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クトゥルフ神話TRPGにおける“ソロシナリオ”とは?

はじめに

 近年のクトゥルフ神話TRPGの最中、この様な声を多く聞く「ソロシナリオの需要が高い」。
 ソロシナリオ、クトゥルフに限らずTRPGのルールブックにはダイスやサイコロ、時にはペンも付いてくることはあるが、肝心の一緒に遊ぶための友人は付属してこない。00年代に比べ国内外でTRPGの認知度こそ上がったもののTRPGで遊ぼう!と言っても頭に「?」を浮かべる人は多い、本場のアメリカでさえ、近年D&Dが勢力を伸ばしているとはいえ、ルルが海外で見て来た中でもD&D以外は取り扱っていない書店やおもちゃ屋も多く、専門店や大型書店でも取り扱っててそこにエクリプス・フェイズやウォーハンマーが加わるのが精々だ。それもそのはず、物理書籍の出版不況の中、いくらRPGが出版分野の中で唯一右肩上がりとは言え、売れ行きは全分野の中で最下位を脱してはそもそもいない。
 そんな中、せっかくTRPGをやりたくてもそれに乗ってくる親しい友人は非常に珍しい存在なのだ。そもそも、その様なマイナーな趣味だ、いくらRPGとは社交性そのもののゲームであると言われた所で社交性のある人物はそれ以外の趣味を見つけるし、余程飢えたヲタクでない限り同じゲームでもコンピューターゲームが流行っている今、TRPGまでたどり着くのは稀だろう。
 つまり、それでもTRPGと言うものにたどり着いた者に対して“ソロシナリオ”の需要が高いは当然と言える。
 しかし、クs……もといユニークなシナリオの宝庫であるpixvで検索を掛けてみるとソロシナリオと一言で言っても「ソロシナリオ」「タイマンシナリオ」「KPレスシナリオ」と複数のシナリオ形態を確認できる。これらの言葉は併記されることもあれば、されないこともある。それでいながらこれらの言葉で調べても、それぞれの単語の定義はどこにも出てこない。つまり、雰囲気や感覚で分けられている。また、ツイッターでこれらの意味を聞いてもこういう意味だと“思う”と言う解説ばかりで、使っている当事者たちでさえ確固たる定義が分かっていない始末である。
 だが、公式にもpixvで見かけるこれらの形態のシナリオは少数だが存在するので、公式がどの様にこれらのシナリオを定義分けしているか見ていく事にする。

Solo Game

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 タイトルにもあるように「Solo Game」これは日本で言う所のソロシナリオ全般を指す言葉として使われている。

Solo Games: This category includes games are designed for play with a single player or have rules for play with a single player. For role-playing game supplements, this can mean either scenarios with just one player and no Keeper (usually written in the style of the old Choose Your Own Adventure or Fighting Fantasy books), or it can mean scenarios with one Keeper and one player. For boardgames and miniatures games, this can mean games designed specifically for a single player, or it can mean games that include single-player rules but that can also be played by more players. For video games, this means games that are designed to be played by a single player.

上記がSolo Gameに関する説明である(Soloと略される)。軽く翻訳してみると「このカテゴリには、単一のプレーヤーでプレイするために設計されたゲームや、単一のプレーヤーでプレイするためのルールが含まれています。 ロールプレイングゲームサプリメントの場合、これはプレイヤーが1人だけでキーパーがいないシナリオ(通常、古い「きみならどうする?」または「ファイティング・ファンタジー」の本のスタイルで書かれている)を意味するか、1人のキーパーと1人のプレイヤーがいるシナリオを意味する。 ボードゲームやミニチュアゲームの場合、これはシングルプレイヤー向けに特別に設計されたゲームを意味するか、シングルプレイヤールールを含むがより多くのプレイヤーがプレイできるゲームを意味する。 ビデオゲームの場合、これは1人のプレイヤーがプレイするように設計されたゲームを意味する。」となる。一言Soloと言っても“プレイヤーのみ”、“プレイヤーとキーパーの1:1”、“一人用ボードゲーム”、“一人からのボードゲーム”、“一人用ビデオゲーム”に分かれている。
 ここではTRPGとしてのCoCのみを取り扱うので“プレイヤーのみ”と“プレイヤーとキーパー1:1”のみを取り扱う。

One Player, No Keeper

 まずは“プレイヤーのみ”のから見て行く、これはタイトルの通り「One Player, No Keeper」と分類されている。他にも「Scenarios Suitable for Solo Play」(一人で遊ぶのに適したシナリオ)と分類される。
このScenarios Suitable for Solo Playの説明は

This category collects scenarios suitable for a single person to play (that is, without needing a Keeper). Typically such scenarios are designed only for solo play, and may be difficult to adapt for more players.

とされている訳すと「このカテゴリでは、1人でプレイするのに適したシナリオを収集している(つまり、Keeperを必要としない)。通常、このようなシナリオはソロプレイ専用に設計されており、より多くのプレイヤーに適応させるのは難しい場合があります。」となる。
 キーパーを必要としないプレイヤー一人に設計されたシナリオであり、日本で出版されているモノだと「ウェンディゴへの挑戦」や「恐怖のR. P. G. 闇の中の怪物」、「亡霊の樹」、「 浅浮き彫りの呼び声」がこれに当たる。所謂、ゲームブック方式のシナリオである。記事の表紙とこの項目の画像に貼られている「Alone Against the Wendigo」、「Grimrock Isle」もこの分類である(Grimrock Isleはグループセクションも有るので公式のこの分類にややもにょる所はあるが)。

One Player, One Keeper

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 これは“プレイヤーとキーパーの1:1”である。「One Player, One Keeper」以外にも「Scenarios Suitable for Single Players」(一人でのプレイに適したシナリオ)と分類される。

This category collects scenarios suitable for play with a single player and a keeper. This does not mean the scenario requires that number of players.

この様に説明され、訳してみると「このカテゴリは、1人のプレーヤーとキーパーでプレイするのに適したシナリオを収集している。これは、シナリオがその数のプレーヤーを必要とすることを意味しません。」とされる。つまり、プレイヤーとキーパーの1:1を想定されているが、別にそれよりプレイヤーが多くても構わないと言うものである。
 日本で出版されているものだと「ペーパーチェイス」(2月末にスターターセットにて再録)、「ここで長く生きて」がこれに当たる。
 この項目の画像に貼られている「Les 5 supplices」(出版社はロイヤリティ未納とその後の無権利ライセンスクラウドファンディングで種々騒がせたSans-Détourである)はキャンペーンシナリオであるが、その中にある予備シナリオの5つがこの分類に当たる。

最後に

 公式でのソロシナリオに対する分類は一応、この様になっている。より詳しい、シナリオやボードゲーム、ビデオゲームに関しては参考に貼るURLを参考にして欲しい。
 ソロシナリオの需要が高いと言ったけど、実はソロシナリオの需要は山を越えたとの見方がある。では、今のクトゥルフでのブームは何なのだろうか? ルルの仕入れたとある情報だと様々な地域のシナリオをつまみ食いする形のシナリオ集が今は需要が高いらしい。要するにカントリーシリーズやゴーツウッド、シークレットシリーズ、ガイドブックシリーズの様に一つの地域に観点を絞ったモノでなく、オリエントやニャル仮面の様に軽い解説だけ載せて、多くの地域でのシナリオを掲載したモノがホットだとか(勿論、オリエントやニャル仮面のようなディープなモノでなくもっと軽めのシナリオ)。
 なのでこれからシナリオを書こうと思う人はこれらを参考にしたらよいんじゃないかな?

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参考文献

Solo Games
日本公式出版一覧

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