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【イラスト制作過程紹介】るりりん流グリザイユ画法

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こんにちは!るりりん(@RuririnDrawing)です!

しばらく苦手意識を拭えなかったグリザイユ画法(以下グリザイユ)ですが、最近ようやく思い通りに描けるようになってきました。「描き方」もあるていど型になってきたので、このエントリで紹介したいと思います。

このエントリの想定読者
・デジタル人物絵描き
・グリザイユに挑戦しているけど、うまくいかない人(特に着色)

このエントリで分かること
・グリザイユの具体的な描き方が分かる

るりりん流グリザイユのコツ
・モノクロで描きこむこと!
・塗りは「ラフ塗り」「描き込み」の2ステップ!
・「描き込み」ではレイヤー効果「カラー」「輝度」などをうまく使い分けること!

補足
・「この方法が全絵描きにとってベスト!」とも「これがただしいグリザイユだ!」とも言うつもりはありません
・あくまでるりりんがこれまで探究してきた中で安定して描ける方法をご紹介します、という意図です
・今後るりりん自身も新しい描き方が見つかればそちらに鞍替えする可能性もあります

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さまざまな試行錯誤の結果、これから紹介するやり方にたどり着きました。クオリティもスピードも上がったような気がします。特に着色が思い通りにできるようになりました。

左の画像がこの方法を実践する前。使われている色が明度と彩度でプロットされているのですが、肌色が右上に偏っていることがわかります。
右が実践後。肌色系が右上から左下にバランスよく配置されています。

画像1

被写体が違うのでちゃんとした比較ではありませんが、明度と彩度のバランスは右側が取れていることが分かると思います。

色分析についてはこちらのエントリで詳しく書いています。

これから紹介する方法をぜひ一部分でもパクっていただき、絵を描く人、特にグリザイユに興味のある人、やり方を知りたい人の参考になればと思います。

全体の流れ

1.【モノクロ】ラフ
2.【モノクロ】描き込み
3.【着色】ラフ塗り
4.【着色】描き込み
5. 仕上げ

1.【モノクロ】ラフ

この工程でのポイント
・面からラフを描く
・最初は50%グレイを基準に明暗差のみを描く
・トーンカーブで明度を調整する
・面ラフと別レイヤーで線を描く

最初はラフを描きます。

模写の場合はお手本を見ながら、二次創作やオリジナルの場合はアタマの中にあるものを吐き出す感じで。お手本写真がある場合、画像編集アプリでモノクロのフィルターをかけましょう。

るりりんは面(シルエット)でラフを描きます(=面ラフ)。感覚的な話で申し訳ないのですが、線で描くより「浮かび上がる」効率が良いと感じてます。太めのブラシを使うようにして、細かく描き込めない制約を設けて、全体から描いていくようにします。

画像2

シルエットをだいたい取ったら、顔の凹凸などを、光のあたり方を意識して描いていきます。目や鼻などのパーツは描き込まず「この辺にある」ように当てていきます。

この段階で表情までうっすら浮かび上がるくらいにしておきます。

画像3

なおここまでのラフは、50%グレイを基準した「明暗差」だけを描いていきます。

描き進めていくと「全体的に暗いな…」と感じるでしょう。特にお手本がある場合、明度が違うはずです。その場合、アプリの明度コントロールやトーンカーブで調整します。

初めから絶対明度を描こうとするのではなく、まずは明暗差の表現に集中することが大事です。

ある程度面が取れたら、新規レイヤーを【乗算】で作り、ペン系のブラシで細かいパーツの「線ラフ」を描きます。

このレイヤーもモノクロで50%グレイのみで描きます。

ざっくりとディテールを描いて被写体を詳しく描きます。視線・表情・髪型・ポーズが分かるレベルまで描きます。

画像4

2.【モノクロ】描き込み

この工程でのポイント
・ひたすら描き込み
・レイヤー追加→描き込み→レイヤー統合、の繰り返し
・ソフトブラシなどフワッと系のブラシも使う
・真っ黒・真っ白は使わない

