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人狼ゲームでの「なんとなく」を言語化する方法

はじめに

うまく言葉にはできないけれど、「この人なんとなく怪しいな」、「この人なんとなく村っぽいな」と知覚した経験はないでしょうか。

直観的にそう思っているのに綺麗に言語化ができないから発言しないでおくという人もいるのではないでしょうか。
論理的な要素ではないよなあとか、理由も出せないなら他の人から適当に発言していると思われてしまうのではといった不安を覚えたりする経験が全くないという方のほうが珍しい気もします。

ケース

Aさんは積極的に意見を残し、他者との対話を図っている。進行面でも主導的に提案を行っている。しかし、あなたはAさんよりも発言数が少ない比較的寡黙位置Bや突拍子もない言動をしているCがいるにもかかわらず、なぜだかB、Cと比較するとAさんがなんとなく怪しく感じてしまっている。
寡黙の人はすごく迷っていて推理がうまく進めていないだけに感じ、突拍子もない言動の人は村人の自由さ由来に感じているとします。

上記ケースの場合、Aさんのこの言動が狼っぽいなとも思えてないのであるから唐突にAさんが狼だと主張しても理由が答えられないのであれば狼塗りと受け取られかねない可能性がありますね。
そのため、Aさんと他灰との相違点を明確に意識することが肝要でしょう。
寡黙位置や少し浮いた発言がある灰が存在するケースは皆さんもよく遭遇すると思います。
一般的に、前者は情報を隠そうと思考開示していなかったり、見えてるが故に推理が偽装できず心理的に発言しづらい狼であったり、後者は村人の視界で話していないように見えたりしますよね。この認識は一般的な共通理解となっていることが多く、実際の村では言語化までしている人はほとんどいないでしょう。

ですが、あなたは上記の灰の人たちからある種の村人としての迷いや自由さなど感じ取ってしまっているためAが怪しく見えています。

この場合には、消去法でAが怪しい位置になるという主張が最も論理的で説得的になりうるのではないでしょうか。

なんとなくAが怪しいと思ったけどうまく言葉にできないとなったとき、視線を転換し、他の人の村っぽい部分はないかを探すこと、相違点が何か厳密に考えてみましょう。
その際、一般的な共通理解とは異なるのに注意が必要です。
そこで、以前の記事で紹介したように三段論法的な言語化の手法で大前提となる価値判断の部分をまず言及する必要があるでしょう。

例)
大前提
「寡黙位置であっても手探りに狼を探す姿勢があって、地道に迷いながらも少しずつ推理を進めるのは内訳が分からない村人特有の迷いに由来していると考えられる」
小前提
「Bさんは発言数は少ないけれども疑問点を尋ねたり、貰った返答をもとに自己反芻して立ち止まってるけど、ひたすら要素をこねくり回している印象だね」
結論
「だからBさんは内訳が見えてない迷っている村に見えるよ」

このように一般的な認識(寡黙は怪しい)に例外を加える規範を定立することで直観に反しない論理的な主張のフレームを成立させることは可能でしょう。

また、Cさんについても大前提の部分の修正が必要になるでしょう。
例)
大前提
「突拍子もない言動をしていても一貫した態度で村に貢献しようとする姿勢が継続していて、ヘイトを恐れず常に吊られるリスクを背負い続けることは、村にとって必要だと思っているからであり、他者の目を恐れない村人の自由さに由来していると考えられる」
小前提
「Cさんは初日から懸命に村に働きかけており、緊迫さがずっと継続した態度で一貫していた。それは灰や指定役からの一定のヘイトをもらった後も変わらなかった。本人が必要だと思うこと自体も理解はできる」
結論
「だからCさんは村に見えるよ」

その他の方法

上記では消去法による「なんとなく」の解消法を一例として挙げましたが、なんとなくの村っぽさの言語化が難しい場合はどうするべきでしょうか。

やはり相違点が何かを厳密に考えることが大切です。
例えばなんとなくの狼っぽさがAさんにあるのであれば、大前提の部分の狼像の修正を試みるというのはどうでしょうか。
狼像をなんとなくに合致させるイメージを持つのです。そうすれば、言語化は楽になるとおもいます。
修正した大前提を付け加え、連結させるイメージで村の事実関係を拾って評価する。これをするだけで論理的な文章として成立させることが可能となり、外観上それっぽい考察として伝えることができます。

好き放題に狼像を修正したりしていいのかという疑問が湧く方もいるかもしれません。しかし、ここでは妥当性はともかく、あくまで論理的な主張として「なんとなく」を伝えるのが目的なのですから、直観で感じた内容を上手く伝えるためと割り切って構わないと思います。

終わりに

なんとなくを伝える手法として、大雑把に言うと大前提を修正するのが最も楽な気はしませんか?
より簡略化すると、①「狼って~みたいな傾向があると思ってる」②「Aさんは~だよね」③「Aさん狼なんじゃないかな」くらいの感覚ですね。

③の直観を元に、相違点を探して②の事実を拾う、それに合わせて①を考える逆算的な思考が可能です。実際に言語化する際は①から述べるという流れとなります。

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