スト6公式フレーム表は全てを書いていない ~対空無敵とダブラリとジジイ~

今(当記事執筆時)からおおよそ2ヶ月前、エド実装と同時に行われたバランス調整はまだ皆にとっても記憶に新しいだろう。
目玉のエド実装、ODダブラリからボリショイストームバスターの超格好良いコンボ、ジェイミーの戦術を一変させた投げ飲み追加、小規模調整という名目からは考えられないリュウの超大幅強化……

だがやはり最もSNS上での瞬間最大風速が高かったのは、JPのしゃがみ強Pから対空無敵が削除されたとの記述ではなかろうか。

かの伝説の青パンにすら匹敵する弾ハメ性能と初代ガイルの中足にすら匹敵する圧倒的な牽制技の性能を持つ理外のキャラに、よりにもよってこれまで知らされていなかった対空無敵判定が存在していたという事実はすぐさまコミュニティを駆け巡った。
この事実にどよめきたったプレイヤー達の多くは、熱心にこのストリートファイター6というゲームをプレイしている。当然のように気になるキャラクターのフレーム表には目を通している者達であり、そのフレーム表で昇龍拳の項目を見ればそこには燦然と「空中判定の攻撃に対して無敵」という記述が輝いている。
即ち、本来であれば皆対空無敵判定付きの技は全て知識として網羅している筈だったのである。

そしてもう一つ、フレーム表と事実が食い違って見える経験則がある。
ザンギエフ使い達は頻繁にダブルラリアットで対空する。通常版のダブルラリアットである。
フレーム表でこの技の項目を見ると、そこに対空無敵の文字は一つもない。唯一、OD版の項目にのみ、6F目から対空無敵との記述がある。
しかし現に我々は経験則として、ダブルラリアットが大抵のジャンプ攻撃に(あのガンメタルハンマーにすらだ)打ち勝つ事を、スーパー頭突きなどの空中攻撃判定の突進技に一方勝ちできる事を、そしてそれらの技に良い具合のタイミングで出すと攻撃ヒット前に一瞬ザンギエフの身体と突進する力士の頭が押し合うような挙動を見せる事を知っている。
言うまでもなく、この挙動は対空無敵属性が付いていないと生じないものだ。

しかし公式ページには対空無敵という記述は無い。が、ここにはれっきとした答えがある。
簡単な結論だ。紐解いていこう。

まず、JPのしゃがみ強Pに限らず、多くの対空用通常技には部分的な対空無敵判定が設けられている。
リュウやマリーザのしゃがみ強Pが代表的で、これに関しては一切の記述が公式フレームデータ上に存在しない。
また同様に、ザンギエフのダブルラリアットも発生1~5Fに頭部分が完全無敵に(喰らい判定が消えている、と言った方が良いかもしれない)、6~16Fに上半身限定の対空無敵属性が付与されている。これも当然のようにフレームデータから記載が省かれている。
このように、フレームデータ表は「部分的に付与された属性」に関してはその記載を省く事が多い。しかし決してこれは一貫した方針という訳ではないようで、例えばマノンのロン・ポワンは同様に上半身のみの対空無敵属性でありながら何故か記載されていたり、アーマー判定技に関しても全て同様に部分的なものでありながらしっかりと記載されている。

要するに、このフレームデータ表は割と適当なのだ。

我々がJPの当然の仕様変更にやたらと湧いたのも、未だにネット上の多くのサイトに「今作ではダブルラリアットから対空無敵が削除された」などという頓珍漢な記述が存在するのも、全てはこのフレームデータ表の適当さが諸悪の根源である。
CAPCOMには一刻も早くこういった記載をより正確に改善するか、或いは解析データに依らずにこういった情報を検証できるように当たり判定の表示を機能として実装するなどしていただきたい所だ。
やり込みたい人間の障害となる仕様を放置するのは、決して初心者優遇とは何も関係がない筈である。

当記事の情報出典は必殺技を含むこうした情報について当たり判定を含む詳細な情報が記載されているSupercombo wiki、通常技限定ではあるもののフレームごとの攻撃判定が閲覧できるUltimate Frame data、そして何よりここで挙げたキャラクターを全て多少以上プレイした人間としての経験則に基づいております。
こうした解析ツールの産物をネット上に公開するサイトがなくては攻略すらままならない程に不正確な情報が記載されている現状は非常に残念です。

追記:記事執筆から時間が経って実装されたベガについて、立ち強PのSAキャンセル判定がある時期まで記載されていない状態になっていました。
Wayback machineにて実際に当時の状況が確認できます。正直、ここまでの表記ミスが発生するとは流石に思っていませんでした。

現在は修正されている。

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