前工程で出てきた被写体をさらに追い込んでいきます。面ラフのレイヤーと線ラフのレイヤーは分けたまま進めます。

この工程に限らないのですが、描き込んでいくときは新規レイヤーに差分を描く→元レイヤーと統合する、の繰り返しをしてください。元のレイヤーに直接描いてしまうと描き込みの差分が分かりづらく、質が上がっているのかどうなのか分からなくなってきます。

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また、モノクロ状態では真っ黒・真っ白は厳禁です。どれだけ黒い・暗い箇所でも墨100%は使わないでください。真っ黒や真っ白には色を乗せることができないため、グリザイユに向いていません。これらをどうしても使いたい場合は着色の時にしてください。

モノクロの一枚絵として成立するぐらいまで描き込めたらOKでしょう。服の模様やアクセサリーなど、細かくややこしい模様の類はこの工程では省くことが多いです(めんどくさいので)。

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3.【着色】ラフ塗り

この工程でのポイント
・面ラフと線ラフの間にラフ塗りレイヤー
・しっくりくるまで試行錯誤
・パーツや明暗に応じて色を使い分ける
・線ラフは一部消してしまうこともある

いよいよ着色です。といってもこの工程はまだ「ラフ塗り」
目標は「欲しい色を出す」ことです。

前工程で作った面ラフと線ラフの間に新規レイヤーを作り(=ラフ塗りレイヤー)、面ラフレイヤーとクリッピングして着色します。

画像7

ここは良い色が出てくるまで試行錯誤の連続です。

・レイヤー効果は【オーバーレイ】や【カラー】【乗算】などを使い分ける
・数枚レイヤーを重ねてみる
・着色レイヤーの明度彩度をトーンカーブなどで調整する
・場合によってはモノクロレイヤーもトーンカーブなどで調整する
etc

このタイミングで光と影の色を意識しておきます。被写体がいる環境から逆算します。昼の屋外であれば環境光は黄色っぽいし、屋内の蛍光灯の下であれば冷たい青味の光を浴びているはずです。光が暖色系であれば、影は寒色系にすることで上手くコントラストが出るケースが多いです。

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色をつけていくと、線ラフが邪魔になることがあります。無彩色の線が存在すると、なんだかくすんだ印象を受けるからです。

この対処として以下のいずれかが有効です。
・線ラフを削って細い線にする
・線ラフレイヤーの透明度を下げる
・線ラフをクリッピングして色ラフと近い色をのせる(色トレス)

おすすめは最後の色トレスです。この段階のメイキング動画を撮ったのでご参考ください。

おおよそ欲しい色を得ることができたら、レイヤーを統合して描き込みに移ります。

4.【着色】描き込み

この工程でのポイント
・面ラフ・ラフ塗り・線ラフのレイヤーは統合してしまう
・新規レイヤー→描き込み→レイヤー統合…の繰り返し
・色相と彩度調整は【カラー】明度調整は【輝度】レイヤーで
・影や陰を追加したい場合は【乗算】か【標準】レイヤーで

ラフを作っていたレイヤーを統合してしまいます(=ラフレイヤー)。るりりんは髪・顔・身体のようにパーツ単位で統合することが多いです。

画像9

(⬆️のキャプチャは統合前です。「この単位で〜」のレイヤーグループをそれぞれ統合します)

ここでも、統合したレイヤーに直接描き込むのではなく、上に新規レイヤーを作って描く→ある程度描けたら統合する、そしてまた新規レイヤーに描き込んでいく…この繰り返しで進めていきます。

レイヤーと分けることで、表示ON/OFFのみでカンタンに描き込んだ内容を確認できます。これにより描き込み品質の良し悪しを一つ一つジャッジしながら進めていけるようになります。描き込みは細部に意識を集中して追いこむ作業ですが、細かいところに集中するがあまり「絵全体から見たらどうなってるか?」という俯瞰の視点を疎かにしがちです。この一つ一つの確認が、細部の質をあげつつ全体とのバランスを保つ重要な作業になります。

