色彩のおっさん

うちの娘は"おっさん"を畏れている。

言うことを聞かない子のもとには、"色彩のおっさん"が夜な夜なやって来ると言い伝えたからだ。


桃色のおっさんは、執拗にからだのいたるところを叩いてくる。

紫のおっさんは、とても怖い話をする。

黄色のおっさんは、声が高くてうるさい。

橙のおっさんは、 飯をこれでもかというくらい詰め込んでくる。

赤のおっさんは、とにかく怒っている。

灰色のおっさんは、家を壊す。


週末の夜は、"おっさん"が訪問しやすい。

星空がうつくしい夜は、あたらしい色の"おっさん"が生まれやすい。

我が家は、特別な"おっさん"であふれている。

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