G線上の魔王 プレイ記録(プレイ完了)

諸事情で時間が出来たので購入後5~6年積んでいた名作エロゲ『G線上の魔王』をプレイ。各ルートの感想とか書いていくよ。

最終更新日

2023年2月1日

プレイ記録(備忘録)

2023年1月31日:第1章&第2章(ED:椿姫BAD、ED:椿姫の章 鏡)クリア
2023年2月1日:第3章&第4章&第5章(ED:花音BAD、ED:花音の章 我が母の教えたまいし歌、ED:水羽BAD、ED:水羽の章 姉妹の言葉、ED:G線上の魔王、ED:春)クリア

各ルート感想簡易メモ(ネタバレあり)

導入パート

徹底的に事前情報ゼロにするようにしてたので新鮮な気持ちでシナリオを読み進めてた。最初、ゲームシステムとデザインの久しぶり加減に指が止まったけど慣れてしまえばどうということはない。


椿姫の章

事前のインプットほぼゼロで臨んだのでどんな感じでシナリオ展開されていくのかも分からなかったけど、多分このシナリオを誰もが一番初めに通る感じの構成になっていたね。
正直、まだ他のヒロインルートクリアしてないけど絶対自分は椿姫が一番ヒロインとしては好みだ。これは絶対。長年のオタク人生で分かるんだ。だからこそ展開される激重シナリオが胸に来た…。
基本主人公の京介の「真相」がこの時点では明確には語られずに物語が展開されていくので感情移入はしづらいかんじ。正直プレイヤー目線からするとかなり冷徹に映る。だけど京介の意見というかビジネス的な観点も凄く理解できるから、椿姫たち家族にも全面肯定もしづらいという本当に絶妙なバランスで構成されているシナリオだった。
特に最終版の京介が自分の事情を説明してからの怒涛の展開は読みごたえ凄かったし、どうやって着地つけるんだ?っていうところもフリがしっかり効いていて流石だったね。
もう京介は足を洗って椿姫と一緒に暮らそう。

花音の章

歪だけど、家族の在り方・向き合い方を描いた章。終盤マジで魔王が空気だったけど、それだけ異質なシナリオだったということかな。(というか、魔王が出てこなくなることが伏線な気がする)
展開としてはフィギュアスケーターとして利用され続け、それでもその中に価値を見出していく花音を好きにならざるを得ない…。母親の郁子さんとはコーチとしての立場と娘としての立場で常に我慢をしながらも、心の奥底で感じている感謝は絶対に揺るがない親子愛の少し変わった形だったね。
血は繋がっていないとはいえ義理の兄妹である京介と花音が関係を持つのも背徳感をあおる設定であり、ギリギリなバランスだなぁと。こういう採点形式のスポーツはマジで色んな裏工作とかもなくはなさそうで怖いよな…。
個人的には花音のライバルで山王物産がスポンサーしている瀬田ちゃん(デザインなし)がめちゃくちゃいい子で好きになりました。あとこのシナリオの京介は割と(比較的)善人だったな。

水羽の章

ここまで圧倒的に影が薄く仲間の一員と呼ぶには関係が希薄だった白鳥。キャラデザ的にはかなり好きだし、なんなら水羽が一番エロゲのヒロインっぽいな…。京介が変わらずクズなんだけど、それでも純心に向かってくる水羽が愛おしくなる。あとは前章の途中から登場したユキもどう扱っていくんだろうと思ったけどいい水羽の理解者としてのふるまいだったね。失踪するまでの流れもショッキングだった。再会時に明かされる真実も。
他のルートと違ってめちゃくちゃ恋愛メインでこの作品だと異色にすら感じるルートだったねw

ハルの章

ハルの章とは明記されてなかった気がするけど実質そうなので便宜上。
ユキ、水羽の章やってからのこの行動はショッキングすぎるんだが…笑 本心の根っこの部分は気持ちは変わらないんだろうけどね…。決着した後の水羽の意味のない告白を聞いて愚かだなと思うと同時に心がギュッと締め付けられた…。京介の決死の覚悟もむなしく届く母親の訃報。
そして胸糞悪くなる回想。本当に言葉が出ない…。頭を鈍器で殴られたような衝撃がテキストから伝わってくる。ハルが京介にとって勇者たるゆえんも分かった。そして恭平と京介….これはマジでやられた。うますぎる。脱帽だ。脳汁ドバーよ。引っかかる点は沢山あったけど最終盤で一気に開放してくるの気持ちいいなぁ。
魔王が作り出した地獄パートの後はもう無我夢中で読み進めてしまった。あっという間に読み終わってしまった。自分がこの手の作品に求めるものは繊細なロジックではなくて驚きや新規性なのでそういった意味で本当に合致する、求めていた料理が出された感があり良かったなぁ。