描き込むレイヤーは、以下のような使い分けをすることが多いです。

【カラー】…明度はそのままに色相・彩度のみ変更してくれます。女性の肌の微妙な色の変化を表現するときに使います
【輝度】…明度のみを変更してくれます。明暗に調整を入れたいとき(もっと暗くしたい・明るくしたい)に使います
【乗算】…陰影など、明度を落としたい箇所に使います。範囲が広く明度のグラデーションをつけたいときは乗算です
【標準】…置きたい色が決まっているときに使います

特に【カラー】と【輝度】はグリザイユにおいて必須なレイヤー効果かなと思います。
描きこんでいくうちに明度の調整(もっと暗くしたい・明るくしたい)をしたくなるときがあります。このとき色をつけたままで調整しようとすると「調整したいのは明度だけなのに、色相と彩度も一緒に考えないといけない」という事態に陥ります。

そういうときに、明度のみを変えることができる【輝度レイヤー】を使えば、着色した後でありながらモノクロ状態に戻して描き換えることが可能になります。

いずれのレイヤー効果を使うときも以下のことに気をつけます

・カラーピッカーでラフの色を拾い、その色を基準に置く色を決める。ラフ塗りとの色の関係性を重視します
・統合する前に透明度を調整して馴染ませる

5.仕上げ

この工程でのポイント
・空気感、環境光などの演出
・やりかたいろいろ。絵による
・【スクリーン】と【オーバーレイ】、グラデーションマップで色価表現、ノイズなど

しっかり色を乗せることができたら、仕上げです。被写体が環境から受ける直射光・反射光・空気感などを強調して絵のトーンを統一したり、テクスチャを貼りこむなどしてイラスト感を出します。

描きたい絵によってやりかたが変わってくるので、ここではるりりんがやっている方法の紹介にとどめます。

・【スクリーン】+【オーバーレイ】…強い光を受けていない被写体は、少しぼうっとした空気の中にいることがあります。青系の色で絵全体を塗り潰し、【スクリーン】や【オーバーレイ】、もしくは両方使いこの空気感を出します。

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ノイズ…写真ぽい粗さを表現する時に使います。ノイズで汚したレイヤーを【オーバーレイ】で重ねます。うまく絵に馴染ませると、ノイズが肌のテクスチャぽく見えます。

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テクスチャ…キャンバス系のブラシで背景や髪などを汚します。明暗の境目に入れると上手く目立ち、写真とイラストの中間ぽいフィーリングが得られます。

画像12

グラデーションマップ…光と影を表現する時に使います。明るいところは暖色系、暗いところは寒色系など、配色の自由度が高いため便利です(そのぶん使いこなしは難しいです)

ハイライト…【追加】レイヤーで直射光を描きます。鋭く光を当てる場所(目のハイライト)と鈍く当てる場所(肌)で描き分けます。

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以上、るりりんなりのグリザイユ画法の紹介になります。

いかがでしたでしょうか?
冒頭でも書きましたが、これが正しい方法だ!とか言いたいわけではなく、あくまでるりりんが試行錯誤の上見つけたプロセスを紹介しています。いずれ進化・変化していくでしょうから、そのときはこのエントリに追記したり、別でまとめたりしたいなと思います。

絵を描くって意外と大変です。うまく描けているときはいいのですが、そうでないときは嫌な気持ちになりますし、だんだん絵から心が離れてしまうこともあります。

一定の手順やプロセスを用意しておけば、うまくいかないトラップに陥ったとき「こういう場合にはこうしよう」と選び進めることができるので、筆がとまってしまうことを防ぐことができます。

ここで紹介した内容の一部でも、絵を描く人の参考になればと思います。

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