【エッセイ】風紋: 中田島砂丘

 中田島砂丘の風紋は、まるで大自然が描いた巨大なアートのように美しかった。

 まだ誰も足を踏み入れていない砂丘に一歩一歩を慎重に刻みながら歩くと、冷たい砂が足元を優しく包み込む感覚が心地よい。

 風紋は、砂丘に吹き付ける風が作り出した繊細な模様だ。風が砂粒を運び、その粒が微妙な角度で落ち着くことで生まれる波のような線は、常に変化し続ける一瞬の美だ。目の前に広がる風紋も、昨日とは違う形をしているに違いない。

 柔らかな光が風紋に陰影を与える。光と影のコントラストが、風紋の立体感を際立たせ、まるで砂の彫刻が現れたかのようだ。この美しさは言葉で表すことが難しいが、一瞬一瞬が貴重であることを感じさせる。

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