レミゼラブルふたつの解釈(BLと非BL)

この前の感想、レミゼラブルについて、更にマニアックな話をしたいと思います。アンサンブルの人間関係の話です(アンジョルラスも私が見てたときまでは、アンサンブルでした)。6/18に見てきた「新演出」版と、私が一番レミゼラブルを見ていた1997~2000年版ぐらいのふたつを比べてみたいと思います。まずは注意事項から。

1. 原作では、学生のリーダー・アンジョルラスに、同じく学生のグランテールは恋している。だが、アンジョはグランを軽蔑している。

2.このミュージカルでは、もうひとつ、彼はアンジョルラスよりも、ガブローシュと仲良しなバージョンもある。

3.いずれもたぶん役者さんの考え方・演じ方・演出家との話し合いで決まるのではないかと思われます。二人ともダブル・トリプルキャストで、組み合わせのバージョンがいくつもあり、それぞれの関係性を見ていることは、大変楽しいのです。

で、今日見たレミゼラブルは、というと、完全に2. でした。グランテールはガブローシュを、自分の子供なのか!?というほど溺愛しておりました…それはそれでいいんだけどね、別に…。

で、ここでは1.について書いてみたいと思います(自分への備忘録としても)

私がみていて一番楽しかったのは、アンジョルラスをかの有名なあの方、グランはそのときは有名じゃなかったけど、グラン役にしては実にカッコイイ俳優さんでした。

問題のシーン「共に飲もう」。バリケードで夜を明かす学生たち。グランテールは客席に近い舞台下手で酒を飲んでいる(この人はいつも飲んでいる)。アンジョルラスは、バリケードの一番上で見張りをしたり、学生に指示を出したりしている。

グランテールのソロ ♪過ぎた日に乾杯 死も恐れぬか 世界は忘れないか? 死など無駄じゃないのか 空しくないか♪

この詞からもわかるように、グランテールは反戦思想で、「革命」には反対の立場です。なのになんでここにいるかというと、アンジョルラスが居るからです。ちなみにアンジョルラスはゲイで、グランはバイみたいです。アンジョルラスは実はマリウスに恋しています。

で、上記の歌のあと、バリケードの上に居たアンジョルラスは、ダンダンダン!!と音を立ててバリケードを降りてきます。(今日のバージョンだと、グランはほかの仲間たちに押さえつけられる)そしてグランテールを強く睨みつけます。曲はまだ続いており、グランは自分の飲んでいた酒瓶をアンジョルラスにかざし、飲むように促します。アンジョルラスはそれを頑として受け取りません。(そのとき、グランがほかの役者さんだと、そのままもう一回人睨みしてまたガンガンガン!とバリケードに戻ってしまったり、いろいろなことをします)

だけど、このアンジョ役のときのグランは、何度か酒を勧めるのに受け取らないアンジョルラスから目を離し、横を向いてしまいます。アンジョはそれでもグランを見つめ続け(←睨んではいない)一歩進んでグランの肩に手を置くのです! みんなの前では蛇蝎のように嫌っていたはずなのに! しかもグランはその手を弱々しく振り払って俯きます。二人の間に微妙な間ができたとき、いきなり(寝てたはずの)マリウスのソロが。♪死んでもいいさ コゼットは旅に出る 今は空しい人生 僕が死んだならコゼット 泣いてくれるか♪と、頓珍漢なことを言って(歌って)アンジョは今度はマリウスを睨みつけて、結局ガンガンガン!と音を立てて、バリケードを上っていってしまいます。(彼の心の声:コゼットコゼットうるせー!笑)

そのほか、(当時は)♪みんな寝るな♪とか言っといて直後「マリウス、少し休め」と言ったり、弾丸が足りないというときは、「僕が行く」というマリウスを止めにわざわざまたバリケード上から戻ったり(ちゃんと仲間に指示しろ)、マリウスには超優しいのです。

で、亡くなるときですが、マリウスが撃たれてそこらへんに転がったとき、アンジョはすぐに彼のところに行きますが、動かないので死んだと思い、逆上したままバリケードに駆け上がり、赤い革命旗を振り回しながら、撃たれてバリケードの向こう側に落っこちます。それを見たグランテールが、今度は自分もバリケードに駆け上がって、敵に向かって酒瓶を振り回します、当然撃たれる。で、グランはバリケードの端に横になるように倒れ、ほかの学生も徐々に全員死んでいきます。

そのあと、バルジャン(奇跡的に無傷)がマリウスの傍に駆け寄り、まだ生きてると確信して、彼を担いで下水道に入っていくのです。

…ね? 三角関係BLでしょ?(笑)

因みに原作は、グランテールとアンジョルラスは、逮捕されて一緒に別室に移され、二人一緒に頭を撃ち抜かれて果てます。なんでしょうね、原作のこの展開もイマイチ読めません…。(ほかのシーンは大好きなのですが)


と、そんなことを考えると楽しくて、この組み合わせでのレミゼ観劇をアホみたいにしてました。最前列か二列目の25番が、二人をみるのに最高の席でした。なつかしいなあ。

ただし、こんなことを言っても誰も同意してくれないだろうと思って長い間誰にも言ってなかったら、だんだん自分でも忘れてきたので(笑)、この機会に書いとくことにしました。

今回レミゼは、上記は完全にナッシングです。寂しいことこの上ない…。

…本出そうかな。(いつもレミゼイヤーではそう思う…(笑)



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