想いを伝えると言うこと 未来へ

この文章は私がなぜVRの世界で活動するに至るか、その想いを記した物です。
この想いが全てではなくとも未来に続きますように。

※この文章を読む際は以下の楽曲を聴きながら読むことを推奨します。
坂本龍一 "戦場のメリークリスマス"

1.なぜ

私達人類は高度な文明社会を築き上げました。
原始社会において、人類は単独では生存不可能であることを自覚したからこそ
社会と言う互助のシステムを組み上げました。

互助のシステムは権威と権力を産み、時にそれはシステムや仕組みの破壊も行いました。
社会は社会を破壊することが出来ることを人類は知りました。

私達の社会は限界を知っています。
私達の生命は限定されており、様々な障壁によって可能性は狭められ、無限に生きることは出来ません。

それでも私達は、生きることに何かを見出そうとしています。
私達は喜び、泣き、苦しみ、笑いながら、日々を生きています。

私達は様々なコミュニティや社会に属しています。
それについて良し悪しはありません。
ペルソナやアバターを通じて、私達は様々なコミュニティや社会に複数並列に所属出来る社会に生きています。

このように私達は人間関係や生活空間をクラスタリングし、選択肢や可能性を広めようとしています。
同時にデータベース化された人間関係と生活空間は、私企業と社会から間接的に統制管轄下に置かれます。

インターネットは単なる技術ではありません。
VRは単なる技術ではありません。
パケットとプロトコルは電気信号だけを意味しません。

私達は拡張と再生産の世界に何かを見出そうと躍起になっています。
私達が「技術」と呼ぶそれらは、既に自然界に存在している物です。
であれば、正しくは技術とは簡便さや拡張性、耐久性、付加価値を意味します。

私達は様々な社会システムや基盤となる社会インフラがモジュール化されて行く中で、自分自身の立ち位置に混乱し始めています。
そして誰もが有限の枠組みの中で最大がどこにあるのか定めようとしています。

しかし、それもまた人類の到達点ではないのです。
その先にあるのは何でしょうか?
私は知りたいのです。
私は想いを届けたいです。
私は想いを知りたいのです。

2.想い

人々はその時代時代において、様々な媒体に想いを乗せてきました。
それは石版であったり、建築物であったり、パピルスであったり、音であったり、本や紙であったりです。

私達は万能なる存在ではなく、実際には取捨選択しなければなりません。
私もまた一つの選択肢を手にとって、それを大事にしたいと願っています。

混乱した時は原理原則原点に立ち返ると見えてくる物があるはずです。
貴方の信じた私達の根源とは、そうそう簡単に変わる物ではないですから。

2018年3月1日 アラビア語で公開された記事があります。
以下はその日本語訳です。
シリア、東グータ地区
https://jp.globalvoices.org/2018/12/19/49952/

以下はコンゴ民主共和国の実情についてです。
ナディアの誓い ‐ On Her Shoulders
https://www.youtube.com/watch?v=Kfruf-Iebz4

私達の社会が単に不完全であると嘆くことは簡単です。
歴史を紐解けば、恐ろしいほどの死傷者と理不尽なまでの出来事がいともたやすく出てきます。
社会は恐ろしい勢いで変化し、人類は絶え間なく変化を要求され続け、浴びせられるような市場価値化された情報によって押し流されています。

2025年から2035年の間に、日本の労働人口の 49% は人工知能およびロボットに代替可能であると研究結果(※1)が出ています。
※1:イギリスオックスフォード大学 マイケルA.オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士共同研究
2028年には日本の空き家数は 1,608万戸、空き家率は 23.2% になります。
2030年には日本の医療産業が小売産業を超えて、製造業に比肩する規模になります。
2060年には温暖化の影響で北海道全域が林檎栽培適地となります。

世界的な流れでは、
2056年にはアジア総人口は 52.7億人に達しますが、アジア人種はこの後減少傾向に入ります。
2100年には世界人口に占める 40%がアフリカ人となり、地球はアフリカ人種の世界となります。
※2015年時点では世界人口に占めるアフリカ人種比率は 15% です。

これは良し悪しではなく、単なる数値上得られる結論です。

その場所その時代の人の想いを、これから人はどこに乗せるのでしょうか?
本当に最新の情報はインターネットでは手に入らず、データベースの管理者が記録する権利と記録しない権利と言う絶大な権力を手にし、
私達は国家の現場に居た人々から少しでも未来を探ろうと、一回の講演料に一人数百万円、数千万円を支払って情報を仕入れています。
私達はそのような現場を見ながら、今日の糧を得るために労働を行う必要があります。

あらゆる情報による価値創造は信用創造に置き換えられ、すぐさま証券化されて市場へ投下されます。
私達のクラスタリングされた人間関係やコミュニティも、いつかは証券化されるのでしょうか?
未来に渡ってデータベースが担保となったり、証券化されることや、国営管理下に置かれないなどと誰が言えるのでしょうか?

