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ミシガンから来た男 #2.

ディープダウンサウス # 1 、 # 2 :ビックスバイダーベック楽団 1930

ビックスバイダーベックは晩年に近づくにつれ深酒による重度のアル中の症状で立ち行かなくなる。
1993年のイタリア映画「BIX」でも安ホテルに女を連れ込み情事に浸ろうとしてるそばで失禁してしまう様が描かれていた。
酒だけではなくクスリはどうだったのだろう?同映画ではその辺までは描かれていなかったが、密売人らしき男とニューヨークの街角で接触しているシーンがあり、意味深長であったが曖昧に描かれている。
ビックスはニューヨークで活動していたが特にポールホワイトマン楽団に破格の週給で雇われてからは金に明かして酒に溺れてバンドでの録音中にもしばしば倒れる騒ぎを起こしていたことが映画でも描かれていた。
♫ジャパニーズマミー の録音の風景だったが実際にはこの曲のビックスの演奏はポールホワイトマン楽団だったのに映画では違うリーダーだったし、反対に♫アイルビーアフレンド がポールホワイトマン楽団の録音として描かれており、そこでもビックスは卒倒騒ぎを起こしている。
実際は♫アイルビーアフレンド の録音は自分名義のビクター盤でリリースされたが、それは1930年9月8日の録音でビックスを慕う後輩ミュージシャン達が多数召集され今聴くと豪華な布陣である。
特にクラリネット奏者にはベニーグッドマン、ピーウィーラッセル、ジミードーシーと三人が呼ばれて、3曲チョイスされた1曲づつ各1人にソロスペースを割いた。
木管奏者に強い拘りを見せたビックスらしい采配であったが、当日の第一曲目にチョイスされた♫ディープダウンサウス を本日は聴いて頂く。
当日ビックスはコルネットにダービーハットと言う弱音器を付けてその音の変化を楽しんでいたが、奇跡的に残ったテイク1と2をアップしたので彼のアドリブがテイク毎にどう変わるが非常に高いクオリティーで示される。
この曲でのクラリネットはベニーグッドマンで後半ビックスのソロ、ベニーのソロ、再びビックスのソロ、と言った塩梅に軽くチェースする編曲がイカしている。
又、この日の録音はビックスのラストレコーディングの一つ前と公式にはなっている。
公式上のラストレコーディングはこの1週間後、1930年昭和5年9月15日に2曲吹き込まれリリースされた記録と音源があるがそれはまた別のお話。

ラスト2の8日の最初のレコーディングでのベニーの憧れのアイドルとの共演に嬉しさが滲み出るソロワークに注目して拝聴願いたい。

正面中央 笑顔で写る若き日のビックス

https://youtu.be/JImXlYz018Y

♫ディープダウンサウスは↑ココをタップする

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