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月下怪談 解説裏話

 月下怪談の解説裏話記事です。11000文字くらい。
 解説裏話なのでネタバレ全開。


・作成経緯


 作品内の後書きで語りましたが、前作の『負け犬の癖に吠えるな』の影響が凄いです。
 2年近くあの作品の攻略対象であるスーパー拗らせ面倒臭男の相手をしていたせいで、とほほ……もう面倒臭い男はコリゴリだよ〜!!となり、反動で素直で明るいヤンデレを作るか!と思い立ちました。
 また、しばらくホラー系の作品を作っていなかったので、ホラー作りたいな〜という思いも爆発しています。
 そして、後書きにあったとあるホラー小説を読み終えた際にミステリアスな長髪美青年が怪談を語ってくれる作品があったら幸せだな……と考えた為に長髪美青年が怖い話をしてくれるゲームを作りました。
 そのとあるホラー小説とは、三津田信三さんの『怪談のテープ起こし』です。
 
 ・短編ホラーが複数収録されている話である
 ・複数の短い話に繋がりがある……かもしれない
 ・タイトルに怪談がつく
 
 この3つ位しか共通点が無いのですが、読み終わってからホラー作りてぇ〜!!となって構想が浮かんだので……
 どちらかというと、同作者の別作品の方が真相が似ているので影響を受けてそう感があります。
 タイトルを出すとネタバレ待ったなしなので、気になる方は三津田さんの作品を読んでこれかな?と思う話を探してみてください。

・タイトルの意味とか


 怖い話をするゲームなので、わかりやすくタイトルに怪談を入れたいな〜という気持ちから徐々に決めていきました。
 
 何故か暗闇、夜に関する話でまとめてみよう!と最初から決まっていたので、タイトルもそれっぽいものにしたい→とりあえず月下怪談にしてみる
 
 こういった流れなので月下怪談というタイトルは最初はあまり気に入っていませんでした。気に入っていないというか、あまりピンと来てないというか。
 
 夜や闇を連想させるタイトルなら何でもよかったので、宵闇怪談とか、夜間怪談みたいなタイトルも思いついてはいたのですが、最終的に今の形に落ち着きました。
 月下怪談の月下は、月下氷人(月下老人)と月下美人の前半部分から付けており、ダブルミーニングとなっています。
 月下美人はメインキャラであるイルシィのイメージ植物で、月下氷人は仲人の意味を持つ故事成語です。
 タイトルの時点でこの話には恋のキューピッドが出ま〜す!と宣言しています。
 
 Q あれが恋のキューピッド……???
 
 A 間違いなくキューピッドだが????
 
 もうちょっと上手い言葉のかけ方があるのでは?と思いあまりピンと来ていなかったタイトルなんですけど、シナリオを全部書き終えた段階になってピンと来るようになった気がします。

・ざっくりとしたテーマとか


 全体的に暗闇の怖さをイメージしています。
 
 好きな漫画の一つにチェンソーマンがあります。この漫画に出てくる敵は怖がられている概念の名を冠している程強いのですが、中でも闇はとても強いもの(即ちとても怖いもの)として描かれています。
 ホラゲーやホラー映画などホラーと名の付く作品は大体が暗い場所でドンパチやりますしね……(だからこそミッドサマーの存在は衝撃でした)
 
 特に深い理由もなく暗闇をテーマにした怪談を作りましたが、ホラー作品を作る以上舞台の明暗は意思せざるを得ないのかもしれません。
 
 逆に明るい場所の怖さも少し入っている気がします。
 人間が暗闇を怖がるのは昼行性生物の本能からであって、夜行性の生き物にとっては明るい場所こそが怖い。もしも人間が夜行性の生き物なら、ホラーゲームや映画はどれも眩しくて何も見えないような画面ばかりだったかもしれない……みたいな妄想をするとちょっと楽しい。
 作品内の夜行性生物というと禮豐邏埜裡壊ですが、本物のイルシィの方にも少しこの概念が当て嵌まっています。物理的にも心理的にも彼は明るいものが苦手であり、焦がれてもいます。
 
 
 初めての名前変換機能あり乙女ゲームなので、できれば名前変換機能をフル活用したい!という思いがありました。
 てことでプレイヤーさんから預かったお名前を怪談に使わせてもらいますね〜!!!
 
