品川スプリント inside
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品川スプリント inside

この記事はオリエンティアAdvent Calendar2018の12月22日の記事です。他の人の記事はこちら

はじめに

 ソニー オリエンテーリング&トレイルランニング クラブ(ソニーOLC)の笠原です。今回は、ソニーOLCが品川周辺の市街地テレインで開催しているスプリントOイベントのシリーズ「品川スプリント」の裏話を書こうと思います。

品川スプリントとは?

 品川スプリントは、今年3回テレインを変えて開催しました。
2018/2/3 品川スプリント-2018冬- @「天王洲アイル」
2018/5/23 品川スプリント-2018春- @「品川シーズンテラス」
2018/12/8 品川スプリント-2018初冬- @「品川セントラルガーデン」

 品川周辺という市街地で、スプリントOなんて出来る場所あるのか?渉外が通らないだろう!出来たとしても本格的なコースは無理だよね。などと思うの方も多いと思います。勿論いろいろな制約はありますが、やり方次第で「難しいルート選択で、高い集中力を要求」というスプリントOの課題を提供して楽しんでいただけるイベントを開催できます。是非真似して他のエリアでもやって欲しいので、書く事にしました。

難しい渉外に必要なのは、ハーバード流交渉術

 私が難しい渉外でやっていることが、「ハーバード流交渉術」と呼ばれるものであることに最近気が付きました。場所の管理者に、自分たちがどういう団体で、どんなことに場所を使いたいのか説明するのは勿論ですが、相手の話を良く聞いて、どういう基準で判断するのか、何が先方のメリットになるのか、などを相手の立場で考えられるようになるまで追求します。

 その上で、OKを貰える材料を揃えて持っていき説明し、これで良いですよねと確認するだけです。説得とか駆け引きではないし、「我々はオリエンテーリングに情熱掛けている」とか相手には関係ないんです。

 次に渉外に関連するクレーム問題です。「裏Advent12/16の上村さんの記事」でもスプリントの渉外問題について、主に参加者のマナー向上、特に初心者への指導の大切さが取り上げられていますが、ここでは主催者のやるべき事について、触れたいと思います。

 公園管理者と必要な打ち合わせをして了解をいただくことは、ひと様の場所を遊びに使わせてもらう上で当たり前のことですが、それはイベント開催のスタートラインに立つ為です。安全に問題なくイベントをやり終えるのは、主催者の責任であり、公園管理者の責任ではありません。

 一般の方との接触事故などを管理者は一番気にします。「接触が起こらないようなコース設定をします。接触しなければ良いとは思ってません。一般の方が危ないと感じたら主催者の負けと思ってやってます。」と言い切れないと駄目です。ぶつからなくても、危ないと思って管理者にクレームが入ったら、失敗なんですよ。

 必要なら、係員を立たせて注意を促すとか、地図上の表記だけでなく立入禁止テープを張るとか、テープ張れないなら「オリエンテーリングは進入禁止」と看板立てるとか、コース設定や、地図表記以外にも主催者が配慮できることは山ほどあります。勿論100%は無いのですが、主催者の姿勢や覚悟の問題です。

第一回品川スプリントへの道

 では、天王洲アイルで、今年2月にタッチフリーSIを使った競技会「品川スプリント-2018冬-」をやるまでの過程を、渉外を中心に振り返ってみます。

 天王洲アイルは、元々平日夜に会社の近くでランニングするコースの一つでした。ある時、「ここでオリエンテーリングやったら面白いかも!」と思って、そのつもりでキョロキョロしながら走ってみたら、ビル間が二階レベルで繋がっていて、信号待ち無しでかなり広い範囲でコースが組めそうなことが判りました。いつも走るのは夜なので、昼間に地図を持って予備調査に入ったのが、2015年1月です。

 実は私の元上司が天王洲アイルの近くに住んでいて、毎年4月に行われる地域イベント「しながわ運河まつり」の実行委員会メンバーで、Facebookで楽しそうな写真をいつも共有してもらっていました。先ずは、地域の方々にオリエンテーリングを知ってもらおうということで、2015年4月の「しながわ運河まつり」に行って元上司に挨拶し、来年オリエンテーリング体験で参加したいと相談しました。

 事務局の方を紹介してもらい、想定していたフォトオリエンテーリング形式の説明などして、運河まつり会場外の渉外や地図などの用意は自分達でやるので、会場内に受付場所だけ用意してもらいたい。というお願いで内諾をいただきました。

