夏、玄関

君を見送るために玄関へ駆ける。

君は狭い玄関でスニーカーをまごまごと履き、

ガチャっと扉を開ける。

真っ青な日差しが飛び込んできて、

私の顔をブワッと照らした。

思わず顔をしかめながら空を見上げる。

「あかるいね。」

そう言って視線を戻すと、

君の瞳が真っ直ぐこちらに向いていた。

「かわいいね。」

君は満足げに笑って、またね、と帰っていった。

ゆっくり閉まる扉をぼぅっと眺めているうちに

玄関は再び暗く、狭くなった。

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