 最悪なゲームである。ホラーゲームに名前を入力する際は、こういう目に遭う可能性を考えよう。
 
 と一見嫌がらせでしかないような名前変換機能ですが、本作は乙女ゲームでもあるのでちゃんと乙女ゲームとしても名前変換機能が輝くシナリオにしようという努力はした……できてるかは知らない……
 
 過程のあれこれは最悪ですが、入力した名前がどのエンディングでも攻略対象の心に残り続けるみたいな方向にしています。

 
 何となく肉体と魂の関係についてもふんわりテーマにしています。
 
 せっかくの休みだから色々やりたい!と思っていても体調が悪かったりして結局思ったようにいかなかった……みたいな経験はありますか?
 イルシィ程深刻でないしろ、こういう身体が気持ちについてこない。身体が弱っているせいで精神まで擦り減っていく……なんてことは割とある。ありますよね……?
 そういった時のもどかしさをイメージして作ったところがあります。
 
 これは何もイルシィだけじゃなく、禮豐邏埜裡壊にも当てはまります。
 肉体に縛られる側だったイルシィですが、後に他者の精神を殻(肉体)として縛る側になります。酷いね。

・キャラクター解説

・イルシィ・エピフィラム


 本作の攻略対象です。
 作中や、作者のX(twitter)上にてイルシィという名前が指す者は文脈により異なってきますが、ややこしいので解説記事内では本物の方にしか使わないようにします。
 24歳(享年も同じ)の男性 作品内ではあまり言及されませんでしたが、188cmと背が高いです。 
 この設定に特に深い理由はないです。ただの趣味ですね。ああいう無邪気で明るい子の背が高いと嬉しい……ただそれだけの為の設定。
 
 雨宿りの為、侵入した呪われた館の現所有者。
 家主なので作中の行動は実は不法侵入ではなかったりします。
 
 自作品では珍しく善良寄りの攻略対象
 悲観的な部分はありますが、物凄く捻くれている訳でもなく、普通に優しい人です。
 元の性格がこうなので、禮豐邏埜裡壊も若干影響を受けて性格の悪さが弱体化しています。
 
 没になった展開だと死んだ後に、様子を見に館を訪れた弟を傘で滅多刺しにしたり、Aの首を跳ね飛ばしたりしていたのですが、このシーン入れるとテンポ悪いな……と思ったのでカットされました。
 上記の展開は、生前はあまり怒りを出さなかった彼が、禮豐邏埜裡壊の影響もあって押し殺していたはずの殺意を表す……的な意味合いを込めて考えられたのですが、Aはともかく弟はそんなに積極的に殺しに行かなさそうだと現在は思い直しています。
 没になった傘のシーン自体は5話目の終盤にリサイクルされています。
 
 名前の由来
 イルシィは幻覚、錯覚、幻影等を意味するillusion(イリュージョン、イリュジオン)、及びillusionのオランダ語表記であるillusie(イルーシー)に由来します。
 苗字のエピフィラムはイメージ植物である月下美人の学名Epiphyllum oxypetalumの前半部分から。クジャクサボテン属を意味する言葉です。
 カタカナに治すとエピフィルムが一般的っぽいのですが、響きが好きなのでエピフィラムの方を採用しています。
 
 イルシィという名前は、あまり設定が定まっていなかった初期の初期に付けられました。
 当時は、化け物によって物語開始時点で殺されている犠牲者その1でしかなかった彼。化け物が犠牲者の名前を騙っている都合上、彼の名前を考える必要が出てきました。
 最初は、影、闇、夜みたいな作中の雰囲気直球ワードの海外表記から考えていこうとしましたが、あまりにも直球過ぎるので止めました。
 そこで遠回しに、今あなたと直面している人は何処にもいませんというメッセージを込めて、幻覚を意味するillusionから名前をつけました。
 髪の色はアルビノによるものなので、別に日本ネームでも違和感はないはずなのに、外国っぽい名前の付け方をしたのはマジで特に理由はないです。たまには横文字を使いたかったとか、何となく海外ネームの気分だったとかそんなところでしょう。
 じゃあヒロインのデフォ名も海外ネームにしとけよという話になりますが、これはもう細かいことは置いといて……ってことで。そもそも怪談話の内容的にどう考えても舞台は日本風の世界だし……
 
