サンズイ/笹本稜平 ネタバレあり感想文
園崎警視庁捜査二課刑事は、大物政治家の秘書・大久保を収賄容疑で追っていた。が、大久保に司法取引を持ちかけられすっぽかされた同時刻に、妻子が轢き逃げに遭う。あろうことか自分に容疑がかかった園崎は、少ない味方とともに、大久保と、大久保と裏で繋がっている悪徳警察官たちに立ち向かう。
ざっくりしたあらすじはこんな感じ。
私は、特に後半の、指名手配を受けてからの園崎の巻き返しが痛快で、息詰まる頭脳戦が面白かった。
いきなりラストの話でアレですが、救いのあるラストシーンも良く、全体に読ませる小説だったと思う。
その上で、言いたいことが数点あり、まずは目次に章の記述がないので、今何章/全部の章 なのかまるで分からない。
たびたび言ってるけど、自分が全体のドコを読んでるのか分からないのは、結構ストレス。
因みに全13章です。
あと、異様に会話文が長い。
延々と続く会話シーンに、読んでるコチラは、途中で、これダレが言ってるんだっけ⁈となる。
自戒を込めて、こういう文は読みにくいんだな。
反対に、地の文章シーンもまた始まると長いんだが、なんつーか、あらすじをとにかく説明することに終始しているように読めてしまう。「ノンストップ・サスペンス」と謳っているので、余計な情実(この本で覚えた言葉)を挟まないようにしているかもしれないんだが、それにしても緊迫した場面は文章短くするとかなんかなかったのか。と思う。説明してばっかりに思える。
あと、まあ帯に躍らされて買った身にしてみれば、「警察の中にも敵がいる」だから、前半、登場人物が出てくるたびに、どんな人なのか曖昧な書き方をしているように思えてしまった。
それはある一定の効果を上げているようにも思えるが、全部読んで振り返ると、人物造形(というか、読者に伝えることの)甘さに繋がるのではないか、と思った。
いずれにせよ、だらだらと説明が続いた小説も、p330(10章最後)で死体が発見され急展開する。
それからは面白かった。
そして腐った目線で見ると、私は園崎に、「危ないことはするなよ」と言ってくれる上司・本間に萌えた。
本間×園崎。
以上です。
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