【映画批評】わかりあえない相手と3Dの比喩: 『僕の好きな女の子』

「あなたはね、飛び出す映像を作ってるんだけど、その人は3Dのメガネをもっていないから、
3Dには見えないんだよ。
だから、ずっとわかりあえないと思う。
見えてる景色が違うから、ずっと話は合わないと思うよ。
その人が自分を3Dのメガネをもっていないと気づいて、飛び出したところを想像する努力をするか。
あなたが2Dでも立体的に見せる工夫をするのか。
その人に3Dのメガネを渡すのか。」

 映画「僕の好きな女の子」の上記セリフは秀逸である。
 その理由は、3Dの比喩が視点の違いや理解の深さを優れて象徴しているからだ。

 3D映像は飛び出して見える立体的な体験を提供するが、それを楽しむには専用の3Dメガネが必要である。
 このメタファーは、相手の視点や考え方を理解するためには、特定の「道具」や努力が必要であることを示唆している。
 3Dメガネを持たない人には、その飛び出す効果が見えず、同じ映像を見ていても感じ方が大きく異なる。

 単なるメガネの比喩はよく使われるが、このセリフではそれをさらに一歩進め、3Dの特性を利用して視点の違いや理解の深さを表現している点が特に際立っている。

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