 ・朝や太陽光が苦手 夜型
 ・子供っぽい など
 実は禮豐邏埜裡壊と少し似ているところがあります。二人とも外の世界に詳しくなく、好奇心旺盛で良くも悪くも純粋な寂しがり屋。
 そんな共通点もあり、生前は放置されてたのに殻としては気に入られています。
 
 アルビノなので全体的に色素が薄いです。多分他の家族は茶髪とか金髪あたり。
 生まれつき身体が弱く、入退院を繰り返しています。目が悪く、手足もあまり思うように動かせません。基本的に大まかな色と形で物体を認識しています。この視力の低さは太陽光の影響も受けているので、室内や暗い場所だと見えやすくなります。
 
 
 アルビノはあまり日光を浴びると良くないとは聞くけどこんなに身体弱くはないよな……?と思われた方もいるかもしれません。
 ここから先は専門的な医療知識のない素人の語ることなので話半分に聞いて欲しいのですが、アルビノには大きく分けて二つの種類が存在します。
 一つ目は合併症を伴わない非症候型、二つ目は合併症を伴う症候型。イルシィは後者をイメージして作られたキャラクターです。
 症候型にも様々な種類があり、それぞれ症状が異なるのですが具体的に参考にしたものはありません。症候型のアルビノという大まかな括りのイメージで作られたのがイルシィです。
 なので別々の病の症状が混ざっていたり、描写されていない症状があったりします。
 
 生まれつき病弱でやりたいことがとことんできなかった為色々と諦めてるし、両親の死と弟から実家を追放されたせいで自暴自棄になっています。
 本当は死にたくないので、メイドを雇って何とか生活している。
 環境体質諸々のせいでネガティブになっていますが、本質的にはポジティブな人間です。どちらかというと前向きなのに、後ろ向きになろうとする。自分からネガティブな方に向かう性質があります。そっちの方が精神衛生上楽なので。
 身体が健康であれば運動とか好きな方のはず。反対に今みたいに本に熱中することはなかったかもしれません。

・禮豐邏埜裡壊


 “れいでらのうちえ”と読みます。
 こっちも本作の攻略対象です。
 
 こちらの名前の由来はスペイン語から
 rey de la noche(レイ デ ラ ノーチェ)を日本語っぽく変換して、それっぽい漢字を当てたのが禮豐邏埜裡壊です。豐の文字だけは本来の読み方から逸脱しているのですが、何故かスマホの予測変換に出てきやがったのを採用してそのままになっているだけで特に深い意味は無いです。
 rey de la nocheはスペイン語で“夜の王”という意味です。イルシィと同じく禮豐邏埜裡壊のモチーフとなった花、月下美人は別名で夜の女王(reina de la noche)と呼ばれています。それを性別を特定しない表現(reyには男王という意味もあるのですが、まあ王って意味がメインにあるから多分大丈夫……大丈夫かな……)に直したrey de la nocheから名前を考えました。
 禮豐邏埜裡壊という文字列の意味は、ゲームの後書きにある名前入力欄のおまけ要素にて少し説明されています。
 


 ↑ここで名前か苗字のどちらかに禮豐邏埜裡壊と入れると、特殊なテキストが出てきます。
 入力が面倒臭い? この記事からコピペしな!
 