 翌年開催の具体的な話は秋からなので、それまでは地図作成期間となりました。この年初めて自分でO-MAPを作るようになり、国営昭和記念公園「ゆめひろば」、「多摩中央公園」と作って、「天王洲アイル」のつもりでした。秋になり実行委員会に呼ばれたら、品川宿の方まで回遊させたいと予想外のことを言われ、地図エリアが西に倍増しました。

 拡張したエリアは、旧品川宿なので迷路のような路地裏に古井戸があったりして、天王洲アイルとは違った魅力を持っていますが、当時は道路のbrownを下層レイヤーで別に用意する技を知らず、塗り絵にだいぶ時間が取られました。縮尺を1:5,000にしてA4に収めて「品川宿」という地図になりました。

 2016年4月の「しながわ運河まつり」で「フォトオリエンテーリングで町歩き」と題した体験イベントをやりました。詳しくは「オリエンテーリングマガジンの記事」をご参照ください。フォト方式なので、チェックポイントは神社仏閣やビルの公開空地(こうかいくうち)にあるオブジェなどですが、今後の展開もあるのでオブジェに設定する各ビルには渉外をし、一部はNGだったり、条件付きだったりしました。

 「しながわ運河まつり」での体験イベントは、ソニーOLCの新歓イベントでもあり、入社式の出口で勧誘ビラを配り、「興味がある人は運河まつりに来てね」という仕掛けになってます。日本の会社で入社式の出口でオリエンテーリングクラブの勧誘ビラ配っているのは、ソニーくらいでしょう。お蔭様で若手の入部に成功していますが、関東以外の大学クラブ経験者には、存在が知られていないことを思い知ったりもしました。

 2017年4月の「しながわ運河まつり」では、フラッグを設置したいということで、リサーチの結果各ビルの公開空地の管理をしている会社に辿り着きました。公開空地というのは、一見公園のような造りですが、ビルの敷地の一部で一般の方が自由に通行したり休憩したり出来るようにする代わりに、ビルの容積率が緩和される制度です。災害時には、ビルからの避難スペースになったりします。更に周辺のビルで連絡協議会などを作り登録すると、賑わい創出などのために公開空地でイベントを開けたりします。

 その窓口業務を受託している会社が見つかったのです。公開空地は通過する分には自由ですが、フラッグを設置するには許可が必要なので、複数のビルとの調整が1つの窓口ででき大変助かりました。

 ちなみに、公開空地での渉外ではフラッグ位置を全部特定した手続きとなるので、渉外完了=コース確定という感じです。また、破損時の賠償体制なども求められるのですが、ソニーOLCは東京都オリエンテーリング協会の会員なので、JOAの行事賠償保険の適用でクリアしています。この辺りの具体的な話は、「12/6の新田見さんの記事」も参考になると思います。

 一部のフラッグは区立公園内に設置するので、品川区と港区の担当部署で手続きもしましたが、品川区は「しながわ運河まつり」の一企画というと、話が早くて助かりました。

 この頃、そろそろ次のテレインということで、運河まつりの下見のついでに品川シーズンテラス周辺の地図調査も進めていました。シーズンテラスから条件付きながら自由に練習会やって良いという了解をもらったのが、2017年のWOD(World Orienteering Day)の日でした。この日の夜に、「加藤さんが主催した古市場競技場でのWODイベント」に参加させてもらい、「自己計時での練習会でも、これだけ楽しめるんだ!」と感銘を受け、その後のイベント企画に選択肢の幅をもらいました。

 2017年6月には、「関東ナイトOツアー」企画がスタート!品川シーズンテラスからドコモ品川ビルまでの範囲でツアーに入れて欲しいと中の人にお願いして、10月想定で了解をもらいました。その後、ドコモ品川ビルの渉外で公開空地の通過は構わないが、フラッグ設置はNGと言われしまい、翌年2月と思っていた天王洲アイルの前倒し投入を決断しました。

 予定外の前倒し投入ですが、よく考えたら天王洲アイルでのスプリントOなんて、なかなか想像できないので要項だけだと魅力が伝わらないと思い、10月の平日ナイトO練習会から2月の休日昼間の競技会までのプロモーションをセットで考えることにしました。先ず、10月のナイトO練習会では、OK-Infoの石塚さんに取材して欲しいと依頼して、記事にしてもらいました。

