【歌詞批評】夢追い人の大らかさ: YUI『blue wind』

 YUIの「blue wind」の歌詞は、傑作である。
 夢追い人の大らかさを、見事に描いているからである。

「発明家は偉い人だと教えられた
努力する モノを生み出す」

 音楽家を目指して生きていく自分自身を「発明家」に喩えている。

「でもそれに群がってゆく人たちこそ
かしこくて長生きだ」

 そんな自分自身の対比として、夢もなく流れに沿って生きていくだけの人。
 その人達の方が、ズル賢く世渡り上手に生きていくではないかという反発が見受けられる。

 「神様はきっと見てるよ」と自分自身の夢を励ましてくれた人。

「希望だってきっとあなたより強く持ってる」

 励ましてくれた人より私の方が夢は大きいし、夢追い人の気持ちなんてこの人には理解できないはずなのだけど‥という感情が読み取れる。

「でも優しかった あなたのことがわかった」

 しかし、そんな反発を乗り越えて、「神様の話」をして励ましてくれる人の意図や優しさを大らかに受け入れ、「私らしく 生きていこう」という決意に着地する。

 「blue wind」は夢追い人の大らかさを見事に描く、優れた作品である。

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