リーディングと演劇と

横浜ベイサイドスタジオで、ネオゼネレータープロジェクトによる、演劇&リーディングを観てきた。
オムニバス形式で3話。全部で1時間40分。
出演者5人が、どなたも芸達者で、もう安心して楽しんできた。
席きっつきつだったけど、某夏の劇小劇場(て言わないんだっけ今?)での男だけのコント公演の鬼席(客席をぎちぎちに配置する)に慣れてるので、今日は比較的ゆっくり見られた。
というのも、そのコント公演に長年出ていらした方が、今年フリーになって、その方の追っかけである私は、おかげさまで劇団以外のさまざまな芝居を見ることが出来るようになっていて、すごいお得感で一杯だ。

もともと大劇場のミュージカル観劇から始まった私の芝居遍歴(ってほどでもないけど)は、年齢を重ねるにつれて、今はケレン味のある派手なものから、大人が楽しめるこぢんまりして気の利いた小品がスキになってきた。

で、今日もその役者さん(おのまさしさん)お目当てで観に行ったんだけど、3作ともオモシロイ戯曲を選んでいて、舞台のセットは、舞台中央のベンチと、下手側に重ねられた椅子のみという、想像力をかきたてられる配置。

全部の作者と演目を書きたいんだが、上演権の問題(上演までに許可が取れなかった作品がひとつ…)で、プログラムもなし。

私の記憶だけで書くけど、1個目は、翻訳劇を、初演に倣って九州弁で。
結婚を申し込みに来たはずの男性が、相手の女性としょーもないことで言い合いになり全然話が進まない。このあたり、別役実さんの戯曲と似てると思ったけど、あそこまで不条理じゃなかった。

とにかくおのさんと、お相手の女優さんのやりとりが楽しくて、笑いながら気づいたら終わってた。

すぐに次のプログラムへ。
別役実氏作品キター!
演劇やる人って、別役作品好きだよねー。
まあ、私も面白く演出されてるのはスキなんだけど。
今回は戯曲に忠実におかしみを拾って作っていった感じで、このもどかしさ、あっちへいったりこっちへいったりで全然進まない会話。今の私にはちょっときつかったわー。
役者さんは全然悪くなかった!むしろ良かった!
特にいやいや突っ込む役回りの男優さんのナチュラルな反応が、会場の笑いをさそってたし、私も面白かった。
割と規模の大きい劇場で上演される別役作品は、どちらかというと、突拍子もないことを言い出すほうの役の人に笑いが集まる気がしていたので、そのあたりもなんか新鮮だった。

で、最後のプログラムは、岸田さんて言ってたけど、あの岸田戯曲賞の岸田さんのことかな?(←モノ知らなすぎ)

五人の出演者全員参加の、リーディング。
全員台本を持って、ト書き部分はたぶん演出家が読む。
とはいえ、私がこれまで観てきたリーディングとは一線を画す巧さ、面白さ。知らず知らずのうちに劇中世界に引き込まれる。

舞台は、結婚相談所。
相手の男性にものすごい注文をつける女性と呆れる相談員(女性)
そこにやってきたのは、注文とは真反対と言っていい経歴の男性で…。
この男女のやりとりがとにかく楽しい。スカッと言いたいことを言うおのさんもいいし、そこにいつのまにか惹かれる女性もいい。
結果、とても心があたたまるラストシーンを見ることが出来た。

これで今年の芝居は見納め。(そんなに観てないけど)

最後にこんなに爽やかになることが出来て、良かった。

これぞ観劇の醍醐味だなー。

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