 圧倒的非日常とは、最大級の誉め言葉で嬉しかったです。生憎の土砂降りで、非日常感MAXのイベントとなりましたが、コースの評判も良かったし、安全配慮も含めて無事開催できたことは、大きな自信になりました。

 もう1つの仕掛けとして、尾崎さんにお願いして品川スプリントのPVを作ってもらいました。このPVの威力も絶大でした。

 2018年2月に、「品川スプリント-2018冬-」としてスプリントOの競技会を開催しましたが、「品川スプリント-2018冬-」というタイトルには、「天王洲アイル以外でもやるよ」「年一回とは限らないよ」という思いを込めました。
 追加の仕掛けとして、品川ケーブルテレビの取材を呼びました。地域の方にオリエンテーリングを知ってもらう意味の他に、参加者がインタビューを受けることで、非日常感を演出する意味もありました。またOK-Infoの記事にしてもらいましたので、ご参照ください。

 プロモーションのお蔭で注目を集めたのですが、定員締切問題が発生しました。マラソンやロゲイニングでは、事前申込を定員で締め切り当日申込なしが普通ですが、オリエンテーリングでは余り一般的ではないですよね。

 実は定員120名で締め切らなければならなかった理由は、高額な場所代です。前年のナイトOは青空会場でしたが、100名超規模の競技会やるなら室内の会場を用意したいと思いました。しかし、天王洲アイルでは借りられる部屋がなく、品川駅近くの貸会議室を会場にして、テレインまで歩いてもらうことにしました。この会議室が3時間単位しか借りられなく結構な料金なので、移動時間とテレインのキャパシティから逆算して定員120名となりました。

 テレインにも場所代が発生していて、ナイトOまでは只で使わせてもらっていた公開空地も、100名超の有料イベントだと正規料金いただきますと言われ、公開空地は2番と13番を置いた広場だけにして、他は区立公園に変更しました。そんな訳で参加費2,500円の半分は場所代です。

 2015年1月に予備調査に入ってから、約3年後に1コースだけの競技会開催まで辿り着きました。いろいろな方の力を借りて、実績や繋がりを少しづつ積み重ねていって、目的を達成するやり方を、自分では「わらしべ長者作戦」と呼んでいます。

 道路使用許可についても触れておきます。「品川スプリント-2018冬-」では警察の道路使用許可は取っていません。歩道を含めて道路にはフラッグを設置していないのですが、今後の展開もあるので初めて所轄の警察署に行ってご指導を受けてきました。どうしても歩道を走るというとマラソン大会のようなものを想像されて、要所要所に役員を配置しないと使用許可は出せないとのことでした。

 今回テレインのキャパシティから2名/分としましたが、例えば天王洲アイルで公認S大会をやるなら、2名/分を越える規模の参加者を同時にテラインに入れますので、多数の役員を配置して道路使用許可を取る必要があると思います。

第二回品川スプリントは、WODイベント

 ドコモ品川ビルの渉外がNGで、品川シーズンテラスだけだと狭すぎて使えないなと思っていたのですが、天王洲アイルでの2イベントを経験したら、私のスプリントコース設定能力が上がったらしく、WODのお祭りイベントなら出来るんじゃないか?と思い直し開催したのが「品川スプリント-2018春-」です。前年に加藤さんのWODイベントで楽しませてもらったので、自分もWODイベントやってみたいというのも有りました。
 これもOK-Infoで記事にしてもらいましたので、ご参照ください。

 300m×150mだから本当に狭いのですが、ちゃんとしたスプリントOとして楽しめるコースが提供できました。ちょっと残念だったのは、会場近くのランステ「ランキューブ品川」を占有してしまう事態は避けたかったので、20名超えた日で締め切りとしたら、即日締切になってしまったことです。学生さんはランステなど使わなかったので、倍くらいの規模でも大丈夫でした。初めてイベントやる場所は、迷惑かねない事が優先なので、仕方ないです。

 他の新しい試みとしては、参加費無料(カンパ歓迎)としたことです。ワンオペ運営なので、会計している暇がない。無料イベントの方が渉外が楽などの理由からでしたが、お蔭様で赤字にはなっていません。

いよいよ品川駅前テレイン

 第三回の「品川スプリント-2018初冬-」を開催した品川セントラルガーデンは、以前から狙っていたのですが、やっと渉外窓口が判かり訪問したのが、2017年10月のナイトOやった後くらいです。東側の品川インターシティは1つの大家ですが、西側のグランドコモンズは各ビルが独立した管理で、インターシティの管理会社が幹事となり連絡協議会を作っていて、公開空地でイベントやる為の登録をやっとしたところでした。

