灰の月(木原音瀬)ネタバレ多少あり
木原音瀬/灰の月 上下巻。
登場人物をここまでいじめつづけることができるのは、作家として得難い才能なのかもしれない。
桐野夏生先生も、書く動機として冷酷さ、冷徹さをあげておられるし。
ただ、文章が幼く思え、私には読みづらい。
あちこちで「?」と引っかかる。
細かいことではあるが、
「雨が葉を弾く音が聞こえてきた」
とか、ダメなんだよね。
(葉が雨を弾くんだろうと思ってしまう)
なんだか今回の話は、人間を描こうとしながら、どこかで破綻してしまった中途半端感が拭いきれない。
嘉藤は、惣一を、結局愛さないまま(愛せないまま)、共に彷徨するのか。
愛がテーマになっている作品であるだろうに、そこを突き詰めて欲しいと思うのは贅沢だろうか。
でも、いずれにしても、下巻になってからは、続きが気になる作品ではあった。
冷酷はいい、でもやるならとことんやって欲しいと思ったが、この物語としては、惣一に降りかかったことで愛を表現したかったのかなあとも思った。
そんな感じー。
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