●議●会での説明★九弁連シンポ

1 北九州部会の安元です。一委員として、趣旨を説明させていただきます。

2 今回の宣言は、タイトルにある通り、学校において、「子どもの意見表明権を確立」する取り組みを推進しようという内容です。

3 今回の宣言案、提案理由中で指摘している通り、日本の子どもには、不合理な校則の問題、競争的な学校環境の問題、不登校数の問題、自殺数の問題等、特に学校環境と切り離せない領域で様々な問題があります。
 また、学校環境では、おとなが気づいていない、子どもにしか見えていない問題もきっとたくさんあるのだろうと思います。

 これらの問題を解決するためには、大人による大人の手による問題解決という視点も必要でしょう。
 しかし、子どもの権利条約が示すように「子どもが人格の主体」であるとするならば、本来子どもが抱えている問題は、子ども自身が解決していくべきものです。少なくとも子どもが、自分に影響するこれらの問題について蚊帳の外であってはいけません。中心にいなければなりません。
 そして、おとなはそのような問題を解決しようとする子どもを支援するという関係に立ちます。

 子どもがこれらの問題を主体的に解決するためには、まずはこれらの問題について意見を表明することが大切です。
 さらにはおとなが知らない問題についても子ども自身が意見を表明し問題提起することも大切です。

4 子どもが自らを取り巻く、特に子どもが一日のうち最も長い時間活動するであろう学校においては、子どもに影響を与える事項が生活面でも、学習面でも無数にあります。
 それだけ、子どもが意見を表明する必要のある事項がたくさんあります。

 しかし、日本では特に文部省、文部科学省は、学校で子どもが意見を表明することに消極的であったと言わざるを得ません。その見解については提案理由5p以下で指摘した通りです。
 昨今は多少、校則制定などに子どもの意思を反映しようという動きもありますが、その範囲は学校の認める限定的な範囲に留まります。
 子どもの権利条約は子どもに影響を及ぼす全ての事項において意見表明権を保障しています。国が学校における意見表明権を限定しようという基本的な立場を改めないまま、一部運用を緩和したとしてもそれは子どもの権利ではなく、恩恵に過ぎません。

 また、日本社会において、主人公たる子どもも、それをサポートすべきおとなも「子どもの権利」を十分に理解し活用しているか疑問です。

 さらに、学校においては、子どもの意見を受け止め、サポートしないといけない教員に余裕がないという問題もあります。おとなの側に余裕がなければ、子どもが意見を表明し、尊重されるという関係を構築することも困難です。

5 学校における意見表明権の確立には、課題もあります。
 しかし、子どもの意見表明権は、子どもの社会でのあり方を決定づける重要な権利です。学校においてそれを確立し学ぶことは、民主主義社会での市民を育てるという観点からも重要です。

6 ブラック校則の問題では、「不合理な校則はダメ」という点は皆共有しています。
 しかし、「では学校が不合理でないなら、どうあるべきか」という積極的な提示を、子どもの権利条約からいえる範囲で、一定程度、法律家として社会に提示することも必要だと感じました。

 以上から、学校における子どもの意見表明権に着目して、今回の宣言案、提案理由をシンポ委員会で起案した次第です。
 ご検討お願いいたします。

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