遺伝子の塩基配列を読むシークエンサーの驚異的進化の紹介、及び、今回の様なパンデミックが発生した場合の疫学的解析のスピードと精度向上のためには、UKの様に、国民の医療データの一元化が必要

現在、COVID-19 variants同定の為に、遺伝子配列検査が世界中で盛んに行われているが、この遺伝子配列検査が現在の様に、大量かつ迅速に低コストでできるようになったのは、ひとえにsequencerの進化のお陰による。

これは、ヒト全ゲノムの塩基配列を決める為にかかるコストの年代別変化を示したグラフである。当初$100000Kかかったのが、現在は、$1Kで可能となっている。

これは、塩基配列を決める為に要する時間の年代別変化を示したグラフである。コスト同様、凄まじい進化を遂げていることが解る。

現在、Omicron variantの出現で、各国がCOVID-19 感染者のCOVID-19 variants 同定のため、多くの検体のsequencing検査が行われているが、UKでは、国民の医療データが一元化されているため、各患者のsequence dataと病歴、ワクチン接種歴等の照合が即可能で、今回のOmicron variantについても、データが蓄積されていけば、色々な有益な情報が入手可能となる。

The Omicron variant is putting America's coronavirus sequencing efforts to the test

By Jacqueline Howard / CNN / December 3, 2021

からの一部抜粋を以下に載せた。

In places like the United Kingdom, there is a more centralized system for data. The UK prioritized sequencing from the beginning of the pandemic and had a huge head start. Furthermore, because of their nationalized health care system, the UK can tie their sequence data back to patient data very quickly to link variants to disease severity, drug treatments, vaccine status. This is obviously a massive boon (恩恵、恵み) to epidemiology efforts and is extremely difficult in the US with its broken health care system and balkanized health data (これは日本も同様).

菅内閣の元、デジタル庁が立ち上がったが、医療データの一元化も是非とも実現して頂きたい政策である。医療データの一元化により、医療の効率は高まり、医療費削減に大きく貢献するものと考える。医師会からは、政治的には診療報酬を上げる事ばかりしか聞こえてこないし、遠隔医療に関しても、非常に消極的で、患者とか、国の医療全体の効率化とか、大局的思考が無く、目の前の利益ばかりを追っている医師が実は非常に多いのではと危惧する次第である。医師会は、遠隔医療の促進 (これは、辺鄙な場所の医療にかかわらず、都市でも医療の効率を大いに高めるものであると思う ) と医療データの一元化、更に将来的には、my number cardと各人の医療データとgenome dataとの紐づけができるようにし、従来から言われている、personalized medicine / precision medicine の実現に向けて、果敢にactionを起こしてchallengeしてもらいたいと願っています。


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