 禮は敬う
 豐は豊か 
 邏は巡る 
 埜は野 
 裡は内側、中の意。
 壊だけはよく見かける漢字で意味がわかりやすいですね。破壊、壊すの壊です。
 敬えば豊を巡らせる、野を巡れば内から壊す者という意味合いに何となくなるように名付けました。
 
 特殊テキストにて判明しますが、れいでらはこの名前を気に入っています。意味は深く理解していないでしょうが、人間が自分に与えてくれたものなので大切に思ってちゃんと覚えています。
 なので、すらすら紙に書いたりできる。愛やね……
 
 これの正体は作者も詳しく決めていませんし、れいでら自身も知りません。過去に飛来してきた地球外生命体かもしれませんし、呪術によって生み出された怨念のようなものかもしれませんし、未発見の寄生生物かもしれません。
 そこらへんの解釈はプレイヤーの好きにしていただいて……
 
 人外ではあるけど、あまり上位存在感の無い……神と崇められてはいたけど、本当に神かなぁ……となるような塩梅を目指しました。どちらかというと野生的で、高尚さのない、文明からは遠く離れた存在です。
 森に昔から住んでいる野生動物的な印象。ト◯ロと同じ区分だね。ト◯ロに謝ってくれ。
 
 人、家畜問わず手当たり次第に襲うので村人によって封印されました。あまりにもヤバい奴の為、たまに餌をやるから勘弁してくれ……という気持ちで祀られたのが信仰の始まりです。怨霊を祀るのと似た経緯です。
 
 基本的に生物の殻を被っていることが多い。本体は影のような黒いもの。四話目で人の形をとって出現しましたが、形は自由に変えることができます。
 日影になっている部分から生物の内側に入り込める性質があります。侵入を防ぐにはれいでらの潜んでいる影から距離をとる必要があります。
 侵入にも幾つかの段階があり、作中の多くの人が気づかない内に取り込まれていたように少量の侵入なら宿主は気づけません。あくまで肉体の制御権を一時的に譲渡されているだけなので、れいでらの気分次第で動けなくなりますし、いつでも殺せます。
 また、細胞を弄って肉体の損傷を回復したり、脳を弄って幻覚を見せたり、夢の内容を操るなど色々好き放題できます。あとちょっと心も読める。感情を理解できるかは謎。
 
 この段階だと意識自体は乗っ取っていない為、殻の影響を受けません。
 2話目で主人公の父にやったように、死体にも乗り移れはしますが、その場合肉体を回復したりはできません。自分の娘である主人公に危害を加えられたように、死んだ殻の影響は受けません。 
 
 イルシィ本人の肉体的な問題も乗っ取ってからは全部解消しています。
 乗っ取った身体から記憶を読み取れるので、それなりに人間らしく振る舞うことはできますが、喋れば喋るほどボロが出ます。
 
 供物を捧げられていましたが、そもそも本体には口がついていないし、食欲も備わっていません。適当に乗り移って遊んでいることが殆どだったと思います。それなのに作中で色々食べてるのは娯楽とか、相手の反応を面白がっているのが理由です。
 
 同様に睡眠欲や性欲も無いです。無性別だし。
 個体の力が強いので増えようとする意思が皆無です。なんか勝手に分裂するし……他個体がいるのかわからないし……
 


 なので一見人外特有のデリカシー皆無発言に思えるこれも、本来の禮豐邏埜裡壊なら絶対に言わない台詞です。
 
 イルシィin禮豐邏埜裡壊は本来のイルシィなら絶対にやらない言動だったり、本来のれいでらなら絶対にやらない言動だったりが混じっており、滅茶苦茶なことになっています。
 
 なんで死んでから性欲バラされてるんですかねあの人……
 
 自分以外の生命全てに積極的に喧嘩を売りにいく等かなり残虐な性格をしているが、同時に明るく人当たりが良い。
 イメージ的に頭は悪い方。でも他者を追い詰めることに関する狡猾さは持ち合わせている。
 頭の良さ、身体能力諸々も殻に依存している部分がある。どの生命を乗っ取っても身体能力は増加しますが、やっぱり元々強い生き物の方が強いです。
 
 ある程度獲物を泳がせるのが好きなので、すぐに殺しにかかるケースは少なめ。気紛れでもあるので、すぐに殺す時はすぐに殺す。
 例えば1話目なら、その気になればバカ力で玄関扉、家の壁、窓位破壊できますが、(生前の恨みもあり)精神を衰弱させた〜い!という感情からジワジワ追い詰めています。
 
 人間のことは好きで、凄い存在であるとも思っていますが、ナチュラルに見下してもいます。人間が人間以外の動物のことが好きだったり、生態に感心を覚えたとしても決して対等には扱えないような感じ。
 
