自分の知らない「あたりまえ」を探して 【だから旅は、やめられない #12】
自分の知らない「あたりまえ」を探して
渡辺 亜衣(32歳・会社員)
旅に出ると、その国や地域の姿、
そしてそこに住む人々の日常に出会います。
生活や
習慣、
食事や
思想。
私はそんな現地の「いま」、
私が知らないそこに住む人々にとっての「あたりまえ」の日常をのぞくことがとても好きです。
数年前に訪れたミャンマーでは、
都市部だけでなく、
タイとの国境の街や少数民族の方々が住む山間部の集落などを訪れました。
国境の街では、
これまで私の中にあった
屈強な兵士がいて緊張感の走る国境のイメージとは違い、
多くの人が行きかい、
多くの商店で賑わう様子に遭遇しました。
よくよく聞いてみると、
国境付近に住む地域の人々はよりよい給与や職を求めて
タイ側で働くケースがほとんどということで、
毎朝この国境を越えて働きに出るのが日課ということでした。
「国境を越える」
島国日本に住む私にとって身近ではないことが、
ここではなんてことのない、当たり前の日常。
そんな小さな違いや発見がとても面白く感じるのです。
山間部では「お歯黒」が印象的なエン族の人々に出会いました。
黒のシックな民族衣装を身にまとい、
一定の年齢を越えるとお歯黒をする慣習が残っています。
あまりに見慣れないお歯黒の姿に最初はギョっとしてしまいましたが、
国・民族によって異なる美意識を不思議に感じたものです。
このお歯黒の慣習にも現代化の波がきているようで、
エン族のある女性の方に話を聞いてみたところ、
最近ではこのお歯黒を行うのも中年・高齢層が中心で、
若い人は敬遠してやらなくなったということでした。
「お歯黒」という私には身近でない慣習の中にも、
日本でもよくあるような「ワカモノの慣習に対する考え方の変化」という
共通点が垣間見えました。
こうした自国や自身との違い・共通点も含め、
旅で出会うその国その地域そしてそこに住む人々にとっての
あたりまえや日常を知れば知るほど、
「世界って本当に多様さにあふれていて面白い!」
「もっと、知りたい!」
と思うのです。
まだ知らないあたりまえをのぞきに、
また旅に出よう。
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