池井戸潤「七つの会議」読んだ(ネタバレあり)

いま映画上映中の話題作。上映中に映画みれるか分からないので、本の感想書いとく。
単行本は初版2012年。(私が読んだのは2016年発行の文庫本)なので、ちょっとタイムラグある。’働く人’をテーマにしてるので、今読むとちょっとだけ古い感じがする。普遍的なテーマを扱ってない物語の宿命だとは思うけれども。

全8話の短編(中編?)集で、1話完結なんだけど、最後まで読むと全体の謎が解ける仕組み。
最後まで読んで、あー面白かったんだなーと思った。
冗漫な記述や、これはいらないんじゃね?と思う話があったと、私は思ったから。(←何様)

人間に関する洞察や、その表現の仕方が、とてもわかりやすい言い方で語られているので、読みやすい。が、その分ちょっと物足りなくもあった。
とはいえ、男性サラリーマン社会の、妬み、嫉み、激しい嫉妬があますことなく描かれていて、非常に興味深くはあった。女にはなかなかわかりにくい世界。
女には女のキツさがあって、女から見た男、男から見た女のテーマで生きづらさを表現してる小説はたくさんあるけれど、ここまでほぼ男だらけの闘争を細かく描いた作品はなかなかないと、私は思ったので、そういう意味ではすごく面白かった。

パワハラ云々の箇所は、今ならもっと厳しいので、たぶん現在に軸を置き変えているのであろう映画で、どう描かれているのか見たいところではある。

余計な装飾をそぎ落として、要件だけ伝え進めていくようなこの文章を読んでいたら、その昔(大昔)会社で流行った、シドニィ・シェルダンの文章(日本語訳だけど!)を思い出した。あれはちょっとしたブームだったな。すぐ飽きたけど!

この作家の本は、これと、乱歩賞受賞作の「果つる底なき」しか読んでないけれども、「果つる〜」の方が破綻ない長篇ミステリで、読ませる小説だったなー(←どこから目線?)


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