 再生能力があるので右目を元通りにすることも可能だけど、ヒロインをビビらせる為にわざわざあんな風にしている。性悪。 

・各話解説


 ・1話目
 記念すべき?最初の話
 本作の怪談は最初から関連が生まれるよう時系列順に考えられたものですが、そのまま語ったら繋がりが丸わかりなので、バラバラにカットして話すようにしました。
 1話目と繋がる話は大学生三人組が出てくる3話目なので、2話目は一見関連のないように思える村の話を持ってきています。
 全体的に怪談らしい怪談? 肝試し、事故物件、因習村と怖い話の定番をやろうとしたのですが、1話目は話と話の繋ぎの為に作ったと思わしきものであまり定番感はないですね……
 1話目から4話目までは友人にラインで簡単にほぼ即興で語ったストーリーラインがあり、それをプロット代わりにして細部を詰めています。
 

即興なので九割くらいふざけている。


 
 ・2話目


 序盤で因習村というワードを出すことで、まるで村側が悪いかのように思わせる悪質な印象操作。騙されないように。
 
 何気にストーリーの根幹をなしている話です。根幹をなし過ぎているので途中で打ち切りです。
 
 最後に蝋燭の火が消えて話の主人公が酷い目に遭います。現実の方でも蝋燭の火が消えていっており、ここらへんで(なんか話が進んでいくとヤバいかもしれない……)という不安を与えようとしています。
 
 ・3話目
 2話目から3話目も同様に微妙に繋がりが見えてこない事故物件の話にしています。ですが、そろそろここらへんで繋がりに勘付いてほしいので最後にわかりやすいヒントを入れています。あとここらへんかられいでらのヤバさも増してる。
 個人的に一番怪談らしい怪談?
 2話目が中途半端なところで終わるので、3話目はちゃんとするか!と気合い入れて書いた記憶
 
 一見オカルトホラーのようですがやってることはただのやたらと手の凝った嫌がらせです。というかどの話でもクソみたいな嫌がらせしかしてません。
 
 一回目をつけられたら終わりなので、引っ越したところで無駄です。これだから地縛霊じゃない奴は。
 


 最後の「助けてあげません」は一応は真面目なテキストが主体の作品なので「助けてあげません」と普通に書いてますが、イメージ的には「助wけwてwあwげwまwせwん」みたいな本当にウザいタイプの半笑いで言っています。
 
 ・4話目
 最早自分が怪異側であることを隠す気のない4話目。終盤でちゃんと夜になる前に帰れよ!帰れ!!と警告してます。ちゃんと帰りましょう。
 
 今回の主人公は生前好感度を稼いでいたので生き残れた可能性があります。
 
 なんか終盤あたりでC in 禮豐邏埜裡壊が謎の存在に丁寧に話しかけていますが、これはただのそれっぽい演技です。なんか謎の存在に友人が話しかけてたら怖がるだろうな〜wwみたいなノリでやっています。
 
 ・5話目
 月下怪談ドキドキ裏バイト編
 色々と視点がややこしい話です。語り手はれいでらなので、れいでら視点での考えを基本述べているのですが、行動自体はイルシィがとったものを話しています。
 たとえばAの様子を見に行ってきたくだり。
 感想はれいでら視点なので突き放したような文章になっています。行動のみを抜き出すと、Aの様子を見に行ったら自傷行為を始めたので自分の部屋に帰った……となります。
 作中では詳しく書きませんできたが、この時のイルシィは何となく心配で部屋を訪れたらヤバいことになっていたので怯えてその場を立ち去っています。
 こんな感じでれいでらによる語りで真意を隠すような描写で5話目は語られています。
 
 イルシィの肉体だと、最後の場面は思うところがあるらしく語りの歯切れが悪いです。

・エンド解説


 ノーマルエンド
 最初に辿り着く人が多いだろうエンディング。明らかに帰った方が良い雰囲気だもんね! もう片方は長くなりそうだし。
 (そう簡単には帰らせてもらえないだろうな……)と考えながら選択肢を押した人もおそらく多いでしょう。意外にもあっさりと帰れます。
 