最終章

魔王との決別。それはあまりにも悲しく…。
守り抜いてきたものって、信念を貫いて勝ち取ったものって結局何だったんだろうと思ってしまいたくなるくらい残酷な現実だね..。留置所で、みんなとの出会いを通じて変わった京介が嘘を並べなければならないのがしんどすぎた…。でも最後には、本来願った形とは違うかもしれないけど救いがあって。こういう、絶望感半端ないけど最後にちょっとだけ救いがある展開大好きなんだよなぁ。
BGMもあいまって感情がグワングワン揺れる脚本力と演出が素晴らしかった…。

総括

前々からプレイしたいと思っていて積んでしまっていたことにどこかうしろめたさを感じていたので、まずは今回クリアまで進めることが出来て本当に良かった。もう聞きしに勝る名作でした。本当に面白かった。

世界観・設定

本文中でも書いたけど事前に情報をほぼ入れてなくて、「伏線回収が凄い」くらいしか知らなかったのでマジでどういう展開なのか知らなかったんだけど、まずは意外と現実世界の話でびっくりした笑
魔王とか言ってるからてっきりファンタジーバトルなのかと思ってたのは内緒だ。
この現実の社内の中での非現実というか、企業の裏側で暗躍したり極道の世界だったりみたいな感じでちょいちょい一般人が触れられないような設定を入れることで絶妙なバランスを保っている作品だなと思った。時代背景も2000年代前半~中盤くらいに作られたと考えると納得だし、結構利権がらみの話や生まれ育ちの暗めの設定もありディープだったね。

シナリオ・構成

構成力の高さにまずは本当に唸った。伏線を張っておいて一気に回収するのが気持ち良すぎる。本文中でも書いた通り自分は創作物においては細かいロジックが多少粗くても驚愕度や新規性があればめちゃくちゃ面白いと感じる人間なので好みにドンピシャハマってきた。魔王の存在とは?という点をずっとミスリードを誘うような演出を入れてきて、ふとした瞬間に開示するの本当に良かったな。恭平が出てきても、一度は「あれ?やっぱり京介なの?」と思わせてからのどんでん返し、好き。
あとは各ヒロインのシナリオもメインルートもそうだけど、「人間の二面性」、「心の底に潜む闇」、「復讐心」といった悪の部分をごまかさずに描写していたのが今まで自分が触れてきたノベルゲームの中でも最も強調されていたなと感じる。逃げられない状況になったときに本質が出る。そんな緊迫感溢れる脚本に思わず読むペースが速くなってあっという間に読み進めてしまったな。

ゲーム性

選択肢少な目でルートも基本一本道でシンプル。一本道の中に各ヒロインの分岐がある感じなので、あまりどのヒロインから攻略するかを迷わずに済むのも個人的に好ポイントだった。時系列がはやい順が一番理解しやすいしね。
2008年のゲームなのでUIとかの古さは全然許容範囲。

キャラクター

個人的にはキャラクターはぶっ刺さりはそこまでいなかったけど、全員個性的かつ魅力的な一面もあり、それでいて完ぺきではないようにちゃんと描かれていてよかった。
ヒロインは椿姫が推しだけど、各ヒロインルートでちゃんと日常パートで可愛い一面を演出できていたと思う。個人的には水羽ルートで社会人になった水羽のギャップが好き。
何気に権三の威圧感はキャラデザアフレコ含めて素晴らしかったよね。権三が出てくるとついエンターキーをクリックする手にも緊張感が走るというか、それくらいの凄みを感じるキャラだった。それ故に本当に極悪人なんだけど、最期は悲しいというか…。
京介も魔王についてはキャラクター性も含めてシナリオの根幹だった感があるので切り出してどうこうはないが、この設定考えたのほんと凄いわ。

音楽

タイトルも音楽から来ているだけあって、クラシックのアレンジがBGMだったり随所にこだわりを感じた。緊迫感出す場面のBGM好き。
あとは何といってもエンディング良かったよね。あの面会シーンでずっと流されると泣くわ…。



、、、
という感じで2日間でプレイした感想を雑にまとめただけですが、2月は時間もあるのでもう1作品くらい何かできたらいいな…。

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