私達は断言出来る人を好みます。
理由は世界は不確かで、不明確だからです。
しかしながら、断言には多くの場合意図が伴っています。
その意図が人にとって善き断言であるかは分かりません。
そして、その意図を発することすらも止めるようであれば社会の進展は無くなります。

つまるところ、私達の社会はこのような不安定さや機敏さが要求される細い糸の上で成り立っています。
風が吹けば糸は揺れ、糸に必死に捕まる人々が動揺しても大きく揺れ、いつかは世界に想いが少しでも還元されることを祈りながら、
私達は私達の想いを手繰り寄せて、誰かに届いて欲しいと今日も願いながら、空を見上げ、天の星々を眺めています。

私達が抱える想いが、誰かに伝わることをほんの一筋でも願うことは我儘でしょうか?
私達は世界を見て、看て、診て、視て、観ているのです。

3.伝えること

善行を積もうと言う話ではありません。
今日から何かすべきと言う話ではありません。
何かを信じ、熱狂すべきと言う話ではありません。
人に聖人君子になるべきと講釈するほどに私は聖人君子ではありません。

でももし貴方が何か想いを持っていて、それが例え些細な物であっても、それを伝えたいと願うなら
今日ではなくても、せめて明日には、あるいは今週中には、今月中には、今年中には、想いを伝えることを忘れないで欲しいです。

人は時間に追われていて、勇気の足りない私達は、励まされ、人から褒められて、支えられて、ようやく何とか立って歩けるのです。

私達は知らず知らずの内に傷ついていて、寂寥感と言う恐怖と不安に襲われているのです。
それは解決出来ないことかもしれないけど、でも伝えることが夢を未来を想いを繋ぐことになると私は信じています。

4.ありがとう

私は様々な想いを受けました。
今後も様々な想いを受けるでしょう。

私は想いを述べるでしょう。
今後も様々な想いが混じるでしょう。

想いを伝えても伝えなくても、
それでも陽は昇って、私達を照らして、陽が沈んだあとに輝く天の光は全て星だと気付いて、私達は自分の存在を意識するのだと思います。

想いを大事にして下さい。
貴方だけのその想いは、とてもとても大事な物です。
ありがとうございました。

5.参考資料

書籍:アルビン・トフラー著 "第三の波"

シリア、東グータ地区
https://jp.globalvoices.org/2018/12/19/49952/

2016年、日本 Yamaha人工知能 自動合奏システム
https://www.youtube.com/watch?v=40IRfETlvSs

2016年、グーグルは15億ドルの不老不死研究で何を知ろうとしているのか?
https://www.technologyreview.jp/s/18419/googles-long-strange-life-span-trip/

2016年、アメリカの Baker & Hostetler弁護士事務所 はAI弁護士「Ross」と契約し、主に破産の法的処理を行うようになりました。
https://www.gizmodo.jp/2016/05/ross_ai_lawyer.html

2017年、金融機関大手のゴールドマンサックスCFO(最高財務責任者)マーティ・チャベスは株式取引を行うトレーダーはわずか2名で、大半は 200名のコンピューターエンジニアによって自動化されたと発言。
4名のトレーダーは1名のコンピューターエンジニアと置換可能と説明しました。
https://gigazine.net/news/20170208-goldman-sachs-automation/

2017年、イギリスの汚職捜査を担当する政府機関「重大不正捜査局(Serious Fraud Office、SFO)」は、贈収賄事件捜査関連資料分析にAIを雇用し、人間の 2000倍の速度で処理しました。
https://www.sfo.gov.uk/2018/04/10/ai-powered-robo-lawyer-helps-step-up-the-sfos-fight-against-economic-crime/

2018年、日本の三井住友海上は保険審査にAI活用の実証実験を開始。
https://www.ms-ins.com/news/fy2018/pdf/0509_1.pdf

2018年、中国では裁判審理において原告、被告、目撃者の法廷証言を記録するAIを開発し、数百の法廷で試験導入し、
2019年にはAI裁判官を導入しました。
https://www.afpbb.com/articles/-/3222714

JIIA コンゴ民主共和国における紛争資源問題の現状と課題
http://www2.jiia.or.jp/kokusaimondai_archive/2010/2019-06_003.pdf

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