 禮豐邏埜裡壊というかイルシィ本人の性格が表に出ているエンディングです。生前好感度さえ足りていれば割と何とかなるタイプの優しい怪異。
 
 3話目、4話目との対比が個人的に好き。
 生前好感度も何もないので見逃してくれない3話目と、好感度はあったけど地雷を踏んだので終わった4話目。
 
 ここで解放してくれたのは最後の慈悲的なものなので、約束を破ってもう一度山の近くに寄ろうものなら二度と町には戻れなくなるでしょう。
 
 エンド名の晦冥(カイメイ)は暗くなること、または暗闇そのものを意味する言葉です。
 真相は闇の中とかそんなイメージで……
 
 晦冥という単語は、実は没になったれいでら様の初期名前案です。最初はカイメイ様という名前でした。実体をそれとなく伝えながらも、普段使わない単語なのでぱっと見だと気づかない……みたいな塩梅を狙って晦冥という単語を使おうかな〜と。
 ただ如何せんカイメイ様は淀みなく言いやす過ぎる。解明など比較的日常的に使われてる同音異義語もあり、不気味さが足りない!
 と思ったので現在の形に変えました。
 外国語を無理矢理日本語に直すと聞き慣れない感じになり、不気味で良い。
 
 トゥルーエンド
 5話目→解説→過去回想という長い道を辿ってのトゥルーエンド。
 主人公からしたらノーマルの方が圧倒的にハッピーですが、トゥルーはこっちです。
 ノーマルだと控えめだった禮豐邏埜裡壊の悪辣さがオープンになっています。
 れいでらには、好きな人にはある程度チャンスを与えるという特徴があります。
 
 怪談を語ったのは
 ・主人公をビビらせたい
 ・元々怖い話が好き等の理由もありますが、実は主人公に逃げるチャンスを与える為でもあります。
  
 2話目では蝋燭の火を絶やさないこと、4話目では夜が来るまでに帰ることをさり気なく伝えています。時間が来るまでに帰ればノーマルエンドのようにあっさり帰らせてくれますが、5話目が終わるまでに立ち去らなかった場合は問答無用でトゥルーのような結末になります。
 れいでらは、影でこっそりそういうゲームをするのが好きだったりします。
 


 ↑テキストスピード変更で読める文章 ちょっとしたヒントになっています。
 
 普通にさっさと帰ってほしい気持ちもあるので、話が終盤になる程自身の異常性を明るみに出しています。
 
 それはそうと館で永遠にイチャイチャしたい気持ちもあるので、トゥルールートに行くとはっちゃけます。
 本物のイルシィ的にはノーマルの方がハッピー……と思いきや生前では伝えられなかった想いをこちらではがっつり伝えられてるのでこっちもハッピー……? ハッピーかなこれ……
 


 絶対これ使いたかっただけだろ疑惑のある台詞ですが、マジで偶然の産物です。なんか途中でタイトルに月入ってるし、夜イメージの話だから合いそうっすね〜と思いそのうちチラっと使うかもしれないリストに入れてたら、普通に最後の一文として使いやすかったので使いました。
 最後の一文は本当に毎回悩むのですが、今回はスパッと終われた気がします。大縄跳びしてる時みたいにいつ抜けるかわからずダラダラ続けてしまいがちなんですよね……
 月下怪談もこの台詞の後に二三文続けるつもりだったのですが、いやこれここで終わっていいじゃん!となったのでここで終わらせました。
 
 この台詞の対比として禮豐邏埜裡壊の感情の発露は非常にわかりやすくしています(そもそもわかりやすい奴を作りたいが為の作品でしたが)
 好きと思ったら好きと言うし、嫌いと思ったら嫌いと言ってそのまま殺す。あれはそういう生き物です。人を騙したい時以外で自分の気持ちを隠そうとはしないでしょう。
 そんな生き物にあんな回りくどい言い方をとっくに告白した後に態々口にさせたのは、イルシィ本人の告白の伝言のようなニュアンスにしたかったからです。
 
 エンド名の「甲斐無き星が夜を明かす」は身体の弱い人間ほど健康に気をつける為長生きするという意味のことわざです。エンド名何にするかな〜と悩んでいたら、それっぽいことわざを偶々発見したので採用しました。最悪やね……