 いろいろイベントやっている品川シーズンテラスをだいぶ意識されていて、シーズンテラスのイベントにも協力させてもらう相談している話などしたら先方にもメリット感じてもらえたようなんですが、ちょっとまだ外部からのイベント企画をさばく体制が出来ていないので、来年改めて具体的な相談に来て欲しいということになりました。

 糸口は掴めたので、天王洲アイルの準備しながら、地図調査に入りました。現地調査は10時間も掛からなかったのですが、4,000か2,500か?多層構造をどう表現するか?など試行錯誤が結構あり、作図に時間が掛かりました。結局、1:2,500で、二階だけ青線の特殊記号で表すことにしました。

 練習会後のアンケートで1:2,500は良かったようですが、青線の特殊記号より都庁スプリントのようなフロアマップ方式が良いという意見を複数いただきました。フロアマップ方式も一長一短あり、セントラルガーデンの主要な緑地は南北端が一階で中央が地下一階というゆるやかな傾斜地なので、やるとしたら二階だけ別図にするのかと思います。次回に向けて試作はしてみるつもりですが、採用になるかは分かりません。

 物議をかもした二階に設置された4番ですが、二階を東西に渡るスカイウェイを走り抜けるレッグは入れたいと思い、当初は南側を西から東に通るレッグで考えていたのですが、渉外上どうしてもOKが貰えず、北側を通すとあそこしか置ける場所がなかったというのが真相です。

 一階に行ってしまう人は相当いると思っていましたが、あんなに地階に下りて来る人がいると思っていませんでした。次善策としては、4番の南側の階段を青線で追加して通れるようにし、一階から階段上るのを最短ルートにすると、面白みは減りますが混乱はなかったのかと思います。

 品川スプリント-2018初冬-では、定員締切にしたくないという方針で、余り煽るようなプロモーションはしていません。結果的に当日申込含めて実走101名で丁度良い規模だったと思います。地図にアンケートのQRコード入れるというのも新しい試みだったのですが、いかがだったでしょうか?

そもそも何で品川スプリントやってるの?

 皆さんはヨーロッパの市街地でのスプリントOの動画で、一般の通行人のすぐ横を競技者が通る様子を見て、日本でもこういう大会やってみたいが、渉外通らないよな。と思ったことありませんか?ヨーロッパでのオリエンテーリングの認知度の高さから、一般の方も「ああ、オリエンテーリングやってるのね」という感じで快く見守ってくれている様は、羨ましい限りです。

 日本でも何時かこういう大会やりたいんです。少しづつでもノウハウを蓄積して広めていかないと、急に出来る訳もないので、出来ることからやってみています。

 もう1つ、職域クラブという今や絶滅危惧種の団体に所属していて、ソニーが大会スポンサーになってくれる訳でもないし、地域クラブのような地域に根差した活動している訳でもないし、だたの愛好者集団でオリエンテーリング界に貢献できてないよなと常々思ってきました。やっと辿り着いたのが、会社の近くのテレイン開発なんです。

 ハーバード流交渉術も、従来のやり方に囚われず新しい発想で皆にワクワクを提供する楽しさも、みんなソニーで身に着けたので、これが必然だったのかも知れません。

想像できないことは、実現しない。

 最後にお伝えしたいのは、「想像できないことは、実現しない。」ということです。天王洲アイルを見て「ここでオリエンしたら、どうなるか」と想像できるかどうか?想像できれば、やったことが無い事でも事前に課題を抽出して解決し、実現に一歩近づけます。

 長年スポレク担当していたのに、私には都庁スプリントが想像できかなったけど、青木さんには想像できた。そして新田見さんと実現したんです。素晴らしい!

 このムーブメントを広げていきたいので、「〇〇で同じようなことやってみたい!」という方は、遠慮なくお問合せください。例えば、誰か汐留スプリントやりませんか?2年は掛かると思いますが、、、

 品川スプリント-2018初冬-のアンケートで、「今後イベント開催して欲しいテレイン」が結構ばらけたのですが、やはり一番は「新規テレインを期待」でした。来年は品川スプリント4番目のエリアのO-MAPを作る予定ですが、先ずは地域イベントでの使用になります。既存テレインでも趣向を変えたイベントをお届けするように、いろいろ考えていますので、ご期待ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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