「野村證券 第2事業法人部」雑感

少しの間積ん読してた「野村證券 第2事業法人部」/横尾宣政/講談社
を、読み終わったので、ポツポツ感想みたいなものを書いてみます。

久しぶりに読んだノンフィクション。
まず、これはたぶん著者というより編集者の力量なんだろうけど、目次が上手い。
中身は、ともすれば専門的用語が続くところがあり、少しばかり投げ出したくなるところもあるんだけど、シロートでも思わず興味を惹く言葉で章分けされてて、ついつい読み進めてしまう。

で、内容。前半はバブル前の野村證券に入社した著者の過酷かつ勝ったモン勝ちな世界の活写。
イケイケドンドンて言葉を思い出す。

後半は詐欺容疑で拘留されるまで、そして逮捕されてからの専門的な説明。私にはちょっと難しかった。というか、もっと言うと読みにくかった。

とはいえ、バブル前後の頃の空気は存分に満喫することが出来た。

p183「生意気な事を言うな!殺すぞ」とかね。
パワハラなんて言葉がなかった頃の、なんていうか、まあ荒っぽい世界ですわ。
(私もバブル崩壊直後某証券会社に入社した一人なので、雰囲気は容易に想像できる)

野村證券は、その中でも郡を抜いて悪名高い会社だったけれども、読後感は不思議にスッキリと爽やかだ。
それはやはり思いっきり仕事した(することの出来た幸運に預かった)人の持つ清々しさではないかと思う。

証券マンとして、非常に才能のあった著者の言う、「サラリーマンは、最初に出会った身近な上司の指導次第で、その後の人生のほとんどが決まる」という言葉は重い。

ただ、ノルマ地獄、過酷な業務を、のしあがったこういう人がいる一方で、結果的に大損した人や会社がたくさんあったことに、もう少し触れて欲しかった。かな。

久しぶりのノンフィクション面白かった。
また暫くは(?)小説読みに戻ります。

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