・テキスト解説 


 最初のこの台詞の時点で何か可笑しくない?と思った方がいるかもしれません。
 この段階だと主人公が通りすがり現地の人なのか、山の中に急に飛ばされた人なのかはわかりません。主人公視点だとこいつの言ってることは支離滅裂です。
 これは最初にノリで文章を書いていた時にできた圧倒的ミステキストなのですが、でも禮豐邏埜裡壊は全部の真相知ってるしな〜と思ってそのまま直しませんでした。
 はじめましての状態から違和感を提起する。禮豐邏埜裡壊はそういうものでいい。
 


 自分のことを神様だと勘違いしかけている一般野良怪異である禮豐邏埜裡壊にとって、本来自分は様付けで呼ばれるべきだと考えています。なので、さん付けは十分気軽な呼び方です。
 


 潰されたのは右目なのに、一瞬左目と間違える台詞。イルシィ視点だと左目と間違える訳がないのですが、禮豐邏埜裡壊には潰した側の記憶がある為(対面だと右左が逆)左右がこんがらがっています。私も間違えて書いたことがあります。ちゃんとしてください。
 



 記事作成の為に再プレイして、えっ、つまりこれはこういうこと……!?ふ、ふ〜ん……となった場面
 名前入力後に表示される「ありがとうございます」は恐怖演出の一つなのですが、なんか良い感じに繋がっててビビりました。

・小ネタ的なやつ


 やたらとSEに動物の鳴き声が多いゲームだったと思います。これは森にいる生命の殆どに取り付いている禮豐邏埜裡壊をイメージして設定しています。
 あれは猫だったり鼠だったり犬だったり鳥だったり蛇だったり虫だったり人だったりします。
 
 今作やたらとイルシィがメニュー画面等で喋ります。あまりにもメタ発言まみれなのでプレイヤーに障りがあるタイプのホラゲーだと勘違いされないか心配になった。
 何故このような仕様になったかというと、これは単純な思いつきで、save画面にsaveと書いておくか、それとも和風に記録と書いておくかで悩んだ末に適当な文章を載せておくことにしただけです
 それが転じてスキップやオートモードの演出に繫がっています。
 
 怪談に出てくる館は全部同じ場所なので背景を使い回しています。ちなみに大学生三人組の立ち絵も当然同一人物なので使い回しています。
 使い回しから真相がバレるかもな……と思っていましたが、実際はどうだったのか。
 


 イルシィの過去話に出てくる背景は大体こんな感じで明度高めで見えづらいようにしています。実際のイルシィの視点だともっと見えづらいと思うのですが、ノベルゲームの体裁を保つ為に一応何が映っているのかわかるようにしています。

・関連作


 月下怪談に関連作は今のところないです。完全に独立した作品となっています(だって他の世界設定の作品だとアルビノ関係無しに白髪等カラフルな髪が特に理由もなく存在してるし……)
 
 そのうち関連作として作るかもね的な作品はあります。
 某財団的な研究施設で働く主人公と愉快な攻略対象達のホラー恋愛ゲーム……みたいなのをそのうち……本当にそのうちなので十年後位に制作している可能性があります。
 関連作ということで、禮豐邏埜裡壊がその研究施設にぶち込まれています。そっちの方だとまた別の呼びやすい名前がつけられています。
 最初はちょっとしたおまけ要素にしようかと考えていたのですが、何故か今は攻略対象の一人にまで昇格しています。
 本作のイルシィとは同一存在であり、違う人物です。

 多分次のティラノフェスで公開されるだろう元カレ系人魚に殺されたりするホラーチックヤンデレ恋愛ノベルですが、こちらも微妙に関連ができるかもしれません。この人魚も研究施設に収容したい気持ちが出てきているからです。
 直接的な関連というよりかは、同じ世界での話になりそうですね程度の繫がりです。


解説記事作成記念の絵です。一度、色んな生き物と同じ画面に出したかった。

ここまで読んでくださりありがとうございました!
本作を制作するにあたり協力していただいた方々にこの場で感謝の意を表します。本当にありがとうございました!

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