読者メモ(朴祥美『帝国と戦後の文化政策』岩波書店、2017年)

日本における文化政策の戦前から戦後への連続性(方法、人脈)を視野にいれた歴史叙述で、朝鮮、韓国の位置を組み込むのが特徴。
戦後の文化政策を知りたかったので、第四章・第五章だけを読む。
政治、経済、行政、左翼運動などの目配りはなされており、それぞれが絡まりあうことで展開したという軸はしっかりしている。特に戦争を断絶と見なさない視点。
戦後の文化政策には、アメリカニズムの受容とともに、日本のナショナリズムを鼓舞する側面が最初からあった。ここに郷土芸能が入ってくる。
特に宝塚の北米公演(歌舞伎公演と比べると失敗)と国内公演(国産品の高評価と連動)の対照させる。
文化庁、国際交流基金、アジア外交へのシフト。
ただ、個別の複雑な状況を詳細に描こうとはしていないのでやや物足りない印象があった。


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