【歌詞批評】夢の不確実性と無意識: acidman『アレグロ』

 Acidmanの「アレグロ」の歌詞は、秀逸である。
 その理由は、不確実な夢の中で自分自身の無意識を観ることの重要性を示唆している点にある。

 「静かに流れるあなたの祈りは、最初からつまり気付いていたんだ」


 このフレーズは、内的な願望や希望は、自分自身の無意識にあるということを示している。
 また、夢の不確かさの中で、無意識を観ることが重要であるということが読み取れる。

 夢とは不確かなものである。夢を追う過程では、自分自身が何を望んでいるのか分からなくなったり、迷ったりするものである。
 また、その目標設定や努力の仕方が間違っているかもしれない、才能がないかもしれない、結果がでないかもしれない、と不安になったりするものだ。
 この不確実性は、この楽曲の中で繰り返し描かれる。

 「薄く靄がかった」は、夢の世界の視覚的な曖昧さを描く。
 「その手に掴んでる淡く弱く揺れる音」は、音という非物質的なものを手に掴むという不可能な行為を通じて、夢の中での感覚がいかに儚いかを示す。
 また、「ぼんやりと眼がくらみ ぼんやり笑みを浮かべる」からは、もがきながらも一喜一憂する姿が想像できる。

 「沸き上がる力を今、アレグロの鐘が照らして」

 この最後のフレーズでは、夢追い人に対する応援が表現される。
 「アレグロの鐘」が、夢追い人の未来の道を明るく導く様子が描かれている。アレグロの意味は、音楽用語で「速く」、イタリア語で「陽気な、活発な」であり、ポジティブな印象が受けとれる。

 「アレグロ」は、夢の不確実にも負けず前進する勇気を与え、自分自身の無意識を観ることの重要性に立ち返らせてくれる、非常に優れた歌詞である。

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