「ポリティコン」桐野夏生/さくっと感想(ネタバレあり)

前半は、東一という、山形県に80年前に造られた、唯腕村で生まれ育った青年が主人公。たくさんの憤懣をかかえ、見栄っ張りで激情家で、誠実でもない、つまり、全く感情移入の出来ない主人公。
この男が、好きな女を借金のかたに売り飛ばすところで前半終了。

言い方はスキ。
「そう答えた途端、目の前に黒い緞帳が下りた気がした」

で、後半は、売り飛ばされた、マヤという女性の目を通して描かれる、10年後の世界。

東一は、村人の反感を買いながらも、村の最高権力者として成功し、マヤは水商売で毎日を生きている。

やはり、女の目で描いている部分のほうが生き生きとして面白く感じる。

それで、なぜあのラストになるのか不可解だが、桐野作品にしては珍しい、ハッピーエンドといえるのではないか。

風呂敷広げすぎて、回収不能になってる感はなきにしもあらずらずだが…。

あー、面白い小説読みたいな!


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