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イリュージョン

 人呼んで「コート上の詐欺師」、仁王雅治。『イリュージョン』で何にでも成れる。詐欺師というか魔術師である。
 動物にも女性にも成れるらしいので犯罪やりたい放題な気がしてならない。国家に狙われるレベルの異能である。
 彼の強さにおける大きな論点である「そのイリュージョンは完璧か否か」。今回それを考える。

 やっぱりめちゃくちゃ便利だなこの能力……

平等院の模倣

 無印テニプリでは手塚国光を完璧に再現できていなかったが、新テニではかなり本物に近づいている。ていうか本物である。
 そして平等院の『海賊』を出し、更にカミュ、ゼウスなどに化けてプロからゲームを奪っているため「模倣完璧では?」という意見が学会で主流であった。

 しかしドイツ戦シングルス1の鬼の発言、「平等院の半分も再現できていない」により覆されたかに見えた。

 だが完璧模倣説は覆されてない、と考える。だいたい鬼は6割制限していた平等院と徳川の試合、第1セットの接戦を見ている時に「いける」と言っている。なんかボルク戦では俺は知ってましたよみたいに解説しているが内心ビックリしているはずである。そして「俺との試合は6割制限だったようですね」という徳川の発言。平等院のフルパワー100%は徳川、鬼含めて合宿組は全員この時に知ったのである。

仁王はいつ平等院のテニスを知ったのか

 仁王は越知・毛利ペアとの戦いで病院送りにされているため、先の徳川-平等院戦を見ていない。なので平等院を模倣するためにはその後見る機会があったか、徳川の試合の記録を見たかである。ドイツ戦で仁王は『Wallace's Giant Bee』という徳川戦で使用されていない技を使っているため、前者の可能性が高い。

 ではその時に平等院が本気だったかどうかである。
 まず徳川と平等院は第1セットの段階で「前人未到」と称されているため海賊覚醒、ブラックホールを除いても日本最高レベルの2人と見て間違いない。

 鬼-金太郎の天衣無縫同士の打ち合い、No.2の種子島の試合を見た後にこの発言なので平等院を除くG10全員<徳川である。
 そして海賊を覚醒させた今の平等院なら、ブラックホール抜きの徳川ならば6割制限でも6-0以上の差をつけることができる。つまり日本代表2番手の徳川ですらブラックホールを使わないと6割平等院の足元にも及ばない。仁王の「平等院のテニスを見る機会」がどんな状況だったか判別つかないが、2番手の徳川でさえ6割に手も足も出ないことから、仮に1軍メンバーとの練習試合だとしても平等院が本気を出している可能性は低いと考えられる。
 よって仁王は本気の平等院を一度も見ておらず、そのせいで不完全なイリュージョンだったと考えられる。この論だと何割の平等院なのかは判別つかないが、まぁ、ちょうど徳川戦で見せた6割程度が妥当だろうか。

平等院の「能力」

 仮に6割としたとしても、「半分も再現できていない」のはおかしいが……よく考えたら、たしかに4割ほどしか再現できてないのかもしれない。なぜなら、平等院の真価は「進化」にあるからである。ふふっ
 平等院は2年前の鬼とのギリギリの勝負では『光る球』という異次元の強さに踏み込んだ。徳川に追い詰められた第1セットでは『海賊』を覚醒させた。そして2年前にアマデウスとの対戦でも覚醒、現行のドイツ戦でも覚醒した。
 仁王はプロに6-0と完封された時、平等院の覚醒を実現できてなかったのである。その点で平等院の型落ちと言えるだろう。
 ただし知らないものは真似できない。先述したように仁王は徳川-平等院戦は観ていない。アマデウス戦、鬼戦も2年前の出来事である。そう仁王は平等院の『蘇生』スキルを知る由もないのである。ならば再現できないのも当たり前で、表面上の強さのみの再現、それも6割だけでは平等院の真価を実際に二度も体感している鬼から「半分以下」と言われても仕方ない。
 もうひとつ、「無没識」のこともある。鬼が「阿修羅の神道」も「無没識」のことも既知だったのと平等院がオジイのところで習得したことは無関係では無いだろう。平等院はボルク戦で復活後のゲーム数は6-3、2ゲーム取ったら1ゲーム取られるくらいの力量差だったが「阿羅耶識」発動後はボルクを0ポイントに抑えている。あのとんでもなく強力な技を扱えないとすればそれだけでかなり実力が開くだろう。

なんでも模倣できるならば

 世界ランクNo.1、ノバク・ブリンナーという強者の名前は既に言及されている。更にボルクの強さはプレ杯で見ているし、同じくプロのアマデウスも予選で見ている。何にでも成れるならノバクやボルク、アマデウスと言ったプロになれば良かったのでは?
 ……とも言えない。仁王の対戦相手はベルティ・B・ボルク。過去の試合データやプロファイリングを基に攻略法を携え戦うデータテニスの頂点に立つ男である。彼はプロテニス界を主戦場とし、ダブルスで世界No.1になっている。プロプレイヤーを模倣して挑むのはベルティの庭で戦うことを意味する。ましてや人生レベルでプロファイルしているであろう実兄ボルクのコピーなど論外である。
 ベルティに勝つにはカミュやゼウス、平等院と言った無名の強者のコピーこそ最適だったに違いない。

つまり…

 仁王は「知る限りの範囲で」完璧に平等院を模倣したと言えるだろう。
 そもそもドイツ戦ダブルス2で仁王のイリュージョンに特にケチがつけられてないことから6割平等院相当の戦力のはずである。それどころか「本当に仁王じゃん!」「ハンパないのはイリュージョンが進化した仁王でしょ」などとありがたいお言葉を頂戴しているし事前にジークから「生半可な模倣じゃ瞬殺されっぞ」というありがたいフラグも頂戴している。
 鬼の発言を重視するならこの辺の描写も拾われて然るべきで、仁王の完璧を損なうものにはならないはずである。

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