックグラウンドがあるだけで彼をそうさせてしまう何かがあるのかもしれない。
そう思わされてしまうほどに他の人物のバックグラウンドが衝撃的で日常的でいかに一つの要素で「人」を見極めることが愚かかを考えさせられた。
・映画にメッセージ性を求めるのは野暮なのかもしれないが、最終的に「何が言いたかったんだろう。どう消化すれば良いのだろうか、、」と正直迷子になってしまった。
でも多分それはそれで良いのかなと言う気もする。
それぞれの人生の中に、それぞれの葛藤というか、立ちはだかる壁というか、現代の
誰しもが抱える可能性のあるテーマが用意されていて、最終的に「何が一番の原因であり、向き合うべきテーマだったのだろう」と考えさせれる終わり方だった。
僕個人としては、下記のようなテーマというか、問いみたいなものを投げかけられたような気がしている。
「ジェンダーレス、ダイバーシティに対する周りの理解、本人の葛藤」
「保身、私利私欲にしがみつく人間の性」
「普通とは何か、普通の幸せとは何か」
色々、頭の中にある言葉をバーっと書き出してみて、改めて感想として「難しかった」と言うのはOKな気がしてきた。
心が動かされまくったことは確かであり、後からネットの評判を少し覗いてみると「意味不明なストーリー」という酷評も見かけたが評価は自分がするものであり、これもまたそれぞれの感想の裏にそう言わせてしまう人生やバックグラウンドがあると言うことで、良しとする。
ただし、映画を見終わり、シアターを出てすぐに出会った
おそらく20代前半女性4人組が横一列に並んで歩きながら「あそこ〜だったよね!」「わかる!私もそれ思った〜!!」とかなり場違いで、あたかも『人気若手俳優かジャニーズでキャストを占めている、青春ラブコメ頭の中お花畑映画』を観た後かの様なテンションで話しているのを聞いて、心地よい疲労感と考察を頭の中で繰り返していた僕は、心の底からイラッとした。どんな理由があれ、やってはダメなこともあるよ、と。
それは半分冗談ですが、少しだけ自分の人生観や物事を捉える幅が広がったきがした、そんな1日でした。
来週も、友人の演劇を観るので楽しみ。心を動かされるコンテンツで梅雨を乗り切る。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?