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占星術と宗教とヨーガ


インド占星術は別名仏教占星術とも呼ばれ前世のカルマという考え方を重要視し、己の宿命を受け入れ、カルマの解消を目指し輪廻転生からの解脱を目指す為のものです。インド占星術はヴェーダ哲学を学ばなければ完成しないと言われていますが、ヴェーダとはバラモン教の聖典の総称であり、サンスクリット語で「知識」という意味を持ち、宗教的な知識が書かれた書物がヴェーダと呼ばれるようになりました。

近年、当て物占いのように成り下がってしまったインド占星術ですが、本来はむしろ宗教的な学びを促す為にホロスコープが利用されていたと言っても過言ではないでしょう。
インド占星術では星を読み解く技法として様々なヨーガ(星の組み合わせ)がありますが、又それとは別にインドの修行法として肉体や精神の修練を通じて神に近づく目的とする肉体を使ったヨーガというものがあります。最近は健康法としてのヨーガがブームとなっていますが、本来は神に近づく事が目的だったのです。このヨーガですが、実際にお寺のお坊さんも病気をヨーガで治癒させていたというお話しがあります。不調の箇所を捻ったり、伸ばしたりしながら呼吸を送って治癒を促したという事です。

 身体的なヨーガは大きく分けると以下の6つに分類されます。

① 王道ヨーガ(ラージャ・ヨーガ)
心のむなしい動揺を止め静寂な境地に至るヨーガ
② 信愛ヨーガ(バクティ・ヨーガ)
神への絶対的な愛によって神に近づくヨーガ
③ 行為ヨーガ(カルマ・ヨーガ)
法典に定められた義務をひたすら実践する事で解脱に至るヨーガ
④ 知識ヨーガ(ジュニャーナ・ヨーガ)
学問によって自己と宇宙とが同一である事を知り、解脱に至るヨーガ。
⑤ 真言ヨーガ (マントラ・ヨーガ)
  呪文を唱え続ける事によって究極の真実に近づくヨーガ
⑥ 強制ヨーガ(ハタ・ヨーガ)
  肉体を正しく操作する事で宇宙と合体する修行法であり、肉体を捻ったり伸ばしたりして強制(矯正という意味合いとも取れる)するヨーガ

インド占星術では調べれば100を超えるヨーガがあると聞きますが、鑑定で注目される(質問の多い鑑定)代表的なヨーガは主にこの2つでしょう。

ラージャ・ヨーガ(王者のヨーガ)
ダナ・ヨーガ(財運のヨーガ)

鑑定に来る方の殆ど悩みは「自分はいつ何で成功して、いつお金が入るのか?」「いつ素敵な人と巡り会い結婚出来るのか?」「自分は結婚生活を続けるのか離婚する宿命にあるのか?」といったところでしょう。

実際にインド占星術の鑑定募集には
・あなたはい自分が成功する時期を知りたくありませんか
・あなたはお金が入る時期を知りたくありませんか
という告知宣伝される鑑定士さんが多いのです。

ですが、インド占星術は仏教占星術であり宗教的な側面を持つのに対して、成功だの財運だのを占う為にあるのだろうか?という疑問が残ります。肉体的なヨーガでは、ラージャ・ヨーガは成功ではなくて、心の動揺を止めて静寂な境地に至ると書かれています。
又、ダナ・ヨーガのダナは仏教ではお布施を意味する言葉です。
実際に私はラージャ・ヨーガが形成されている時期に突然、職を失ったという経験があります。日本では職を失う事は不運であると感じますが、インドの文化では職を失った時は精神の成長の為に時間が使える為(精神修行の旅に出る、山にこもる事が出来る喜ばしい時期)と考える事から認識のズレが生まれているように感じます。
又、財運のヨーガと呼ばれるダナ・ヨーガは、お金が入る時期ではなくて「お布施をしなさい」という教えなのではないかと、私は考える事があります。
 本当の意味でのラージャ・ヨーガは精神的な成長を遂げる時期、自らステージアップを図る時期であり、仏教の十界である六道輪廻(地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人間界、天上界)から抜け出して、四聖界(声聞界、縁覚界、菩薩界、仏界)に入りましょうという意味なのではないか?と思うのです。実際に私自身も職を失ったからこそ、自分の働き方に疑問を感じるようになり、そこから抜け出す為にインド占星術や仏教を学び始めたのです。
 又、お布施と聞くとお金の事だと考えがちですが、仏教では自分の持っているものを与えなさいという教えがあります。あなたが多くの知識を持つ者なら、教養のない人に知識を。畑を耕しているのなら貧しきものに野菜を、何も持たないものは笑顔を与えないとそれが本来のお布施というものです。

当て物占いに成り下がってしまったインド占星術。
仕事がうまくいかない時に「仕事に良い時期です。頑張りなさい」結婚生活に苦しんでいる時に「あなたは離婚するカルマがあります。」と答える事で誰が救われるのでしょうか? 占星術は自分を知りたいという人にとっては、自分を知る手がかりになるかもしれません。けれども深い悩みに苦しんでいる人には何の効力もありません。マントラも宝石処方もなんらかの効果はあるかもしれませんが、自分の問題は自分で乗り越えるという覚悟がないと、魂は成長しないのです。そこから逃がれようとする事で更なるカルマが生まれ更に来世で同じような苦しみを味わう事になるのではないでしょうか。
 
 占星術師になりたいのなら、宗教的な智恵も同時に学ぶ事が大切なのです。当て物占いに成り下がってはいません。当てる事で依存させてしまえば、占星術師は悪い業を積む事になり、その先に幸せが訪れる事はないでしょう。この世界を生み出しているもの。
(ブラフマン)は自分の中にあるのだという事に気づかせる事、占星術師自身がその真実を知る事が必要とされているのです。

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